yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

佐藤允彦『那由佗現成(なゆたげんじょう)』(1976)。「共振」する宇宙大の響きへと悠揚猛然とパワフルにフリージャズする土俗呪術の響きの奔流。

アルバムタイトル『那由佗現成(なゆたげんじょう)』(1976)の文字を目にしただけで、何とはなしにその音楽のイメージが湧いてくることだろう。「那由佗」とは千億の数(無数)を意味する。「現成」とはあるがまま、あるべきように成れること。言うまでも…

高橋悠治『YUJI TAKAHASHI PLAYS BACH』(1971)。演奏家の過剰の美、ロマンティシズムを廃した作曲家のシンプルなバッハ。

Glenn Gould - Bach Partita No.6 (1 of 3) 普段から言っているように、聴き比べといった趣味は持ち合わせていない。そのような能力もない。あるのは出会いと好き嫌いだけである。だからこの高橋悠治のバッハ『YUJI TAKAHASHI PLAYS BACH』(1971)もそうした…

ショスタコーヴィチの弦楽四重奏曲の編曲作品『室内交響曲作品110a』と『弦楽のための交響曲作品118a』。抑圧の時代状況下での自らの芸術活動の奮迅鼓舞を聴く。

Dmitrij Shostakovich : Chamber Symphony Op. 110 a ショスタコーヴィッチDmitrii Dmitrievich Shostakovich(1906 - 1975)の音楽なのに、なぜか作家のアレクサンドル・イサーエヴィチ・ソルジェニーツィンAlexander Isaevich Solzhenitsyn, 1918 - )が思…

ルイジ・ノーノ『Canti di vita e d’amore』」(1960)ほか。≪懊悩し受苦する魂の呻き≫叫びを造形する激しい情念の発露。劇的な音響造形には現代唯今美しく感動をすら覚える。

Nono: Canti di vita e d'amore (I-II) 「進むべき道はない、だが進まねばならない……アンドレイ・タルコフスキー」。 「どうしても負けられない戦いに立ち向かうときもそうだろう。すべてを見通してから始めるわけにはいかない。というよりも、すべてを見き…

グレン・グールド『バード&ギボンズ作品集(エリザベス王朝期ヴァージナル名曲選)』。ちょっぴり憂いをもった親しみやすい旋律。心安らぎ慰撫される鍵盤曲。

Gould plays Orlando Gibbons よき時代?が聴こえてくるといった形容がぴったりな曲ばっかりである。ちょっぴり憂いをもった親しみやすい旋律。なんとも心安らぎ慰撫される鍵盤曲だ。ここにはまだ統一、統合がある。たぶんスキゾとパラノなんて謂う類型が存…

高橋悠治『バッハの世界』(1973)。ヒネクレもの?逆説としての「失敗者としてのバッハ」賛。演奏はスナオで、良好。いいバッハです。

Glenn Gould : Bach - Keyboard Concerto No.1 D minor BWV 1052 Glenn Gould with Leonard Bernstein and the New York Philharmonic [1960] Excerpt of the first movement, Allegro. 意外なことに、なんと優しさに溢れたバッハなのだろう。私にはヒネクレ…

NAXOS盤のスカルラッティ『Complete Keyboard Sonatas Vol.1』。神の御姿は奈辺に在りや?現代音楽に通ずる斬新な演奏技術の粋とバロックの優美華麗さ。

Domenico Scarlatti - Sonata in A Major J.S.バッハ、ヘンデルらと同時代のドメニコ・スカルラッティDomenico Scarlatti(1685 - 1757)は、イタリアで生まれ、スペインのマドリードで没した作曲家。≪その時代の鍵盤曲に新しい用法を取り入れた重要な作曲家…

大島花束著の『良寛全集』(良寛全集刊行会・新元社)を買ってしまった。共感覚える究極の心の襞、良寛。

この時節、秋といえば、古来より侘びしく、もの哀しく、愁いをともなうものとされてきたようである。ということで、察しのとおり芭蕉の 『此 の 道 や 行 く 人 な し に 秋 の 暮 』 である。わが想念此れに尽きますと言いたいところ。ブログ記事にこと欠い…

ブルーノ・マデルナ『Aura (管弦楽のための)アウラ(気)」(1972)ほか。「音象の朦朧とした揺らぎがことのほか余韻をもって美しく印象深くさせる。

(上)菱田春草『落葉』六曲一双屏風、右隻 1909(明治42)年 (下)菱田春草作『落葉』六曲一双屏風、左隻 1909(明治42)年 岡倉天心は第3回文展でのこの作品を 「情趣巧致固より場中第一、近頃の名品と感し申候」と絶賛した。 Bruno Maderna…

ドミートリイ・ショスタコーヴィチ『24の前奏曲とフーガ』(1952年)。ナチュラルな感性で、純で伸びやか、自身も愉しみながら作曲したのではないかと思わせる。

Dmitri Shostakovich: 24 Preludi e Fughe, Op.87 (Libro I°) (1950/1951)/ Tatiana Nicolayeva ≪第1回ショパン国際ピアノコンクールにソヴィエト代表の一人として選出され出場・入選した≫(WIKIPEDIA)ほどのピアノ演奏の技量の持ち主ゆえなのだろうか、ナ…

ジョン・スティーヴンスとエヴァン・パーカーの『The Longest Night Vol.1』『‐Vol.2』(1976)。冷たく燃えるインテンシブなデュオインプロヴィゼーション。

Evan Parker & John Stevens: The Longest Night vol. 1 (19.11) ジョン・スティーヴンス このコラボレーションはたぐい稀な内的求心力において傑出している。その異様なまでの内側へと内閉的に捩れてゆくスパイラルなパフォーマンスは、聴くものを引きずり…

J・S・バッハ『平均律クラヴィーア曲集・第1巻(前奏曲とフーガ第1番~第24番)』疲れた頭には≪己を虚(むな)しくして神にささげた音楽≫の傍らでこころ静かに休むのがよさそうだ。

Bach WTC Volume 1 Prelude No 8 E-Flat minor Glenn Gould http://www.youtube.com/watch?v=CxmflfIBU8w もう、最近は毎々と言うほど頭の回転がにぶい。なかなか音楽を聴いてもことばが口をついて出てこない。かといって身辺雑記を綴るだけのブログは、私に…

チャールズ・アイヴスの『CONCORD SONATA』。ハチャメチャと斬新の時代的アメリカ・アヴァンギャルドの魁。

Charles Ives: Sonata No. 2 "Concord" – Thoreau 決して名曲ということもないのだけれど、斯くなる焦点定まらぬ不可思議な音楽を日曜作曲家として積極的に発表の機会をつくるでもなく、名声を得ることにこだわるでもなく、営々とつくり続けた、まことに風変…

アンネ=ゾフィ・ムターの『モーツァルト・ヴァイオリン協奏曲全集』。モーツァルトという天才に成熟などと言う言葉があるのだろうか。

Mozart Violin Concerto No.3, Anne-Sophie Mutter violin with Yehudi Menuhin conducting しょせんは印象評のシロウトの悲しさ、言葉が出てこなければもうお手上げである。音楽上のテクニカルタームで升目を埋める素養があれば、考えようによっては楽な面…

モーリス・ラヴェルの『夜のガスパール』。その表情豊かな音、色艶鮮やかな音たちを奏でる完璧なまでのマルタ・アルゲリッチのピアノ。

Ravel, Gaspard de la Nuit - I. Ondine (Martha Argerich) 先ほど、サッカー日本代表とエジプト戦が終わった。4-1の快勝。先ずはめでたしである。大久保、前田の両フォワードが3ゴール奪う活躍で観ていて気持ちのいい試合だった。やはりフォワードが点…

人形作家・与 勇輝の世界展。ノスタルジーを掻き立て、愛おしさ募らせる着物姿の人形たち。

芸術の秋。先日、日曜日に人形を見てきました。前々から、その可愛さにいつかは間近で見たいものだと思っていた人形。もうすでにご存知の方が多いかと思われますが、着物姿の子供たちゆえか親世代などを思い出させ、どこか切なくて愛おしく、それでいて癒さ…

アルバン・ベルクの『弦楽四重奏曲作品3』(1925)』『弦楽四重奏のための<抒情組曲>』。拮抗し緊張を湛えた抒情と潤いのある弦楽の響き。

Berg Violin Concerto pt 1 - Frederieke Saeijs :1st prize in the 2005 Long-Thibaud Competition! シェーンベルク、ウェーベルン、アルバン・ベルクAlban Maria Johannes Berg(1885 - 1935)。彼らは、無調、12音技法による音楽を果敢した作曲家たちであ…

エリオット・カーター『ブラス・クインテット』(1974)の≪綾なす音の彩り≫その≪色艶≫に≪ヨーロッパ的精神の横溢する知的柔軟、構成の確かさ≫を聴く。

Elliott Carter: Enchanted Preludes 先日たまたま聴いていたNHK・FMの「現代の音楽」で98才今なお現役で作曲活動をしていると言うアメリカの傑出した現代音楽作曲家エリオット・カーター Carter(1908年12月11日 - )を取り上げていた。タイトルは≪ …

高橋悠治の『パーセル最後の曲集』(1974)。時を隔てた彼方よりの郷愁的な呼びかけの響き、静やかな愁いと魂鎮めのパフォーマンス。

Henry Purcell - Suite No.2 in G minor:Saraband:arranged and played on keyboards by yuji takahashi 高橋悠治 国会突入で東大女学生の死を結果するに至る60年安保闘争を主導した共産主義者同盟(ブント)の政治経済分析の理論的主導者だった経済学者…

アストル・ピアソラの『ブエノスアイレスのマリア』(1968)。素晴らしい泣きの入ったクレーメルのヴァイオリンがタンゴ・ヴァイオリン以上の洗練のパフォーマンスでタンゴ(=ピアソラ)への愛を歌う。

Libertango - Video de película Lección de Tango (Yo Yo Ma) アルゼンチンの音楽と言えばタンゴ。その≪強靱なリズム体の上に、ロマンティックな、時としてメランコリックな主旋律が泣くのがタンゴの魅力である。≫(WIKIPEDIA)そう、ダンスもさることなが…

戸田邦雄の『ヴァイオリンとピアノのためのソナタ』(1957)。日本で最初の12音列技法によるヒューマンな響の作品と柴田 南雄の12音列の巧みで余情歌い上げる『北園克衛の・三つの詩』(1954-58)。

柴田 南雄 今日は、現代音楽の啓蒙、教育などで貢献のあった作曲家柴田 南雄(しばた みなお、1916 - 1996)と日本で最初に12音列技法を使っての作品を書いた戸田邦雄(とだ くにお 1915 - 2003)二人の、その12音列書法をもっての良品がカップリングさ…

アンドリュー・ワイエスAndrew Wyeth(1917 - )。具象を突き抜け、ジワリと沁みこむ寂寥感。象徴の世界。

Andrew Wyeth 今日は、なんだか想念まとまりがつかず、本来はじっくりと鑑賞し且ついくらかの言葉を紡いでと思っていた私の好きなアメリカの画家、アンドリュー・ワイエスAndrew Wyeth(1917 - )の具象を突き抜け、沁みこむ寂寥感募る絵を貼り付け、またネ…

奈良・松伯美術館『山本丘人展』。静謐の気韻、余韻漂う幻想的なロマンティシズム。

連休の2日目は予報どうり雨には違いなかったけれど、昼前には止んで何を思ったか突然近場の松伯美術館へと足を運んだ。若い時ならいざ知らず、元来が出不精で時間をかけてまで美術館へと出向くほどまめでない。ダラダラと家や近辺で時間をつぶすのが休暇明…

クロアチアの『Dubravko Detoni』。炸裂の予感を感じさせるピアニッシモ。意志と情念がみごとなまでに関与したエレクトロアコースティックな音楽

Je Vous Salue Sarajevo - Jean-luc Godard 今日は旧ユーゴスラビアから1991年独立した、かの紛争絶えないことで名だたる東ヨーロッパ、バルカン半島に位置するクロアチア共和国の首都ザグレブの産であるDubravko_Detoniデュブラフコ・デトニ Dubravko D…

民の<うた>のエロス『日本の民謡』。

江差追分 今日は連休のあたま、しかも明日は雨との予報で、どうやら晴れはこの一日だけのようなのでお茶と握り飯を持って、連れ合いと裏山の池まで久しぶりのちょっと長めの散歩をしてきた。いわば森林浴といったところ。ハイキングにもならないおよそ5キロ…

パブロ・ピカソ。情感のにじみでる作品群を生み出した“青の時代(1901~1904)”のピカソで私は十分である。

『海辺の母子像』(1902) If I Told Him:Gertrude Stein A Completed Portrait of Picasso 昨日はグレン・グールドのバッハと青磁の記事だった。連想遊びではないけれど、今日は“青の時代(1901~1904)”と称されて多くの印象深い絵を残しているパブロ・ピカソ…

今日も凝りもせずグレン・グールドのバッハ『パルティータThe Six Partitas BWV825-830]』(2枚組)と、バッハをかけっ放しに、世の是非を越えた<無名>の作へと希求する芸術家。

Glenn Gould - Bach Partita No.6 (3 of 3) :5. Sarabande 6. Tempo di gavotta 7. Gigue 昨日の、グールドのバッハに引きつづき、今日も凝りもせずのグレン・グールドのバッハ。もういっこうに嫌にならず飽きもしないグールドのバッハ。これは何なのだろう…

固着したグールド脳が聴くグレン・グールド『イギリス組曲』2枚組みとウラジーミル・フェルツマンのバッハ。

Glenn Gould :English Suite No.1 In A BWV 806 私の脳は、聴覚は、グールド脳に固着してしまっているのだろうか。昨日例のごとくNHK・FMの「ベストオブクラシック」を帰宅途上の車中で後半部分わずか20分弱ばかりを聴いた。その流れていたピアノ演…

ポール・メファノ主宰する現代音楽の演奏グループ「The Ensemble 2e2m」。無調セリーの感性の一般化が、手練の演奏でいっそう美しく奏でられる。

現代音楽を主に演奏するグループ「The Ensemble 2e2m」(ちなみに2e2m の意味は"etudes et expressions des modes musicaux"( 英語で "studies and performances of musical modes")だそうである―ネットページより)を1972年に結成し、その後めざましい活…

ミュージックコンクレートの雄ピエール・アンリ。自然としての耳と手作業が生き生きと音を、ノイズを創造しているナチュラルヒューマンノイズ。

Pierre Henry en La Défense [VideosCaseros] フランス・ミュージックコンクレートmusique concrèteの雄、ピエール・アンリPierre Henryの久しぶりのブログ登場。 銀ジャケと呼称されているらしい銀ホイールの全面地刷りに墨文字のフランス・フィリップスよ…