yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

瑞々しくロマンの香りが濃厚、ブラームスの「シューマンの主題による変奏曲Op.9」ほかの『変奏曲集』NAXOS廉価盤。

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Lili Kraus (1952) - Brahms - Variations Schumann op. 9 – 01

           

イメージ 2音楽鑑賞はもっとも好みとすること久しいけれど、いわゆる伝記、作品紹介などそうした関連本に目を通してきたことが殆んどないせいか、そうした基本的知識をいちじるしく欠いている。また鑑賞の傾向がマイブログ見てのとおり、<変わったジャンル>の現代音楽やジャズ、それもフリージャズだったせいで、ここでもいびつなことこの上ない。おおよそオーソドックスなことどもの欠如はなはだしく知的怠惰に忸怩たるものがある。ということで、最近ブログにしきりに登場するブラームスのサルでも分かるという程度の書物をさがしに町の図書館へ足を運んだ。無いではないか。本当に≪大バッハベートーヴェンと並びドイツ音楽に於ける「三大B」と称される一人である。≫(WIKIPEDIA)<3B>の一角なのか?ドイツ文化圏に重きをおく音楽史からの謂いでしかないのではと毒づきたくなるほどの寂しさである。ということであきらめた。いまは絶版だそうだけれど音楽評論家・吉田秀和ブラームス論の存在あるをネットで知ったことでいつか古本屋であいまみえることを楽しみとして、今回もいつものようにただ音盤を聴いての印象記。NAXOS廉価盤の後期ブラームスピアノ曲が気に入ったので、もう一枚とばかりに購入してきた。その一枚とは『変奏曲集』。帯には全5曲の変奏曲のうちの3曲収録とある。「シューマンの主題による16の変奏曲嬰ヘ短調Op.9」「ヘンデルの主題による変奏曲とフーガOp.24」「パガニーニの主題による変奏曲Op.35」の3曲。聴いた感想でのお気に入りの順序もこの順序だった。瑞々しさが際立っているのが「シューマンの主題による16の変奏曲嬰ヘ短調Op.9」であった。私にはスピリットがいちばん感じられた。もちろんロマンの香りが濃厚ということもあるのだろう。WIKIPEDIAを覗くとシューマンの没年(1856)の2年前の作曲とある。有名なクララ・シューマンとの三角関係?そうしたなかでのシューマンへの敬愛すらを感じさせる美しい作品となっている。以前、例の如く<ながら>の聞き流しでシューマンピアノ曲を聴いていた折、ベートーベンだなこれは、といった呟きが口を突いて出た。もちろん大いに違うのだけれど、影はたしかにあるように思えた。しかしブラームスになると、もう、そうした印象はもてぬほどに様式が変わってきているのを感じさせる。音色において豊麗多彩といった印象である。ベートヴェン(1770-1827)、シューマン(1810-1856)、ブラームス(1833-1897)が各々の生没年である。この時系列を思い聴くことであった。ところでWIKIPEDIAによるとこのCDの3曲目の≪「パガニーニの主題による変奏曲」作品35は、・・・パガニーニの有名な《カプリッチョ第24番 イ短調》を主題にした変奏曲で、フランツ・リスト門下のカール・タウジヒに献呈されているうえに、もともと芸術的練習曲として構想されたこともあり、情緒の深みと至難な超絶技巧の要求で名高い。≫とあったけれど、さてどんなものだろう。たぶんそうなんだろうけれど。リストにしろパガニーニなどは、どちらかといえば余り関心をおこさせない作曲家といこともわざわいしてか、先にも言ったように、私にはブラームスの若い時(21才)の作品である「シューマンの主題による16の変奏曲嬰ヘ短調Op.9」を聴くことの堪能でよしとした次第。書法上での洗練度合いなど、どうだか知らないけれどいちばん沁みた曲である。今のところ大がかりな交響曲などの作品は気が向かないけれど、当分の間シューマンブラームス室内楽、器楽曲を、現代音楽の合間あいまに追うことになりそうだ。