yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

ピエールアンリのコンクレートミュージックの興味深い誕生の時を告げるアルバム

Pierre Henry "Spatiodynamisme" 1954 http://www.youtube.com/watch?v=fXrkt8zkeic Pierre Henry - Dimanche Noir II http://www.youtube.com/watch?v=piA4XtAqM4A このブログで幾度か採り上げたピエールアンリの再登場。それもとびっきり若きピエールアン…

アルチュール・ランボー『地獄の季節』を音楽作品に誦うジルベール・アミ

ジルベール・アミGILBERT AMY(1936)がアルチュール・ランボーの『地獄の季節』の詩句を題材に作曲した作品、そのタイトルもそのまま「SAISON EN ENFER」。フランスの現代音楽を紹介するINAGRAM COLLECTIONシリーズの一枚である。今、青春真っ只中の人たちが…

ギリシャの神話的歴史に培われた土俗的なヤニスクセナキスの『オレステイア』

Iannis Xenakis - Les Euménides (from Oresteïa) http://www.youtube.com/watch?v=gMoBOGCThoQ 1966年に作曲されたヤニスクセナキスの『ORESTEIA・オレステイア』。これが戦後セリー音楽の閉塞といわれた行き詰まりを確率論など数学的抽象理論を作曲技…

チェロ、ベースの浮遊体感覚と共に至高をめざすエヴァンパーカーとデレクベイリー

ジャズバイオリンならたまに聞きはするけれど、チェロが入っているジャズトリオというのも珍しいのではないか。先年12月末に鬼籍に入ったと聞く孤高のギタリスト、デレクベイリーがフリーインプロヴィゼーションプレイヤーの活動のために創設したイギリスI…

入門を手招きするブーレーズ、ノーノ、シュトックハウゼンの『現代音楽の創造者たち』

現代音楽へ足を踏み入れてみようかと思っている人達には、差し出がましいようだけれど、ストラビンスキー、バルトークから入るよりは、1950年代革新の旗手として音楽史に華々しく登場したこの三羽烏、ブーレーズ、ノーノ、シュトックハウゼンからいきなり、…

ローランドカインの異様異形なデジタルコスミックノイズの世界

Roland Kayn: Cybernetics III (1969/1977) http://www.youtube.com/watch?v=ephfK_MdihY&feature=related まるでサイボーグと化したかのように電子騒音をがなりたてるローランドカインROLAND KAYN。部屋全体を占拠する1970年以前の馬鹿でかい、性能も今のパ…

理知とセンスのバランスが奏でる佐藤允彦ソロアルバム「観自在」

佐藤允彦ソロアルバム1「観自在」は、三部作の構想のもとに企てられ、1976年に出された。スタジオにグラフィックスコアーとしてのように持ち込まれた、書道家佐藤勝彦による書にインスパイアーされての、フリーインプロヴィゼーションソロアルバムとい…

簡素な居住まい、佇まいのケージの初期ピアノ作品集

ジョンケージJOHN CAGEがどれほどに、エリックサティの影響を受けていたのかは知らない。先人の影響がないなど誰が信じるだろうか、知が歴史の産物である以上は当然のことであろう。先人の業績、蓄積をないがしろにする必要はなかろう。独創とはそうしたこと…

1961年ダルムシュタットの夏期講習で演奏録音された「NEW MUSIC FOR CHAMBER ORCHESTRA」

私は今まで何を聴いてきたのだろう、これは新鮮な驚きであった。年を経て聴き返し、かくも意外な思いに遭遇するとは。如何にいい加減に聴き流していたことだろう、流れを追うことに精一杯だったのかと忸怩たる思いがする。感性の研ぎ澄ましが年とともに増す…

ジャケットデザイン杉浦康平のシュトックハウゼン「作曲スタジオ・ENSEMBLE」

日本の音響機器メーカーのトリオ株式会社が、ドイツWERGOレーベルの現代音楽シリーズの国内発売に及んだとき、そのジャケットデザインを手掛けたのが杉浦康平であった。したがってこの優れたグラフィックデザイナーのレコードを手に出来たのはたぶん日本の音…

74年ヨーロッパ演奏成功に満を持す山下洋輔初めてのソロアルバム

採り上げる順序がいい加減であるのは、レコードの整理の悪さと頭の中身の曖昧さにもよるのだろが、それよりも趣くままにという自分勝手な趣旨でのブログのせいでもある。時系列での考究はプロの仕事に預けよう。先のブログで紹介、採り上げた山下洋輔のソロ…

フリーを<やりつくした>Ⅰ.C.P設立者ウイレムブロイカーの置みやげ

およそ直径33cm、厚さ2㎝の円筒形のケースにレコードが2枚、ICP007と008(http://www.efi.group.shef.ac.uk/labels/icp/icp007.html)である。奇抜といえば奇抜、当たり前といえば当たり前、原型がそうであれば誰もが思いつくイメージではあるが。なかにチョコ…

シルヴァーノ・ブソッティの色めく弦楽の世界

Sylvano Bussotti- RARA (Cello) http://www.youtube.com/watch?v=ClvYzkhN-KU シルヴァーノブソッティSYLVANO BUSSOTTI、1931年イタリアのフィレンツェに生まれ、この年代のごたぶんにもれず彼もダルムシュタットの現代音楽夏期講習やジョンケージの影…

厳しくも美しいシュトックハウゼンのピアノ曲

Pollini_KlavierstueckeⅩ(Karlheinz Stockhausen) http://video.google.com/videoplay?docid=-8530551948232272597&q=%28Karlheinz+Stockhausen 当たり前だけれどもシュトックハウゼンと、ブーレーズとは違うものだ。音の緻密さと言ったらいいのだろうか。一…

NEW JAZZ SYNDICATE今いずこ

このニュージャズグループ「ニュージャズシンジケート」NEW JAZZ SYNDICATEが今現在どのような発展の存在形態にあるのか、果てまたすでに消滅してしまっているのかすでに20数年前よりこのかたレコードという音盤から遠ざかっている身にとっては知る由もな…

ブーレーズ、シェルシ、ブラウンの名品弦楽四重奏曲

ブーレーズが優れているのか、私の感性と波長が合っているだけなのかどちらか分からないが、すばらしい作品である。このアルバムの弦楽四重奏「LIVRE POUR QUATOUR」(1949)part1a,1b,2,5、それも収録されている1,2のパートはパリ、5はハンブルグでおのお…

現代音楽作曲家、水野修孝の遠慮がちなビッグバンドジャズ

ビッグバンドジャズは経済的に維持するのが大変と聞く。最近の動向はまったくといっていいほど知らない。何とはなしに、ブログで採り上げるのを機にネットで覗くと先の経済的理由以上にシンセサイザー機器の飛躍的発展により極めて少人数でボリュームある多…

<なしくずし>の世に厳粛たるべき極左コーネリアス・カーデューのピアノ曲

Cornelius Cardew - Father Murphy (1974) http://www.youtube.com/watch?v=QhmaatIpPzk&feature=related 中国で「1960年代後半から1970年代前半まで続いた政治・社会・思想・文化の全般にわたる改革運動」(WIKIPEDIA)の文化大革命、紅衛兵運動の思想浄化…

狂界域への越境から音連れる土取利行のパーカッションソロ

土取利行 縄文鼓ライヴ Toshi Tsuchitori /Jomon-ko http://www.youtube.com/watch?v=ma4S9uXEEZs Sanukaito Stone Music by Toshi Tsuchitori サヌカイト・ライヴ 土取利行 http://www.youtube.com/watch?v=7O3Fgj9TJ9E&feature=related ここにも<数寄>者…

ケージ、ベリオ、ブソッティら優れた作曲家のほぼ半世紀前の実験的小品集

Sylvano Bussotti : Frammento http://www.youtube.com/watch?v=KvnYLKGbMws A面のルチアーノベリオLUCIANO BERIO(1925)の「サークルス」(1960年)は、E.E.CUMMINGSの詩をテキストに声とハープと2人の打楽器奏者のための作品である。このレコードでは先妻の…

エヴァンパーカーの<虚・ウツ>と化す凄まじいソプラノサックスソロ

この遊び<スサビ>に荒んだイギリス、エヴァンパーカーEVAN PARKERのソプラノサックスに息つめて耳そばだてることは、精神一極緊張のためにもいいことだ。凄まじいの一語に尽きるとまで言い切りたくなるほどの凄さである。楽器をものする人たちが、どのよう…

革命家チェ・ゲバラほか、ロマンに逝った人々へのレクイエム

別にチェゲバラに対する感慨あって採り上げたわけではない。政治の季節を生き通過した世代にとっては確かにロマンを感じさせた革命家ではあった。放浪の、ゲリラ戦の闘士であり革命家。秀才の誉れも高く医師でもあった。生まれはアルゼンチンでありながらも…

飛ぶこと忘れ鳴くばかりのアヴァンギャルド・ワルターマルケッティの鳥たち

Walter Marchetti - La Caccia [da Arpocrate Seduto sul Loto] http://www.youtube.com/watch?v=0fc1hW_1P4k&feature=relmfu なんだこれは?先ず第一印象がこれだ。見開きになっているレコードジャケットにあるパフォーマンス写真から察するに、机上におか…

ヨーロッパフリージャズの金字塔、ペーターブロッツマンが詰まった3枚BOX

Peter Brötzmann, Albert Mangelsdorff 1971 - The End http://www.youtube.com/watch?v=dccOQINsAtk&feature=related やっとと言うべきかこの3枚組み(FREE MUSIC PRODUCTION、FMP 0030、0040、0050)のボックスセットで出された、ペーターブロッツマンPET…

イタリア・アヴァンギャルド集団<Zaj>のJUAN HIDALGO、何がTAMARAN?

多分プリペアードされてのピアノと推測される響きを押し殺した単音が、なんの脈絡もなくポツリポツリとなり続けるJUAN HIDALGO(1927)の作品である。イタリアcrampsレーベルのnova musichaシリーズの一枚である。見開きで埋められている文字はイタリア…

直近で見た山下洋輔トリオの記憶呼ぶビッグバンドバージョン「HACHI」

山下洋輔トリオ(ドラム森山威男、サックス中村誠一)を核にして、ブラス12人を加えたビッグバンドジャズという編成。1971年9月にスタジオ録音されたもの。山下洋輔は1942年生まれとあるから当年63歳ということになる。随分と年をとったものだ…

ロバートアシュレイの色っぽいエレクトリックミュージック

=== Robert Ashley: Automatic writing (1979) === [[embed(http://www.youtube.com/v/Rh_TC8j_JkE&feature=related,0,298,241)]] ロバートアシュレイROBERT ASHLEY(1930アメリカ)1961~68年の間、前衛パフォマンスグループ「ONCE」の音楽ディレクタ…

MEVのALVIN CURRAN参加する音なひの気配に感応する即興演奏

1960年代後半から電子機器を使ってのグループ即興演奏を展開していた「MEV」Music Electoronic Viva。その創設メンバーの一人としてフレデリック・ゼフスキーは夙に知られたことであるが、このイタリアICTUSレーベルによるトリオでのライブ即興演奏ア…