yuki-midorinomoriの日記

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ハリソン・バートウィッスル『Verses for Ensembles』(1969)ほか。60年代のセリエールを基調としてはいるけれど、柔軟かつ生動的な活力を持った情趣豊かな、陰影とメリハリをもつ作品。

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arrison Birtwistle: Antiphonies {1/4}

           

イメージ 2さて今日は、いまやイギリスの作曲界の “重鎮”とやら称されているらしいハリソン・バートウィッスルSir Harrison Paul Birtwistle (1934-)のアルバム。好きな作曲の一人ではあります。陰影に富んでメリハリの効いた表出力の強い、つまりは端的に緊張感漂わせた、ある種演劇的印象のする作風だ。A面の「Verses for Ensembles( for five woodwind, five brass and three percussion)」 (1969) 。<アンサンブルのための詩(韻文)>とでも訳せばいいのだろうか。これなどパーカッションと管の効果的な使い方の所為もあるのだろうか、音色の多彩、艶、響きに興趣をもつ作品となっている。もちろん曲自体は60年代のセリエールを基調としてはいるけれど、柔軟かつ生動的な活力を持った情趣豊かな作品といえるだろうか。B面1曲目「Nenia: The Death of Orpheus(- a 'dramatic scene' for soprano, three bass clarinets, clarinet, piano, prepared piano and crotales)」(1970)。先に言ったようにこの曲も管の巧みな使い方が陰影深くしているのだろうか。声と楽器のバランスがきわだつ美しい作品。美しい楽器としての声。こういうのを聴くと西洋の詩(韻文)の文学伝統をおもい知る。2曲目の「The Fields of Sorrow(for two sopranos, chorus and sixteen players)」 (1972)は、タイトルに<悲しみ>の文字が見えるように、うち沈んだ精神性湛えたひじょうに美しい響きをもつ作品だ。声楽の絡んだ作品を聴くと、やはりかなわないなとの印象もつのだけれど、さてどうなのだろう。先日のドイツのヴォルフガング・フォルトナーと同様、このいまや“重鎮”・大御所と称されているハリソン・バートウィッスルも日本語WIKIに記事が見当たらない。残念なことだ。



収録曲――

「Verses for Ensembles(for five woodwind, five brass and three percussion)」(1969)
「Nenia: The Death of Orpheus(- a 'dramatic scene' for soprano, three bass clarinets, clarinet, piano, prepared piano and crotales)」(1970)
「The Fields of Sorrow(for two sopranos, chorus and sixteen players)」 (1972)