yuki-midorinomoriの日記

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ルーカス・フォス『TIME CYCLE for soprano and orchestra』(1960)。瑞々しく美しい、そのインテリジェンスな感性に酔痴れる作品。無調12音列の澄明な響きの名作。

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イメージ 2これはまたえらい拾い物、いや私の若き日の蒐集レコードにあったものの一枚だから厳密に言えば単に聞き逃していたということなのだけれど。すばらしい作品だ。各曲一分程度の試聴に過ぎないけれど、下記サイト是非クリックして味わって聴いていただきたい作品だ。ルーカス・フォスLukas Fossの『TIME CYCLE for soprano and orchestra』(1960)。この作品には<NEW YORK CRITICS AWARD 1961>とあるように称賛与えられている。だからと言うのではないが、瑞々しくひじょうに美しい感性に酔痴れる作品と言うことができよう。12音列無調の響きを優れたインテリジェンスな感性で紡ぎだされた良質、称賛に値する成果の一つといえるだろうか。たぶん音楽好きの方々にとってもあまり馴染みのない作曲家、指揮者、演奏家であることだろう。なにせ、出自はドイツといえ戦争を機に余儀なく音楽後進国アメリカに居を構える例のごとくのサダメをもった音楽家ゆえ、その力量が流布知れること少なかっただけだ。アメリカの地にての現代音楽推進に功績大であった人物の一人といえよう。さてこのアルバム『TIME CYCLE for soprano and orchestra』は、オーデンW.H. Auden、ハウスマンA.E. HousmanカフカKafka、ニーチェNietzscheの四つの詩句のソプラノAdele Addison独唱を伴ったオーケストラ作品で初演を友人同僚のレナード・バーンスタインLeonard Bernsteinが(The Columbia Symphony Orchestra)揮っている。それとこの作品の斬新且つ新奇は四つの楽章の幕間、間奏にルーカス・フォスら【Charles DeLancey(percussion), Howard D. Colf(cello), Lukas Foss(piano), Richard Dufallo(clarinet)】の<The Improvisation Chamber Ensemble>のその名のとおりのイマジナリーなクァルテットの演奏が楽想を繋ぐようにして挟み込まれ展開されてゆく。それもアトーナルな響きをもった演奏で。この各々の間奏パフォーマンスも曲想にマッチしていて、すばらしい余情を奏でる。無調12音列の響きの澄明感に好感もつ現代音楽ファンにはことのほかの美的体験をもたらす、優れた、戦後現代音楽史に残る名作と言っておこう。惚れ直しましたルーカス・フォス。弩シロウトが謂うのもなんですが間違いなく才能です。



収録作品――
1. Time Cycle (Orchestral Version): I. 'We're Late'
2. Time Cycle (Orchestral Version): Improvised Interlude No. 1
3. Time Cycle (Orchestral Version): II. 'When The Bells Justle'
4. Time Cycle (Orchestral Version): Improvised Interlude No. 2
5. Time Cycle (Orchestral Version): III. 'Sechzehnter Januar'
6. Time Cycle (Orchestral Version): Improvised Interlude No. 3
7. Time Cycle (Orchestral Version): IV. 'O Mensch, gib Acht'


http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/B0000029XZ/theofficialleo07 ジャケット写真下の<listen to sample>をクリックして是非試聴(各パート一分と短いですが)していただきたい。



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"TIME CYCLE" (1960) by Lukas Foss (1922-2009) III. Sechzehnter Januar ( Franz Kafka)