yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

2008-01-01から1年間の記事一覧

オリヴィエ・メシアンの自作自演『オルガン名曲集』(1969)7枚組み。わが除夜の鐘より、ひとまず先に神と共なる祈りの教会オルガンで心鎮めよう。

Messiaen L'Ascension, for solo organ Part One, performed by Olivier Latry at Royal Albert Hall during the BBC Proms 2008 season. Messiaen L'Ascension, for solo organ Part Two 108つの除夜の鐘で間に合うのかと云うくらいのいろいろな<変>が…

ボリス・ブラッハー『抽象オペラ第1 Op.43」(1953)ほか作品集』。ジャズの影響を親しく聴く。

Blacher - Die Flut - Nummer 8 きょうは、先にウルトラ・アヴァンギャルドのナム・ジュン・パイクのドイツ留学先での師として取り上げたヴォルフガング・フォルトナー Wolfgang Fortner (1907 – 1987 )とほぼ同世代の、ドイツの作曲家ボリス・ブラッハー Bo…

石井 眞木『響応・石井眞木作品集Ⅴ』。小規模、小品にこそ、その風貌に遠いこの作曲家のすぐれた感性を聴くことが出来る。

Maki Ishii - Hamon-Ripples [for chamber ensemble, violin, and taped music] この石井 眞木(いしい まき、1936 - 2003)はその風貌からエネルギッシュな音塊渦巻く音響の豪胆をイメージさせる。いや実際にそうした作品が少なからず遺されてはいる。だが…

新実徳英『風を聴く・新実徳英作品集』。風を聴き、音を成し<おとなう>何ものかを感得する。ヘテロフォニックに音は起ち上がる。

≪神はみずからものをいうことはない。神がその意を示すときには、人に憑(よ)りついてその口をかりるのが例であった。いわゆる口寄せである。直接に神が臨むときには、「おとなふ」のである。「おとなふ」「おとづれ」は神があらわれることをいう。それは音…

デレク・ベイリーとエヴァン・パーカーの『THE LONDON CONCERT』(1975)。イギリス・フリージャズ史が生んだ稀有なデュオ・インプロヴィゼーションの成果。放心の美、無明の明。

Derek Bailey and Evan Parker - improvisation #1 (excerpt) (1985/04/22) ≪そうなんですよ。音をつくっているとよくわかるんだけれど、音と接触するというのは絶対に放心することなんですよ。≫(武満徹『樹の鏡、草原の鏡』) そうです。これはまったくの…

アルヴィン・ルーシェ『BIRD AND PERSON DYNING/THE DUKE OF YORK』(1975)。手作りな電子変換されたシンプルな響きが、耳そばだてひたすら聴くことの真摯を要請する。

Lucier: "Music for Piano and Oscillators" 1/2 投稿音源のものではありません。 さて、きょうもワケ分からないつながりで、昨日に引きつづいてケージ以降のアヴァンギャルダー、今やアメリカ実験音楽の大御所の一人ともいえるだろうアルヴィン・ルーシェ A…

ロバートア・シュレイ『In Sara, Mencken, Christ and Beethoven There Were Men and Women』(1974)。空虚感ただよう<意味>性の剥奪?。

Robert Ashley 2/3 - In Sara, Mencken, Christ And Beethoven There Were Men And Women (1974) 馬齢重ね、この歳にもなると年の瀬というのは、なんだか気分がふさぐ。別に正月も晴れやかでも何でもないのだけれど。「年暮(くれ)ぬ笠きて草鞋(わらじ)は…

オランダ・フりージャズ組織ICP(インスタント・コンポーザーズ・プール)の創設者ミシャ・メンゲルベルグとハン・ベニンクのインティメイトなデュオ。

Misha Mengelberg & Han Bennink Duo – Improvisation ミシャ・メンゲルベルグ 今年の仕事納めのなんとせわしないことか。きょうクリスマス・イヴを終えたらもう雪崩をうつように仕事納め正月準備だ。余裕をもって順調に年が越せるご身分の人はいいけれど、…

桃山晴衣、作・編曲『遊びをせんとや生まれけん・梁塵秘抄の世界』(1981)。もっとワールドワイドでエスニックに遊んだ方が・・・。

遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん、遊ぶ子供の声きけば、我が身さえこそ動がるれ。 仏は常にいませども、現(うつつ)ならぬぞあわれなる、人の音せぬ暁に、ほのかに夢に見え給ふ。 先日、新聞訃報欄に桃山晴衣(ももやまはるえ)さんの逝去記…

芥川也寸志『管弦楽選集2』。オスティナートへの、それこそ字義どうり執拗なあきれるばかりのこだわり。

芥川也寸志 管弦楽作品集 Yasushi Akutagawa: Orchestral Works、交響三章 (1948) 、 交響管弦楽のための音楽 (1950)、弦楽のための三楽章 トリプティーク (1953)、、エローラ交響曲 (1958)、チェロとオーケストラのためのコンチェルト・オスティナート (196…

わが地元クラブ、今年度アジア・クラブチャンピオンのガンバ大阪がトヨタ・クラブワールドカップ3位の栄に輝く。おめでとう。

きょうは、サッカー尽くしの週休で、音楽ブログは休みとしよう。わが地元クラブ、アジア・クラブチャンピオンのガンバ大阪が勝ち進み、前年度の浦和レッズに続いて戦い挑むトヨタ・クラブW杯3位決定戦とマンチェスター・ユナイテッドが優勝をねらう決勝戦…

佐藤允彦『佐藤允彦 PLAYS 富樫雅彦 Vol.2』(2004)。親愛のこころ込めて語りかけるように書きためた優しき面持ちの小品の数々を、盟友の佐藤允彦がハートウォームな練達のピアノで親愛を奏でる。

子供の頃から親しんできた打楽器と別れるのはつらいけれど、そのぶん曲を書くのに集中できる。今はこれが大事な生き甲斐だ。これまで力になってくれたいろんな友だちのために歌をつくろうと思う。(富樫雅彦・03.9.26作「I'll sing for my friends」) 若き日…

ピーター・マクスウェル・デイヴィス『ANTECHRIST』ほか。作品の面白さ、鑑賞には文化的な前提となる知識、背景が不可欠なのだろうか。

DUDLEY MOORE ~ PETER MAXWELL DAVIES (1/2) 投稿音源のものではありません。 哲学でもそうだけれど、アングロサクソンのイギリスという国は日本と同様島国であるゆえなのかどうか、大陸のドイツ、フランスとはずいぶん違った印象がする。あまりにも粗雑だけ…

ダレン・アーモンド(英・1971-)。月明かりのもと長時間の露光で撮った日本の風景写真。淡い幽玄の雰囲気が滲み出て水墨画を思わせる風韻、気韻、静謐に佇む精神性に感じ入る。

主な読書?は新聞という、ここ最近のていたらくで情けない限りだけれど、先日新聞の小さなコラムで取り上げられていたイギリスの、1971年生まれの若手美術家の「月の光生かし日本の風景撮影」なる記事が切手大ぐらいのごく小さな画像ともども目にとまった。…

堤剛のチェロによる『チェロをめぐる日本の響き』。

一柳慧の世界 Part6 言葉なき原野はわれわれの故郷だ わが言葉の孕みは それに刃むかう民である一人の 痛みめざめる現存である ・・・・・ (自作「KIO」解説文・間宮芳生、黒田喜夫≪言葉のあとに≫より) 堤剛 『チェロをめぐる日本の響き』か。なるほどだ。…

シュトックハウゼン『ピアノ曲Ⅹ』(1954~61)。エキセントリックでワイドレンジ、クラスター音塊炸裂する凄いパッション。

Stockhausen Klavierstuck X (1/3) :Composition: Klavierstuck X (1956), Performer: Aloys Kontarsky Stockhausen Klavierstuck X (2/3) Stockhausen Klavierstuck X (3/3) 無秩序と秩序の間を相関的に調停しようと試みた。 シュトックハウゼン「ピアノ曲…

山下洋輔『ピアノ協奏曲 第1番 即興演奏家の為の≪エンカウンター≫』(rec2004)。山下洋輔のピアノが自作品のオーケストラ作品と遭遇しての即興演奏の感応妙味。冴えわたる山下節ピアニズム。

山下洋輔 - 4HANDS Part 2 国立(くにたち)音大の作曲科卒といえ、まじめに修学したのかどうかと思いつつ(学生時代、軟式?野球ばっかりしていたとどこかに書いていたと記憶するが)、ジャズ・ピアニスト山下洋輔の『ピアノ協奏曲 第1番 即興演奏家の為の≪…

中沢新一『僕の叔父さん 網野善彦』(集英社新書)。愛惜、愛情深く叔父網野善彦の業績、その画期をなす歴史民俗概念誕生の内側の一側面を描いて興味深い。

毎度のことながら、ダラダラとしたメリハリのない週休をおくってしまった。懐具合をおもえばこれで十分なのだけれど。お寒い人はジットしてるにこしたことはない。音楽を聴く、本を読む、それで十分だ。ところがだ。FIFA・トヨタ・クラブワールドカップ(W…

諸井誠『ピアノ協奏曲 第1番』(1966)。音列書法の流麗で洗練された清々しさ。これって日本人の作品?と印象することだろう。

最近は、現代日本の作曲家の音源をLPレコードからCDによる再発という動きが顕著であるらしく、それもロープライスにて提供されていて、現代音楽ファンとしては同慶のいたりだ。もっと多くの人にわが国の作曲家の優れた作品を親しむチャンスの与えられる…

阿部 薫ソロアルバム『なしくずしの死(MORT A CREDIT)』(rec.1975)2枚組み。ためらい、もどかしさ、ゆきづまりを聴くばかりだ。その凡庸なパフォーマンスが痛々しい。

Kaoru Abe - Mort a credit (1) 「限りなく死に近い生の絶頂点こそが究極的にジャズの美を保証するのかもしれない。」 小野好恵 さてきょうは、29才という若さで自死?した伝説的サックス・ジャズミュージシャン阿部 薫(1949 - 1978)の2枚組みソロアル…

マウリシオ・カーゲル『Der Schall』(1968)。ノイズの音楽への侵蝕の加速。楽音と騒音の価値相対をアナーキーに遊ぶインプロヴィゼーション。

Mauricio Kagel- Der Schall (4/4) Mauricio Kagel- Der Schall (1/4) Mauricio Kagel- Der Schall (2/4) Mauricio Kagel- Der Schall (3/4) ほぼ同じコンセプトでコレクティブ・パフォーマンスされたマウリシオ・カーゲルMauricio Kagel(1931 - 2008)のア…

ジョン・ケージ楽派?アール・ブラウン、クリスチャン・ウォルフ、それに御大ジョン・ケージの即興演奏集団「ジェントル・ファイヤ」による卓抜なリアリゼーション。

Brown: "Four Systems for Four Amplified Cymbals" ジョン・ケージ きょうは、有りとすればのことですがジョン・ケージ楽派(ニューヨーク楽派?)の、アール・ブラウンEarle Brown(1926 - 2002)、それとクリスチャン・ウォルフChristian Wolff, (1934 -…

チック・コリア・ピアノソロ『Expressions』 (1994) 。正確無比なクリアーなピアノタッチ。スマートすぎる音作り。変な言い草だけれど上手すぎて・・・といったところだ。

Chick Corea-Solo Piano フュージョンといったら語弊がるのかどうか分からないけれど「リターン・トゥ・フォーエヴァー Return To Forever」で大ヒット飛ばして以降のチック・コリア(Chick Corea、本名:Armando Anthony Corea、1941 - )には興味をもてず…

ハリソン・バートウィッスル『Verses for Ensembles』(1969)ほか。60年代のセリエールを基調としてはいるけれど、柔軟かつ生動的な活力を持った情趣豊かな、陰影とメリハリをもつ作品。

arrison Birtwistle: Antiphonies {1/4} さて今日は、いまやイギリスの作曲界の “重鎮”とやら称されているらしいハリソン・バートウィッスルSir Harrison Paul Birtwistle (1934-)のアルバム。好きな作曲の一人ではあります。陰影に富んでメリハリの効いた表…

山下洋輔『ラプソディ・イン・ブルー』(rec.1986)。空前絶後のすばらしいピアノソロ。コンサートグランドがフルレンジで鍵盤を疾走。豪快、かつ繊細に洋輔ジャズスピリットとピアニズムで快感響き渡る。

幻燈辻馬車 Yosuke Yamashita & Yutaka Sado 投稿音源ではありません。 かつてテレビコマーシャルにインド人もビックリといったカレーの宣伝文句があった。本場・本家もビックリといった意味合いで今でもよく使われていることだろう。まさにそのコトバが口…

ヴォルフガング・フォルトナー『トリプルム』(1966)ほか。 古典的美の堅実な中に感性の柔軟性を持って音列技法を融合した作品。無調でも斯く美しいのだ。

Wolfgang Fortner's Bluthochzeit (Stuttgart 1964) Modl ジョン・ケージのネクタイをはさみで切るというハプニングで知られた超ダダ、アヴァンギャルドの今は亡きビデオアーチスト、ナム・ジュン・パイク Nam June Paik 白南準 1932 - 2006)がドイツに留学…

ペーター・ブロッツマン&ハン・ベニンク、デュオ『EIN HALBER HUND KANN NICHT PINKELN』(1977)。心趣くままに<遊ぶ・スサブ>ダダ。

Bennink and Brötzmann parts 1, 2, 3 『遊ぶものは神である。神のみが遊ぶことができた。遊は絶対の自由と、ゆたかな創造の世界である。それは神の世界にほかならない。この神の世界にかかわるとき、人もともに遊ぶことができた。神とともにというよりも、…

間宮芳生(みちお)『無伴奏チェロ・ソナタ』(1968-69)、「無伴奏ヴァイオリンソナタ」(1970)。≪武骨で剄い美しさ≫。矜持、気骨の美学。

grave of the fire flies part 9(火垂るの墓)音楽:間宮芳生、挿入歌「はにゅうの宿」 県立青森中学校、ついで終戦の年に海軍兵学校に入学。・・・「兵学校に行くときは、音楽だけじゃなく、人生を一ぺん放棄したようなもんさ。みんなそういう感じだったで…

ロバート・フィリップ&ブライアン・イーノ『FRIPP & ENO』(1973)。さりげなく背景として流れゆく音楽、アンビエント・環境音楽の魁。瞑想的風情の漂うドローン音楽。

Fripp and Eno ~ The Heavenly Music Corporation Part 1 Brian Eno 言わずと知れた?ブリティッシュプログレッシブ・ロックのキング・クリムゾン (King Crimson)を率いていたロバート・フィリップ Robert Fripp(1946- )と、ブライアン・イーノ (Brian En…

アンジェイ・パヌフニク『天球の交響曲 Sinfonia di Sfere (Symphony No. 5) 』( 1974-75)ほか。意匠に時代の潮流が聴こえなくても、その精神は深い。

Panufnik: "Sinfonia Votiva" Mvt. 1 ポーランドの現代音楽といえば、まずクラスター音塊のソノリティの斬新と迫真、そして宗教的題材を前面に押し出した精神性の深い作品で自由主義圏西ヨーロッパに衝撃的デビューを果たしたペンデレツキ。そして世代的には…