yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

落ち着きと精神性、粛然の品格。至高の輝き放つ渾身の音楽史的作品ウジェーヌ・イザイ『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品27 』(1924) 。

Eugene Ysaye - Sonata No. 4 in E minor Maxim Vengerov - Eugene Ysaye - Sonata No 3 in D minor, Ballade Op. 27 ウジェーヌ=オーギュスト・イザイEugène-Auguste Ysaÿe 無伴奏ヴァイオリン・ソナタといえば、ヨハン・セバスティアン・バッハが先ず挙げ…

現世超越の意志的想像力。その特異独創のクセナキスの響き。チェロ独奏曲『Nomos Alpha』ほか。

Nomos Alpha (Iannis Xenakis), part I ヤニス・クセナキスIannis Xenakis 右写真は祖国ギリシャ・抗-独裁政権、反ナチ・パルチザン(死刑宣告受けるにいたる)での九死に一生を得る戦闘傷跡生々しい正面よりの自画像。生前には見られなかったはず……。 ひさ…

くせのある独特のこぶし回しでの哀調の帯びた歌唱、森繁節。森繁久彌『心のうた・知床旅情』。

船頭小唄 森繁久彌 森繁久彌は、元気でいるのだろうか?トンとテレビにも出てこなくなった。もっとも1913年生まれというから、おん歳、94才ということになる。ということからか≪老年に入ってからは長寿の為、友人や仲間が先に亡くなる事が多く(子息も先に…

音の余韻をひたすら聞く、武満絶頂期の作品でありアルバムなのでは?『TASHI plays TAKEMITSU』(1978)。

Toru Takemitsu"Textures" / NHK Symphony Orchestra ≪神はみずからものをいうことはない。神がその意を示すときには、人に憑(よ)りついてその口をかりるのが例であった。いわゆる口寄せである。直接に神が臨むときには、「おとなふ」のである。「おとなふ…

どうして神は、天におわ(御座)すのか?

白川静 【みそなわ・す【見そなはす】 [動サ四]《「みそこなわす」の音変化》「見る」の尊敬語。ごらんになる。 「磐戸(いはと)を細めに開け―・す」〈神代紀・上〉】 どうして、神は天、上に方位を持つのか?。神は天より降りてくるものという。地下より顕る…

「花、無心にして蝶を招き、蝶、無心にして花を尋ぬ」まさに音自体となり、音ないを聞く≪眼の人ではなく、耳の人と言ってよい≫良寛。

≪人の五官は、視覚と聴覚とを主とする。見と聞とが、外界に対する交渉の方法であった。しかしそれは、単なる感覚の世界の問題ではない。「みる」とは、その本質において、神の姿を見ることであり、「きく」とは、神の声を聞くことであった。そのように、物の本…

絶巓なす響きの芳醇、ロマンと悲愁の極み 。熟成の生の薫り高い室内楽。ブラームス『弦楽五重奏曲第二番』と『クラリネット五重奏曲』。

Thomas Friedli - Brahms Clarinet quintet 1st mov. (audio) ヨハネス・ブラームスJohannes Brahms どうやらこの作品『弦楽五重奏曲第二番ト長調 作品111』(1890)あたりが、 ヨハネス・ブラームス Johannes Brahms(1833 - 1897)の 絶巓なのかどうかは、…

洋々の気宇と愉楽のうちに親しみのある美しい曲。若々しいロマンの前に、その憂愁はいまだ背後にあるブラームス『ピアノ四重奏曲 第1番 ト短調 作品25』とシューマン『幻想小曲集 作品88』。

Brahms Piano Quartet 1 (1/5) op. 25 in g min Allegro 投稿音源のものではありません。 ヨハネス・ブラームスJohannes Brahms 先日のブラームスの『ヴァイオリンソナタ』にひきつづいて、今回もわが町の小さな図書館での貸し出し音楽CDからの、音楽鑑賞…

ユーラシア・ヨーロッパ的精神の横溢する知的柔軟な感性。エリオット・カーターの初期作品『Sonata for Cello & Piano』(1948)ほか。

Elliot Carter, Sonata for Flute, Oboe, Cello and Harpsichord (1952), Sylvia Marlowe - Part 1 エリオット・カーターelliott carter またまたエリオット・カーターElliott Carter(1908-)の登場である。ジャケットからやおらレコードを取り出すや針をお…

アントン・チェーホフと郭璞(かくはく)

「どうして人間は、老境に入ってから、自分の感覚を監視したり、自分の行いを批判したりするんだろうね?なぜ若い頃にそれをやらないのかな?老年と言うのは、それでなくてさえ、堪えられないものなのに……そうだとも……若い頃には生活全体が、ほとんど意識に…

幸か不幸か、ジャズ史上の傑作として芸術にまで祭り上げてしまったマイルス・デイヴィス『カインド・オブ・ブルーKind of Blue』(1959)。

So What by.Miles Davis マイルス・デイヴィスMiles Davis マイルス・デイヴィスMiles Davisの『カインド・オブ・ブルーKind of Blue』(1959)語ることもなしの名盤、ただひたすら聞くのみ。と済ませばいいのだけれど、文字を綴ってのブログとあってはそれで…

現代音楽の正統的最高水準の、その厳密で緻密なきらめき流動する音色世界を体験、ピエール・ブーレーズ4枚組のCDアルバム。

Boulez - Dérive I - Ensemble Intercontemporain – Eötvös ピエール・ブーレーズPierre Boulez 4枚のCDアルバムが入っており、収録曲の総演奏時間が3時間56分。どうしたものやらと言う感じである。逐次取り上げるにはボリュームがありすぎ、おまけに現代…

会津八一のうたで春の訪れをおもう。

暖冬での陽気ゆえ、梅をとおり越して桜かとまで云っていたのに、ここ最近の寒の戻りにいささか体も心も縮こまり意気上がらない。わが町の図書館のリサイクル図書として放出された文庫本である会津八一の『自註鹿鳴集』(新潮・文庫)をパラパラと拾い読みして…

大バッハの心うつ原曲をピアノ編曲で時を越え今一度の余白の点睛を聞く。高橋悠治のバッハピアノ編曲作品集『YOUJI PLAYS BACH』

Helene Grimaud Chaconne in D minor -1- フェルッチョ・ブゾーニFerruccio Busoni これは、商業的に売れ線を狙って作られたのかと勘ぐりたくなるほどに、バッハの美しさに満ちたピアノ編曲作品集『YOUJI PLAYS BACH』であった。針を落とし聞…

<しみじみ>が滲みてくる老いの影。ブラームスの『ヴァイオリンソナタ』3曲

Brahms: Violin Sonata nº1 (Adagio) ヨハネス・ブラームスJohannes Brahms あまりの無知をさらけ出すようでブラームスなど取り上げるのは憚られるのだけれど、たまたまわが町の、蔵書もしれた小さな図書館で借りてきたのがヨハネス・ブラームス(Johannes B…

自然と人間が織り成す神話的精神・物語を交えた詩の精華、北欧の澄明で神話的な余情と民俗の香り、彩りでロマンティックに魅せるエドヴァルド・グリーグの『組曲「ホルベアの時代より」Op.40』。

Vincent van Gogh Edvard Grieg's "Holberg Suite" as background music. ノルウェーといえばグリーグとムンクだけれど背景音楽が記事に適さずゴッホです。Art Gallery - Edvard Munch エドヴァルド・グリーグ Edvard Hagerup Grieg 先日ひさしぶりに古本屋…

古雅典麗にして叙情的な美しいメロディー、近現代の洗練華麗なオーケストレーション。『リュートのための古風な舞曲とアリア』(1931)

RESPIGHI: Suite No. 3, Siciliana & Italiana - Paintings By "CARAVAGGIO" オットリーノ・レスピーギ カラヴァッジオ オットリーノ・レスピーギOttorino Respighi マイブログのYOUTUBE館に昨日貼り付け展示したのでどうかなと思ったのだけれど、そ…

漢詩漢文のもつ味わいのある奥深い多彩な表現のつまみ食い。『漢詩名句辞典』(鎌田正、米山寅太郎著・大修館書店)

Chinese Painting and Calligraphy in 3D 先日、ひさしぶりに古本屋へ覗きに行ってきた。まさに覗きにである。暇つぶし。もう本を買っても読みきれないほど、いや人生をもういっぺん繰り返してもたぶん読みきれないほど埃をかぶった本で棚が埋まってしまって…

ヨーロッパ・セリーの精華を作品に結晶、現代アメリカの抜きんでた作曲家エリオット・カーター『DOUBLE CONCERTO』(59-61)と『Duo for violin & piano』(73‐74)

Elliott Carter: Duo for Violin and Piano [2/2] エリオット・カーターElliott Carter まだブログには登場していないけれど、間宮芳生(みちお)のヴァイオリンソナタも、??の印象で、どうしたものかと了解しがたく考えあぐね、そのままうっちゃたままで…

「それはなんの役に立つんですか?」

内田樹(たつる)神戸女学院大学教授 「それはなんの役に立つんですか?」と教育現場に立つ内田樹(たつる)教授は、よく学生から訊ねられるらしい。その気持ちは分からないでもない。心のどこかで私なども呟いていただろうから。しかし、斯くまで<学ばない…

ヒリヒリとする<生きて存る>ことの哀しみが通奏する中原中也の詩と、帽子。

中原中也の出身地、山口県湯田温泉の中原中也記念館で、トレードマークともいえるあの特徴的な山高帽が記念館オリジナルグッズとして19,000円の受注生産で売られているとネットで知った。買ってどうするのだろう。被りでもすれば天才詩人の詩が口をついて出…

無に哲学する日本、東洋の心性その親近性、精神の純度たかく響くハンス・ツェンダー(1936 - )『LITANEI fur drei Violoncelli』(1976)ほか。

ハンス・ツェンダーHans Zender 今日紹介するのはドイツの作曲家ハンス・ツェンダーHans Zender(1936 - )である。彼は≪宗教的には十字架と観音様を一緒に自宅に祭るほど多神教的である≫(WIKIPEDIA)のだそうである。ここ最近あまり名の知れていない、とい…

厳かさえ醸すサインウエーブの緩やかな動きで内省的であり精神性をつよく感じさせるベルント・アロイス・ツィンマーマンの電子音楽作品『Tratto』(1966)ほか。

Bernd Alois Zimmermann : Perspektiven (1956) {PART 1/2} ベルント・アロイス・ツィンマーマンBernd Alois Zimmermann 先日のブログ記事で、≪1938年、ベルリン生まれ。ヨーロッパ・ジャズ界の重鎮。ケルンの音楽大学でベルント・アイロス・ツィンマーマン…

ジャケットデザインにふさわしい落ち着きと風格、品格さえもつ現代のチェロ協奏曲。ディティーユとルトスラフスキーの2作品をロストロポーヴィチで聴く。

Dutilleux- Cello Concerto (1/5) ムスティスラフ・ロストロポーヴィチMstislav Rostropovich まるで、古典曲を収めた風情のデザインのアルバム。これが今日取り上げる世界初演と小さく肩口にうたわれているフランスのアンリ・ディティーユHenri Dutilleaxと…

生き生きとして情動する確たる生の賛歌、間宮芳生の『無伴奏チェロ・ソナタ』(1968-69)ほか。堤剛独奏の『現代日本チェロ作品集』(1971)。

Mayuzumi's "Bunraku" for solo cello 堤 剛 たしかに、誰が聞いても、そこに日本の伝統芸能、といってもさほど時代をさかのぼるわけでもないけれど、文楽、浄瑠璃の音楽の趣を聞くことだろう。黛敏郎の『無伴奏チェロのためのブンラク』(1960)。他のこうし…

誇りうる日本の現代音楽3作品、その深さと高みを1970年結成された演奏家集団『室内楽’70』(1976)で聴く。

Meditation "Higan-bana" (Yoshio HACHIMURA ) 三善晃 ヴァイオリン植木三郎、フルート野口龍、そしてピアノが松谷翠(結成時は若杉弘)というトリオで、1970年結成された演奏家集団『室内楽’70』。≪現代日本の代表的な作曲家の皆様に新作を委嘱、さしあ…

現代音楽的なピアノタッチにブルージーなトーンが熱く激するアレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ(1938-)の『ピアノソロ』(1977)。

アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハAlexander von schlippenbach アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハAlexander von schlippenbach(1938-) 。まあ、なんといかめしい名前であることか。 ≪ドイツの貴族は「フォン(von)」、フランスの貴族…

惰性の美学の安穏に揺さぶりをかける、荒涼とした冷えの情熱の世界ハインツ・ホリガー『弦楽四重奏streichquartett』(1974)。

Heinz Holliger, Streichquartett No. 1 1973 Part One Berner Streichquartett この驚くべき『弦楽四重奏streichquartett』(1974)。およそその端正な顔立ちから生まれでたとは想像できないほどの作品である。作曲家ハインツ・ホリガーHeinz Holliger(1939…

聞くことがすなわち悦びであるといったドビュッシーのピアノ曲。ミシェル・ベロフで聴く。

Pollini plays 2 preludes by Debussy as encores in Japan ミシェル・ベロフMichel Beroff 案の定というべきか、サッカーJリーグ開幕とあって、テレビ中継が2試合もあり、すっかり観戦に時間を費やしてしまった。浦和レッズと今期長年の苦節実り一部昇格…

ジャケットデザインの力強いタイポグラフィー同様インテリジェントとパワーを堪能させる、エヴァンパーカーのサックスを加えてのピエール・ファーヴルクァルテット。

Pierre Favre Quartett - What Happened To The Old Cop Sets, Clancy? エヴァン・パーカーEvanParker ≪女性版山下洋輔か、はたまた女性版セシル・テイラーか。イレーネ・シュヴァイツァーをピアニストに疾走するピエール・ファーヴルトリオの『サンタナSANT…