yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

2005-12-01から1ヶ月間の記事一覧

ピエール・シェフェールの尋常ならざる意志と生命のミュージックコンクレート

私たちはこうしたミュージックコンクレートの作り出す音を笑って済ますことがあっていいのだろうか。何もピエール・シェフェールがフランスのそうした世界の先駆的存在であることだけで重きをおいて言っているわけではない。日本人には到底考えられないほど…

存在の異和・齟齬が開示するルック・フェラーリの音世界『Presque Rien No 2』(1980)ほか。

Luc Ferrari - Music Promenade (2/2) [[embed(http://www.youtube.com/v/Iu39vLOuTEI,0,298,241)]] 「PRESQUE RIEN」<ほとんど何もない>というほどの意味らしいのだけれど非常に興味をそそるタイトル名ではある。意味に囚われる人間存在の逃れられないあ…

音連れの喚起力溢れる佐藤允彦・山下洋輔二人のインタープレイ

すばらしい才能の出会いが創り上げたインタープレイの見事な成果がここにある。現代音楽演奏にふさわしいとも思える冷静さを保ちつつコントロールされた理知的で醒めた演奏の佐藤允彦と、いわずと知れたスマートさを持ちながらのパッションの吹き上がりがオ…

ジョン・ハッセルの物憂いトランペットが奏でる瞑想的世界

Jon Hassell - Toucan Ocean(1977) http://www.youtube.com/watch?v=ChUMufI4vLY 奇妙な雰囲気をかもすアルバムだ。かったるく物憂く語るように揺れる独特のトランペット奏法。楽器ではなく握りこぶしを口に当てもう一歩の手のひらでミュートトランペットの…

豊穣多様なフィリップ・グラスの楽しめるミニマルミュージック

ひとつのことを掘り下げてゆくとかくも豊穣な世界が広がってゆくという格好の見本であろうか。このアルバムでは種々の楽器による反復の形の多様な展開が聴ける。スペシャリストであることの見事さといえばいいのか、反復の形式が生み出す音響イメージが次か…

響きの豊麗さに命吹き込むルチアーノ・ベリオ

Berio ~ Sinfonia Section III (pt 1) http://www.youtube.com/watch?v=f4FU8jOoTAM 30数年前、多分このレコードアルバムを購入し鑑賞しながらその解説文からルチアーノ・ベリオのつれあいがニューヨーク育ちの日本人であったことを知ったはずなのだけれど…

時代を突き破った山下洋輔プロトジャズ宣言の実践

山下洋輔が大きくブレークしたのは60年後半であった。そうした時代のエポックメイキングな出来事に若き日の時を同じくする僥倖は、何物にも変えがたい至福である。1960年後半、全共闘の東大安田講堂占拠、そこでの警察機動隊との騒然とした攻防に象徴…

ベトナムの現代音楽作曲家ヌエン・ティエン・ダオに聴く世界の深さ

ベトナムの優れた現代音楽作曲家のヌエン・ティエン・ダオNguyễn-Thiên Đạo (b. Hanoi, Tonkin, French Indochina, 1940) の作品集。エリートではある。1940年ハノイに生まれ、フランスのコンセルバトワールでオリヴィエ・メシアンに作曲を師事、作曲科…

すべての音を相対化するジョン・ケージのライブパフォーマンス

ジョン・ケージを語るだけでうっとうしがられるのも分からないでもない。その概念、方法はともかくとして、作品として聴くにつけ本当のところクエスチョンマークだらけではなかろうか。初期のさまざまな作品にはよくサティーがひきあいに出されるように純朴…

スマートにパッショネートする山下洋輔のピアノソロ

まぎれもなくオリジナリティ溢れるその演奏スタイルで多くのジャズファンをかくもながきに亘って魅了し続けてきた山下洋輔の功績は最大級のものであろう。リアルタイムでこの才能を見聞きできるのは大いなる至福といえよう。フリージャズインプロヴィゼーシ…

ジョン・ケイルとテリー・ライリーのミニマルポップミュージック

John Cale & Terry Riley - Ides Of March http://www.youtube.com/watch?v=_zkk2a0IYVs このアルバムはいわゆる反復音楽・ミニマルミュージックでその名が挙げられるテリー・ライリーと、時代を画したポップアーティストのアンディ・ウオホールとルー・リー…

音楽無産者小杉武久のエレクトリックウェーブメッセージ

この時期60年後半以降、音楽時代史にせり出してきたミニマルミュージックの潮流は集団即興演奏の動きをももたらした。フリージャズの盛況と併走するそれら現代音楽シーンでの動きも一定程度の成果が記録されている。50年以降、論理の極限どんづまりまで…

<数寄>にあふれるブロッツマンのフリージャズ

きまじめさが現代音楽をつまらなくしている要素のひとつであるとは言えよう。何もそう意味ありげにくそまじめに楽器を奏でることはないだろうとは常々思うことである。打楽器演奏にしろ、グラフィックスコアー等によるチャンスオペレーションによる演奏にせ…

ピエール・アンリの生きたダンス用ミュージックコンクレート

Pierre Henry - 01 - 04 - Prologue / Psyche Rock / Jericho Jerk / Teen Tonic http://www.youtube.com/watch?v=s4cxFXgMmt4 モダンダンスにその名を歴史に刻むモーリス・ベジャール、彼の舞台音楽を数多くてがけているよきパートナーのPIERRE HENRYピエー…

ローゼンブームのコンピューターが奏でるミニマルミュージック

ふたたびみたびのDAVID ROSENBOOM・デビッド・ローゼンブーム、ほぼ四半世紀前となるであろう購入当時この作品の印象は多分さほどのものではなかったのだろう。ただコンピュータと、脳波を素材に風変わりなことをしている作曲家がカナダにいることぐらいの知…

ピエール・アンリの未来派ルイジ・ルッソロへの賛歌

Luigi Russolo-Corale 1921 (Classic Industrial Noise/Experimental Music) http://www.youtube.com/watch?v=KHvcdAvORFw&feature=related 『・・・うなりをあげる自動車は、<<サモトラケのニケ>>よりも美しい。・・・』(未来派宣言(1909年)より)。イタ…

フォルケ・ラーベの心地よく複層する電子音の響きのゆらぎと波打つハーモニー

Folke Rabe Bo Anders Persson WAS? pt 1 http://www.youtube.com/watch?v=QT3gstND7XA Folke Rabe - What?? 1/2 (1967) http://www.youtube.com/watch?v=kMx9GYldyPA ドイツWERGOレーベルによる現代音楽シリーズ中のスエーデン作曲家であるFOLKE RABE,BO A…

ファウストの骨のレントゲン影像と現代音楽

この時期70年以降、現代音楽よりもロックシーンが面白かった時代であったのかもしれない。さまざまな音響、音色等の産業技術および現代音楽等が創造開発した成果を巧みに音源として取り入れていたのはロック界であったといえよう。ジャズがロックに音楽創造…

脳波が奏でるローゼンブームの電子音響作品

Donald Buchla が開発した『BUCHLA』なるシンセサイザーの音自体の貧相な電子音がローゼンブームによる作曲演奏によってかくも豊かな相貌をみせたのは驚きである。人間の脳波の分析応用がコンピュータを介してシンセサイザー演奏に反映されているそうなのだ…

NEW DIRECTION UNITの空間を埋め尽くす音の驀奏する無秩序

Takayanagi - Free Form Suite : 3rd Movement (1972) http://www.youtube.com/watch?v=7GK4_WXXmD8 Masayuki Takayanagi & New Direction Unit "Second Session (Mass Projection)" https://www.youtube.com/watch?v=GUd0SbegdMQ&list=PLzjVL_PH1luypSiRKV5…

セピア色で横尾忠則謳う日本の近現代

Toshi Ichiyanagi :From Tadanori Yokoo Toshi Ichiyanagi II Electric Chant http://www.youtube.com/watch?v=HJuLBycxImg 子守唄から記憶は語られる。音速で時間を逆進するかのように糸を引くような長い超高音の電子音のうちに、われらが父親たちの思い出…

ギャビン・ブライヤーズの静穏に聴く反復繰り返しの生の真実

人のおおくの事どもが堆積し生のふくらみが増す。ゆったりとした時間の流れに人間の一生のさまざまな事どもが昇華し時間のかなたへ愛のまなざしと祈りと共に静かに消え行くような、まるで人間の人生を穏やかに讃歌しているかのようだ。同じことの反復繰り返…

クセナキスの超出する意志、打楽器作品「ペルセファサ」

http://jp.youtube.com/watch?v=16eEQ3X1jRs Xenakis- Persephassa (1/3) 具体としての音、この打楽器だけの作品を聴いてるとそのように思える。呼び込む力が際立っている。聴いている人間に音で迫ってくるその音響世界の緊迫は、やはりクセナキスの独創であ…

ヴァルネラブルな静謐の心によりそうマイケル・ナイマンのミニマルミュージック

1 - 100 - Michael Nyman 'Decay Music'.mp4 http://www.youtube.com/watch?v=xfrmWdTwjO4 主張しない音楽。少なくともオーソドキシーな音楽は何らかの表現でありメタファーとして音を位置づけ奏でている、それが作品であることの成立の前提でもあろう。だか…

場所の量子化に「在る」事を目論む近藤譲の「線の音楽」

この作曲家の感性がもっともよく現れているのが、このアルバム『ブルームフィールド氏の間化』でのテープ音楽作品のように私には思われる。「線の音楽」と称し自らの革新のコンセプトを提示し登場した作曲家。無調12音でもなく意味連関の断ち切られた特異…

ルー・リードのアナーキー極まるメタルマシーンミュージック

Lou Reed Metal Machine Music http://www.youtube.com/watch?v=Zr0KkzbbqPI&feature=fvste1 アメリカポップアーティストのアンディウオホールとのコラボレーションで有名なベルベットアンダーグラウンドのギタリスト、ルーリード。彼が制作した凄まじいまで…

存在を励起するクセナキスの加速する電子音響

http://jp.youtube.com/watch?v=iJRrM4TpXSQ Xenakis: "Hibiki Hana Ma" 1/2 Iannis Xenakis("Hibiki Hana Ma" (1969-70). An electro-acoustic work for 8-channel tape.) http://www.youtube.com/watch?v=bvmQ5kl94AU&feature=related Xenakis: "Hibiki Ha…