yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ユーグ・デュフールHugues Dufourt。靄とした響きのたゆとう印象『SATURNE』(1979)。フランス現代音楽・スペクトル楽派の創成期のメンバーの一人。

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Dufourt: "Hommage à Charles Nègre"

             

イメージ 2今日取り上げるアルバムはフランス現代音楽の一つの大きな潮流(今もってそうなのかどうか不勉強ゆえ詳らかにしない)といわれているスペクトル楽派≪音響現象を音波として捉え、その倍音をスペクトル解析したり理論的に倍音を合成することによる作曲の方法論をとる作曲家の一群。現在ではフランスの現代音楽の主流である。≫(WIKIPEDIA)の創成期のメンバーの一人であるユーグ・デュフールHugues Dufourt(1943 - )の作品『SATURNE』(1979)。このレコードには80年度のグランプリが与えられているそうだ。この作曲家は、スペクトル楽派として共に行動しているジェラール・グリゼー(Gérard Grisey, 1946 - 1998)やトリスタン・ミュライユ(Tristan Murail, 1947 - )ほどには知名度が劣るようだ。(いや、ひょっとして私が知らないだけかもしれないが)以前拙ブログでトリスタン・ミライユのアルバムで以下の2稿を投稿した。≪靄とした響きのたゆとう印象、未分明な生成の揺らぎに響くスペクトル楽派トリスタン・ミライユの『ETHERS』(1978)ほか。≫と≪音響の倍音スペクトルの推移を描く、具体としての<生>の響きと日本的な幽玄の余情。トリスタン・ミュライユl(1947 - )。≫だった。このデュフォールの作品も、おおよその印象は上記タイトルとした印象に尽きるものといえるようだ。≪音響分析や合成には、フランスの電子音響音楽研究施設IRCAMの果たした役割が大きい。≫(WIKIPEDIA)とされているように、というより、ポストウェーベルンの後の音響、音色創造に果たした電子音楽の影響はリゲティーなどの音群(音をマッス・塊として捉える)書法にもっとも顕著に現われているのと相同といえるのだろう。そのフランス的現象と言えるのだろうか。もやもやとした音響の印象は、それゆえにと言うべきか、いっこうにすっきりとしないのだけれど。今現在大きな革新の結実を結果せしめているのだろうか、残念ながら、そうした動きは音盤蒐集から遠ざかって全く不案内である。



Dufourt- Piano Concerto