yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

2007-05-01から1ヶ月間の記事一覧

時代を語る熱きことば<主体(性)論>。かようなコトバが飛びかっていた<日本フリージャズの>熱き時代のドキュメント。富樫雅彦と佐藤允彦のデュオアルバム『双晶』

佐藤允彦 『73年、日本フリージャズの熱気の渦』とタイトルしてずいぶんと前にブログを投稿した。それは1973年6-7月東京・新宿で「フリージャズ大祭・インスピレーション&パワー―14」と銘打って開催されたコンサートのピックアップ収録2枚組みレ…

ロマンの美意識を放擲し戦後高度経済成長の空洞化に呑まれる<戦>死を<体験>とする三善晃『レクイエム』(1971)と『変化嘆詠・一休諸国物語図絵より』

三善晃(AKIRA MIYOSHI) 「レクイエム」 第一部 Part 1 たまきわる いのちしななむ ゆうばえの ゆるるほなかに いのちしななむ (宗左近「夕映反歌」) 三善晃 はたしてこれは満足のいく作品だったのだろうか。聴いているうちにそうした印象がわいてきた。≪…

「目に見えないもの、誰かの思いとか、光とか風とか、亡くなった人の面影とか私たちはそういうものに心の支えを見つけたときに、たった一人でも立っていられる」グランプリ受賞。河瀬直美監督 『殯(もがり)の森』

殯の森(Mogari no Mori) / 河瀬直美 (Naomi Kawase) Trailer 河瀬直美監督 ひっきょう、生とは、その絶対限界の死からの反照であり限定であるだろう。メメント・モリ(Memento mori)である。生者にとって死とはたんなる無ではない。生者は死者とともにある…

政治と芸術。背反の苦悩。近代日本西洋画創生の、俗をも飲み込み踏台に徹せんとした<公>にも生きた黒田清輝の心意気を感じる作品。

「智・感・情」(1899)の連作3作品のうちの「感」 黒田清輝 & ラヴェル ピアノ協奏曲 黒田 清輝 黒田 清輝(くろだ せいき、1866年(慶応2年) - 1924年(大正13年))。日本の近代西洋絵画創成期の土台を築き上げた画家であり、政治家(子爵・貴族院議員…

ペルー先住民の壷とヨーロッパ中世の素朴な牛の絵に歴史への呼びかけを聞く。

ney flute pureloveravi ペルーの壷 きょうは音楽記事を一休みして、新聞で目に留まった画像二つを貼り付けて終えたいと思う。いま高松塚古墳の壁画保存で喧しいけれど、個人的にはあの騒ぎようはどんなものですかねといった印象ではある。文化庁のホームペ…

<地と血>の特殊を包摂した普遍的な人間のエモーショナルな緊密な響き。間宮芳生(みちお)の『セレナード』(1971)と『9人の奏者のための協奏曲』(1972)。

間宮芳生(みちお) 先日、実にひさかたぶりにバルトークを取り上げた。私は偏奇で偏狭なゆえか、同じく民俗、民衆音楽を探求しそれらの<地と血>を音楽の立脚とせんとしたといわれているコダーイなどには感心した覚えが無い。もっとも新古典主義派と音楽史…

虫がすだくのではない、電子ノイズがすだき鳴くのだ。鳥が囀るのではない、電子ノイズが囀(さえず)るのだ。人工・擬自然の新鮮な電子ノイズの響き。デヴィッド・チュードアの『RAINFOREST』(1968)

David Tudor - Rainforest (version1 complete) デヴィッド・チュードアDavid Tudor 先ほどのゴールデンウイークの折、繁華街にあるタワーレコードへ、ラジオで流れていて印象よかった白神 典子のブルックナーのピアノ曲!を探しに言った。<いたってシンプ…

やはり日本的余情・余韻がひびく『小出信也による現代日本のフルート音楽』(1971)。

Mei for Solo Flute - Kazuo Fukushima 小出信也 きょうは、アルバムとしてはちょっと地味な感じがしないでもないフルートの現代音楽作品集。タイトルは『小出信也による現代日本のフルート音楽』(1971)。地味というのも、たんにフルートという楽器がその…

ベラ・バルトーク『弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽』(1936)と『管弦楽のための協奏曲』(1943)。

Béla Bartók - Music for Strings, Percussion and Celesta, I ベラ・バルトーク きょうも先の日曜日に図書館で借りてきたCD鑑賞をする、の記となった。名曲中の名曲といわれている、いや事実そうなんだけれど、バルトークの『弦楽器、打楽器とチェレスタ…

<ウツ>のはてに雪崩れ込んでくる放心の充溢。インテンシヴな冷たい情熱・パトスに満ちたインプロヴィゼーション・ジャズ『The Music Improvisation Company 1968-1971』

Untitled 4 / The Music Improvisation Company 1968-1971 「氷ばかり艶なるはなし。苅田の原などの朝のうすこほり。古りたる檜皮の軒などのつらら。枯野の草木など、露霜のとぢたる風情、おもしろく、艶にも侍らずや」(心敬『ひとりごと』) さて、きょう…

保険業で財を成し余暇時間を作曲活動に費やした、ハチャメチャと斬新のアメリカアヴァンギャルドの魁チャールズ・アイヴスの『CHAMBER MUSIC』。

Charles Ives - Sonata No. 4 for Violin and Piano "Children's Day at the Camp Meeting" チャールズ・アイヴスCharles Ives きょうはひとことで云って、風変わりなアメリカの作曲家チャールズ・アイヴスCharles Edward Ives ( 1874 – 1954) のアルバム『C…

民俗音楽・語法からの不況和音の強烈放鳴が不羈なる精神性を強く感じさせるバルトーク『弦楽四重奏曲・3番・4番』。

Bartok String Quartet no.3 2 Movment ベーラ・バルトークBartók Béla シェーンベルク、ベルク、いや最高に張りつめ、透徹厳しいウェーベルンを聞いた身には、新古典派と称される作曲家群はなにかつまらなかった。ひとは、とりわけ若人は極端を好むの謂いの…

澄明な神域の音色の世界からロマンの薫り深く人間的な陰影をもった芳醇な響きへと100年の成熟を奏でるモーツアルトとブラームスの『クラリネット五重奏曲』

Mozart: Clarinet quintet, K.581 - Portal, Pasquier, Daugareil, Pasquier, Pidoux, Pennetier 投稿音源のものではありません。 人間味あふれふくよかで魅力的な音色を持つ管楽器として親しまれているクラリネット。ジャズでのベニーグッドマンなど映像で…

戦後美術としては史上最高値の約7,280万ドル(約88億円)で落札。マーク・ロスコ『ホワイト・センター』

マーク・ロスコ『ホワイト・センター』 ≪立派な作品ほど静謐で強い。 その静けさの底に、沸々たる精神が封じこまれているからである≫ (宇治山哲平) Feldman: "Rothko Chapel" マーク・ロスコMark Rothko 先日新聞記事にて、世界的なカネ余り、ようするにバ…

まさに日本が、冥く、もの哀しく歌っている井上頼豊の『日本のチェロ曲半世紀』(1977)2枚組。

井上頼豊 まさに日本が、冥く、もの哀しく歌っていますといったところだろうか。もろに日本の旋法が聞こえてくる曲ばかりと言ってもいいくらいだ。どうやらこの旋法とやらは好き嫌いなどといってられない生理でもあるらしい。今日取り上げるレコードも昨日と…

「静寂の中に祈りを見出すという」平義久ほか、共通感覚に余韻と間(ま)を聞きとる『東京五重奏団の世界』(1974)2枚組。

Yoshihisa Taïra ~ Pentalpha 平義久 セットもので、なおかつ一人一曲ずつ収録されている現代音楽物を取り上げるのは気が重いのだけれど。きょうは1974年度(昭和49年度)芸術祭参加作品『東京五重奏団の世界』2枚組み。三善晃『(5人の奏者のための)ノクチ…

「宇宙的郷愁」の存在学、宇宙的「無の気配」の存在学を読む稲垣足穂の『僕のユリーカ』、『人間人形時代』の宇宙論。

あんまり高邁なこと考えているんで、あほらしくて起きてられへんのや。 (稲垣足穂) 大学も文系なのになぜか、数学は昔から得意じゃなくても好きな科目だった。試験の点数がよかったわけでもない。なのに数学は好きだった。抽象が好きだったのだろう。気に…

日本の現代音楽の我がバイブル、秋山 邦晴著『日本の作曲家たち』(1978)上・下2冊。

秋山 邦晴 つねづねの自らの知的怠惰を言い訳することになるのだけれど、とにもかくにも、とりわけ現代音楽はとりあえず聞かなくては話にならないというわけで、音盤・音源を追うことを優先にし、文字で情報なりの知識を仕入れる事をおざなりにしてきた。い…

瑞々しくロマンの香りが濃厚、ブラームスの「シューマンの主題による変奏曲Op.9」ほかの『変奏曲集』NAXOS廉価盤。

Lili Kraus (1952) - Brahms - Variations Schumann op. 9 – 01 音楽鑑賞はもっとも好みとすること久しいけれど、いわゆる伝記、作品紹介などそうした関連本に目を通してきたことが殆んどないせいか、そうした基本的知識をいちじるしく欠いている。また鑑賞…

余韻に独特な武満の濃密な情緒性を、意図的に排除しているように聴こえた高橋悠治のピアノ。『武満徹の芸術・ミニアチュ-ル第3集』(1972)。

瀧口修造 『ピアノ・トリステ、武満徹と黛敏郎』と題してこのアルバム写真はすでに出されている。そこでは、ピアノ作品に関してというより、尾ひれもついている事だろう、あまりにも有名なピアノにまつわる悲話をめぐっての記事だった。シロウトの印象批評だ…

日本人におおいにフィットする音色と深い余韻で魅了する、濃密で知性的な響き。武満とゆかりのあるロジャー・レイノルズの「Ping」(1968)と「Traces」(1969)。

Roger Reynolds ~ Traces (1968) For ensemble and electronics さて、きょうはアメリカの作曲家ロジャー・レイノルズ Roger Reynolds 。実験的でありつつバランスの取れた知性を感じさせる、日本にもなじみのある作曲家。武満徹のオーガナイズする現代音楽…

日本的余情の響きと冥い情念のうめき。どこをとっても武満というほかないこの余韻深い響き。大島渚監督作品『愛の亡霊』(1978)オリジナルサウンドトラック。

Empire of Passion / In the Realm of Passion / Ai no borei (Seki and Toyoji) 武満徹の映画音楽。日本的余情の響きと冥い情念のうめき。どこをとっても武満というほかないこの余韻深い響き。≪映像と音とが緊迫感をたたえて切り結ぶ「一音の構造」の美学を…

研ぎ澄まされた感性から放たれるクールな熱さ。佐藤允彦トリオ『三昧(samadhi)』(1972)

Jazz Videoclip from Gary Peacock and Marc Copland. "Calls and Answers" http://video.google.com/googleplayer.swf?docid=-6624476745848134151&q=Gary+Peacock 佐藤允彦というジャズピアニストは、しかし考えてみれば不思議な魅力を持っているというべ…

<もの>「実質」の亡失。飢える精神の厳しさに耳そばだて、不可能性を生きるその激する内面のドラマを聴く『三善晃の音楽』(1970)3枚組

Akira Miyoshi ~ Trois Mouvements Symphoniques 三善晃はけっこう過激で戦闘的だ。その精神において。ロマン主義者、形式至上主義者などと括って足れりとは到底いかないようだ。その精神は激しい。収録の「弦楽四重奏曲第二番」それに「ヴァイオリン協奏曲…

深みのあるセピア色。抑制の美。滋味なことこのうえない後期ブラームスの『ピアノ小品集 第2集』NAXOS盤。

Brahms - Intermezzo Op.117-2 Glen Gould ブラームスとヨハンシュトラウス 先日に引きつづいて、連休中に中古CDショップにて買ったブラームスの『ピアノ小品集 第2集』。なんでもこのCDのピアニストは≪ケンプの愛弟子・イディル・ビレット idil biretが…

ベートーヴェンが幸せなのか、聴く私たちが幸せなのか。至福の味わい『ヴァイオリンソナタ』全曲。

Nathan Milstein plays Beethoven Kreutzer Sonata (1st Mov.) ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンLudwig van Beethoven 苦悩のひと、楽聖とは教科書で習いおぼえたベートーヴェンの謂いであった。マイブログについにベートーヴェン登場と相成った。 元来…

言わずもがなの流麗さ際立つピアニズム。渋く輝く洗練されたロマンティシズム。ブラームス『ピアノ小品集Vol.1』NAXOS廉価盤。

Rubinstein Plays Brahms Capriccio Op.76 No. 2 1973 ヨハネス・ブラームスJohannes Brahms 連休ということもあり、先日に引き続きタワーレコードへと足を運ぶ。きょうびのネット時代、アマゾンなどネット通販を利用して検索購入した方が手間いらずでいいの…

新興・新大陸のジョン・ケージの<偶然性>に対するヨーロッパ・エスタブリッシュメントのアヴァンギャルド?からの解答。ブレーズの管理された偶然性『Domaines』(1968)

Pierre Boulez - Le soleil des eaux Elizabeth Atherton (soprano), BBC Singers, BBC Symphony Chorus, BBC Symphony Orchestra, Pierre Boulez (conductor) - Barbican Hall, London, 4th November 2005 ピエール・ブレーズPierre Boulez 今日も取り上げ…

情動と理知の素晴らしいせめぎあい。1972年沸騰し、たぎるFMPフリージャズ。シュリッペンバッハのピアノトリオ『PAKISTANI POMADE』(FMP‐0110)

Alexander von Schlippenbach Trio - Sun-Luck Night-Rain アレキサンダー・ホン・シュリッペンバッハAlexander von Schlippenbach ひさかたぶりのドイツ・フリージャズの醍醐味。アレキサンダー・ホン・シュリッペンバッハAlexander von Schlippenbachのピ…

秀逸なジャケットを眺めてアルトサックスソロを聴く。アンソニーブラックストンの『FOR alto』(1968)。

Anthony Braxton - To Composer John Cage :For Alto (1969) アンソニーブラックストンAnthony Braxton 今日は、ジャケットで聴くジャズ。渋い、いかにもジャズ!?といった風情のジャケットに魅かれてのピックアップ。シカゴを拠点とする、商業主義から距離…