yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

2007-09-01から1ヶ月間の記事一覧

アルフレット・シュニトケの「チェロ協奏曲第1番」(1985-1986)。保守的な様式に通奏する沈鬱な翳りをもつ響きに、九死に一生の透徹した<死>への、翻って<生>への眼差しを聴く。

Alfred Schnittke: Concerto per violoncello e orchestra n.1 (1986) 今日もまた古典曲と現代曲がカップリングされたアルバム。それもロベルト・シューマンRobert Alexander Schumann(1810 - 1856)と、最近しばしば登場する旧ソ連出身の現代の作曲家アル…

パティ・スマイスPatty Smyth。パンチのある、それでいてセンシティヴなアメリカの女性ロックシンガー『パティ・スマイスPatty Smyth』(1992)。

Sometimes Love Just Ain't Enough - Patti Smyth & Don Henley 誰かを愛しすぎるのは危険よ 信用できないのは自分の心だと知るのは悲しいこと 人が今いるところにとどまらないのにはわけがある ベイビー ときには愛だけじゃ足らないこともある 昨日のピータ…

ピーター・ガブリエル『ピーター・ガブリエルⅣ』(1982)。インテリジェントに躍動するエスニック・リズムサウンドに目を啓かれる。

Princess Mononoke ~ Peter Gabriel - "Rhythm of the Heat" 私にとって、ピーター・ガブリエルPeter Gabriel(1950-)は「レッドレインRed Rain」であり「スレッジハンマーSledgehammer」である。申し訳ないことだけれど、熱心なファンではなくてビッグヒ…

アンリ・デュティユーHenri Dutilleux(1916-)の弦楽四重奏曲「夜はかくのごとく」(1971-77)ほか。生成の場に立ち会うともいえる現代音楽を聴くということはスリリングである。

Ravel: String Quartet (part 1) -The Hagen Quartet アンリ・デュティユー Henri Dutilleux やはり現代音楽を聴くということはスリリングである。それも初めて聴く、初演を耳にする場合には、ことのほか期待を抱きながらのワクワク感をもっての鑑賞となる…

記憶の忘れ物。モーツアルト19歳の作品『ヴァイオリン協奏曲第3番KV216]』。優しく心をつつみ込み慰撫する濁りなき清らかな音色との出合い。

Yehudi Menuhin, Mozart Violin Concerto n°3 in G Major KV 216, Mv II Adagio 投稿音源のものではありません。 その作品名は分からないものの印象深く耳に残っているフレーズと再会したときの喜びは格別のものがある。あるいは感動してまさに聴いている曲…

アポロ8号の偉業に献呈されたジャン・ギローJean Guillou『VISIONS COSMIQUE』(1969)。そのインプロヴィゼーションは広大無辺際の没我の響きで教会に鳴り響いたことだろう。

6ème Saga de Jean Guillou 今日9月25日は中秋の名月とやら。月をめでるなどの風流はこちらにはとんと無く、ただ時たま気まぐれで思い出したように月見団子とススキが出窓やら、縁側に供えられていることはあるけれど。別にこの日だからというのではなく…

ベルナール・ビテBernard Bitet『La guepe(すずめばち)』(1971)。品と落ち着き、冷熱の引き締まった音響空間をつくりあげている創生期のフランス・フリージャズ。

ほとんど情報らしい情報がないままに(語学不足ゆえ)ブログ登場となる、今日のアルバム『La guepe(すずめばち)』(1971)はフランスのフリージャズ。ジャケットに記載されているメンバーに、フランスフリージャズ創成期の立役者の一人であるピアノのフランソ…

”我がときめき”のシャンソン歌手・岸洋子『希望』。

岸洋子 さよならも言わず、希望 「希望」 希望という名の あなたをたずねて 遠い国へと また汽車にのる あなたは昔の あたしの思い出 ふるさとの夢 はじめての恋 けれどあたしが 大人になった日に 黙ってどこかへ 立ち去ったあなた いつかあなたに また逢う…

金子由香利の美質のささやきとシャンソン。それに艶なる美貌。

金子由香利 時は過ぎてゆく きょうは金子由香利のシャンソン。というものの、前調べにとWIKIPEDIAを覗いたところ当人の記事が無かった。そこでシャンソンの項目を覗いてもうひとつ驚いたことに彼女の名前も見えなかったことである。これは一体どうしたことな…

マイケル・J・スミスMichael J. SMITHの「GEOMUSIC」。ケント・カーター(cello)とのシリアスなデュオ『LA MUSIQUE BLANCHE』(1975)

Michael Joseph Smith PBS Docu Prt1/3 投稿音源のものではありません。 どうした経緯でこのアルバムが手元にあるのか殆んど記憶にない。たぶん推察するに、ベーシストのケント・カーターkent carterの名前が見えたので買ったのだろう。ところが聴いてこのデ…

ドイツフリージャズのヘラクレス、ペーター・ブロッツマン。その疲れを知らぬ豪放なアヴァンギャルドテナーサックス。

Hot Lotta - After pam pam --- PART I ---- (Teil 1/2) GERMAN FINNISH JAZZ WORKSHOP 1973 ひさしぶりにドイツのアヴァンギャルド(じっさい彼はアヴァンギャルド芸術集団フルクサス(Fluxus)のメンバーだったそうである)、フリージャズパフォーマー、テ…

岸田秀『性的唯幻論序説』。「人間は本能が壊れた動物である。」それゆえ意識・幻想の世界を築き上げ、ヒトは逆立ちして生きている。≪人類において性にまつわる一切は幻想であり、文化の産物なのである・・・≫。

「 人 間 は 本 能 が 壊 れ た 動 物 で あ る 」 「人間は本能が壊れた動物」であり、それゆえ意識・幻想の世界を築き上げ、ヒトは逆立ちして生きている。いわゆる「唯幻論」の説である。まこと、この精神分析学者の岸田秀(きしだしゅう)先生は風変わり…

辛辣、毒舌、天の邪鬼。切れ味鋭く常識に抗い深い、内田樹×養老孟司両者の対談「逆立ち日本論」(新潮選書)。

「なにごとのおはしますをばしらねども かたじけなさになみだこぼるる」 西行 今日は、先日ベートーヴェンの弦楽4重奏・中・後期全集のCD6枚をセットで借りてきたわが町の小さな図書館にて借りてきた本『逆立ち日本論』についてのブログとしよう。紹介要…

ベートーヴェン『弦楽四重奏曲第15番イ短調Op.132]』第3楽章「病い癒えたる者の神への感謝の歌」の感動を動画と共に。

Beethoven, String Quartet 15 In A Minor, Op. 132, "Heiliger Dankgesang" - 3. Molto Adagio ほん少し前こんなに美しいフレーズをもつ弦楽四重奏作品がベートーヴェンLudwig van Beethoven、1770年12月16日ごろ(洗礼を受けたのが12月17日であることしか…

スティーヴ・レーシー『THREADS』(1977)。ヨーロッパでの長年の活動の持続力・評価は奈辺にあったのだろうか。

Steve Lacy さて今日は、ジャズ・ソプラノサックス奏者として、とりわけフリージャズ系のそれとして長年に亘って、ヨーロッパを拠点として活動していたスティーヴ・レーシーLacy (1934 – 2004)のアルバム『THREADS』(1977)をピックアップ。稿を起こす前にネ…

アルフレット・シュニトケ『ヴァイオリン協奏曲第2番』(1966)、同『第3番』(1978)ほか。弛緩を感じさせないそのインテンシブな響きと造形には、精神のありどころの余人との遠き隔たりをおもう。

Schnittke Concerto grosso for two violins-5.Rondo 6.Postl さて今日はつい先日たてつづけに投稿した旧ソ連を出自とするアルフレット・ガリエヴィチ・シュニトケ(Alfred Garyevich Schnittke、1934 - 1998 ハンブルク)を3稿目として投稿しよう。このアル…

ヨハン・セバスチャン・バッハのカンタータ第147番『心と口と行いと生きざまは』ほか。信じない者も<敬虔>という言葉が口をついて出てくる天上よりの音楽。

Dinu Lipatti plays J.S. Bach - Cantata BWV 147 もうすでにブログへ投稿していると思っていたヨハン・セバスチャン・バッハJohann Sebastian Bach(1685 - 1750)のカンタータ第147番『心と口と行いと生きざまは』および今日取り上げるレコードでカップリ…

ヘンデルは身構えることなく品よく聴ける。『ヴァイオリン・ソナタ』

HANDEL - Passacaglia -Perlman e Zukerman セバスチャン・バッハと較べてゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル(Georg Friedrich Händel 1685 - 1759)は、いくぶん明るく軽めなのだろうか、いやストレートといったらいいのだろうか。荘重さのなか、何か突き抜…

ヨハン・セバスチャン・バッハ『インヴェンションとシンフォニア・二声と三声のインヴェンション』。ともかく擦り切れるほど聴いている、飽きの来ない、嫌味のない、鼻につかない、稀な音楽。

Glenn Gould plays Bach~Inventions & Sinfonias (No.1 & 2) 中国で開催中の女子サッカーワールドカップでの、なでしこジャパン対イングランドの初戦は2-2の引き分け。オシムジャパンのオーストリアでおこなわれた3大陸カップ戦での強豪スイス戦は4-3…

イサン・ユン、カスティリオーニ、フェレゲラ、ケレメン。実に、およそ50年、半世紀前の<現代>音楽の成果であり、実践であった。敬して聴くべし。

Isang Yun - Quartet For Oboe And String Trio - II.part Internationale Ferienkurse für Neue Musik, Darmstadt 1958, von links nach rechts: Nam June Paik, Isang Yun, Francesco Yosio Nomura, John Cage ミルコ・ケレメンMilko Kelemen(b1924,Zagreb…

ユーグ・デュフールHugues Dufourt。靄とした響きのたゆとう印象『SATURNE』(1979)。フランス現代音楽・スペクトル楽派の創成期のメンバーの一人。

Dufourt: "Hommage à Charles Nègre" 今日取り上げるアルバムはフランス現代音楽の一つの大きな潮流(今もってそうなのかどうか不勉強ゆえ詳らかにしない)といわれているスペクトル楽派≪音響現象を音波として捉え、その倍音をスペクトル解析したり理論的に…

リヒャルト・シュトラウスの壮麗な管弦楽、オーケストレーション『アルプス交響曲』(1915)。

Renee Fleming - Strauss Four Last Songs - Strauss' 4 Last Songs - Im abendrot Renee Fleming sings the 4th of Strauss' vier letzte lieder. Proms, 2001. Renee Fleming - Strauss Four Last Songs - Beim Schlafengehen <第4曲「夕映えのなかで」 …

『名曲名盤300・20世紀のベストレコードはこれだ!NEW』(レコード芸術編・1999)。もう一度リストに目配せ参考にしながら、お勉強。

Renee Fleming - Strauss Four Last Songs - Beim SchlafengehenRenee Fleming sings the third of Richard Strauss' 'Vier letzte lieder'.:Luzerne, 2004. Conductor: Claudio Abbado. <第3曲「眠りにつくときに」 一日の営み、あるいは生活のための営…

イヤニス・クセナキス。抽象的論理(数学・論理学)の結果としての響きなのに、土俗の香りがする独特の響き。

Xenakis: "Akrata" 何回も聴いている所為なのか、もう音を、響きを聴いただけで作曲家が分かる。そういえば武満徹もそうだけれど、(ちなみに、愛娘からは、何を聴いてもおなじなのよね、との評言を賜ったそうだ。)今日取り上げるクセナキスも独特の響きを…

ゲイリー・ピーコックとキース・ジャレットの『TALES OF ANOTHER』(1977)。洗練されすぎと毒づきたくなる程によく出来たアルバム

Keith Jarrett Trio : Autumn leaves ゲイリー・ピーコックGary Peacock 極上のと言うか、あまりにも洗練され、まとまりよくパフォーマンスされていることに、苛立ちと、心地よさとを感じるというアンビヴァレントambivalentな思いにとらわれる。ストレート…

網野善彦(あみの よしひこ、1928 - 2004)の『無縁(むえん)・公界(くがい)・楽(らく)』。<無縁=自由>を生きる歴史の民。ビビッドに生き、動く人々の歴史への登場。

本のカバーにまことに的確に、その画期をなす勘所が記されている。すなわち≪「日本中世の自由と平和」。近世の縁切り寺、中世の市、古代のアジール、また遍歴する職人や芸能民たち――歴史の表舞台に登場しない場や人々のうちに、所有や支配とは別の関係原理、…

アルフレット・シュニトケのCD2枚組み『弦楽四重奏曲集』。研ぎ澄まされた刃先の上で聴いているようなテンション。重層、複雑なんのその、かなわんなと呟きもれる匠の技。聴くのに疲れる音楽だ。

Schnittke: String quartet No.1 (movements II-III) さっそく日曜日に図書館へ赴きアルフレット・ガリエヴィチ・シュニトケ(Alfred Garyevich Schnittke、1934‐1998)のCD2枚組みのクロノス・クァルテットによる『弦楽四重奏曲集』を再チャレンジとして借…

ピーター・ドラッカー『断絶の時代』(1969)。1969年すでにして「知識社会の到来こそ、最も重要な断絶(=社会の根源的変化)である」と時代を抉って診せた経営学者にして哲人の名著。

今日は目次で読む読書としよう。経済学の破綻は謂われて久しい。こんにち、大学での経済学部の不人気は新聞記事になるくらいのものだから一般的な趨勢なのだろう。これだけ予測の外れる立派な学問もめずらしい?現実分析に役立たない、そして尚且つ方針すら…

ソフィア・グバイドゥーリナ。マージナルからの不安を穿つ、奥深くせつなる陰影をもった響きの生成。瞑想的でもあり神秘的でもありといった、静かに激する、はりつめた響きと音色。

Sofia Gubaidulina: Viola Concerto - Yuri Bashmet pt.4 ブログに2回目の登場となる今日取り上げるソフィア・グバイドゥーリナ(Sofia Gubaidulina, 1931年 - )も、昨日のアルフレット・ガリエヴィチ・シュニトケ(Alfred Garyevich Schnittke、1934 - 199…

アルフレット・シュニトケの巧みさと匠、その≪多様式主義≫に感性の迸りと彫琢、高い精神性を聴く

Schnittke Piano Quartett (complete recording!) またまた、Jリーグサッカー中継それもガンバ戦を、それにくわえて世界陸上中継にも釘付けになってブログのための時間が無くなってしまった。今年に入ってNHK衛星でのJリーグサッカー放映が放映権料の問…