ジャケットデザインにふさわしい落ち着きと風格、品格さえもつ現代のチェロ協奏曲。ディティーユとルトスラフスキーの2作品をロストロポーヴィチで聴く。
ムスティスラフ・ロストロポーヴィチMstislav Rostropovich
まるで、古典曲を収めた風情のデザインのアルバム。これが今日取り上げる世界初演と小さく肩口にうたわれているフランスのアンリ・ディティーユHenri Dutilleaxと、ポーランドの良識、革新の真正といえる、戦後を代表する作曲家ヴィトルド・ルトスラフスキーWitold Lutoslawski(1913)のチェロ協奏曲2作品が収められたアルバムである。
チェロ独奏は、旧ソ連の名手、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチMstislav Leopol'dovich Rostropovich, (1927 - )。
2作品ともよくできた作品で、ひじょうな魅力を感じさせること請け合いの出来栄えである。ジャケットデザインにふさわしい落ち着きと風格、品格さえもつ2作品。これはぜひとも聞くべき現代のチェロ協奏曲といえるだろう。ディティーユのすばらしくオケが鳴るオーケストレーションのセンス。それとルトスラフスキーの緊張感漂わせた引き締まる音の世界。その何かを予感させるかのようなチェロによる同音の反復から事は始まる。一挙に劇的に展開するのではない、たえざる他者との交感のうちに曲はその流動を加えていく、そう、ダイナミズムを獲得してゆくのだ。それがことのほか緊張を醸成してゆく。やはり私たちとは感性がどこか違うようだ。余韻余情というより、月並みだけれど、構想的展開に、骨法があるような音つくりだ。これがいたく感動させるのだ。捉えて離さぬ楽曲展開の凄さ、ゆるぎなさ、力技には感嘆のほか無い。スピリットの充溢素晴らしいチェロ協奏曲として、ジャケットデザイン通り、後世の古典として残る名品であるだろうことをここで言い募っておこうと思う。ぜひとも聞いてほしい作品である。
もちろんロストロポービチの戦後を代表するヴィルトーゾのチェロも与っているのだろうけれど。そして、順逆になったけれど、アンリ・ディティーユの作品、これには「はるかなる遠い国……」という副題がつけられており、それは、作曲当時大きく感化されていたというシャルル・ボードレールの「悪の華」にある詩<髪La Chevelure>の詩句からとられたということである。別にボードレールの名が出てくることからの安直な類推ではないけれど、ロストロポービチのチェロの響きの艶めく移ろいが、ことのほか官能的に呻き、すすりなき歌う。古典的様式にありながらもオーケストレーションの豊麗とチェロの官能的な絡みは、品格を感じさせる。チェロに酔い、オケの響きに酔う。これまた幾度となく繰り返し演奏される名品であることだろう。
まるで、古典曲を収めた風情のデザインのアルバム。これが今日取り上げる世界初演と小さく肩口にうたわれているフランスのアンリ・ディティーユHenri Dutilleaxと、ポーランドの良識、革新の真正といえる、戦後を代表する作曲家ヴィトルド・ルトスラフスキーWitold Lutoslawski(1913)のチェロ協奏曲2作品が収められたアルバムである。
チェロ独奏は、旧ソ連の名手、ムスティスラフ・ロストロポーヴィチMstislav Leopol'dovich Rostropovich, (1927 - )。
2作品ともよくできた作品で、ひじょうな魅力を感じさせること請け合いの出来栄えである。ジャケットデザインにふさわしい落ち着きと風格、品格さえもつ2作品。これはぜひとも聞くべき現代のチェロ協奏曲といえるだろう。ディティーユのすばらしくオケが鳴るオーケストレーションのセンス。それとルトスラフスキーの緊張感漂わせた引き締まる音の世界。その何かを予感させるかのようなチェロによる同音の反復から事は始まる。一挙に劇的に展開するのではない、たえざる他者との交感のうちに曲はその流動を加えていく、そう、ダイナミズムを獲得してゆくのだ。それがことのほか緊張を醸成してゆく。やはり私たちとは感性がどこか違うようだ。余韻余情というより、月並みだけれど、構想的展開に、骨法があるような音つくりだ。これがいたく感動させるのだ。捉えて離さぬ楽曲展開の凄さ、ゆるぎなさ、力技には感嘆のほか無い。スピリットの充溢素晴らしいチェロ協奏曲として、ジャケットデザイン通り、後世の古典として残る名品であるだろうことをここで言い募っておこうと思う。ぜひとも聞いてほしい作品である。
もちろんロストロポービチの戦後を代表するヴィルトーゾのチェロも与っているのだろうけれど。そして、順逆になったけれど、アンリ・ディティーユの作品、これには「はるかなる遠い国……」という副題がつけられており、それは、作曲当時大きく感化されていたというシャルル・ボードレールの「悪の華」にある詩<髪La Chevelure>の詩句からとられたということである。別にボードレールの名が出てくることからの安直な類推ではないけれど、ロストロポービチのチェロの響きの艶めく移ろいが、ことのほか官能的に呻き、すすりなき歌う。古典的様式にありながらもオーケストレーションの豊麗とチェロの官能的な絡みは、品格を感じさせる。チェロに酔い、オケの響きに酔う。これまた幾度となく繰り返し演奏される名品であることだろう。
<髪>
うなじまでなみうつ ゆたかな髪よ!
おお 巻毛よ! けだるさのこもる薫り!
恍惚よ! 今宵 この髪に眠る思い出を
ほの暗い寝室のなかに一杯にするために
ハンカチのように それを空に揺すろう!
おお 巻毛よ! けだるさのこもる薫り!
恍惚よ! 今宵 この髪に眠る思い出を
ほの暗い寝室のなかに一杯にするために
ハンカチのように それを空に揺すろう!
ものういアジア 燃えるアフリカ
遠く ここにない 亡びたも同じ国が
お前の奥深くに生きている ああ 香しい森よ!
人の心が 楽の音にさまようように
わが心は 恋人よ おまえの香に漂う
遠く ここにない 亡びたも同じ国が
お前の奥深くに生きている ああ 香しい森よ!
人の心が 楽の音にさまようように
わが心は 恋人よ おまえの香に漂う
黒檀色の海よ お前のなかにこもっている
帆や 水夫や 旗や マストなどのまばゆい夢が
帆や 水夫や 旗や マストなどのまばゆい夢が
わが魂が薫りと 音と 色とを
なみなみと飲む 鳴りひびく港よ
船は 黄金と波紋のなかをすべり
永遠の炎熱がゆらめく 澄みわたる空の
栄光をいだくために 大きな腕をひらく
なみなみと飲む 鳴りひびく港よ
船は 黄金と波紋のなかをすべり
永遠の炎熱がゆらめく 澄みわたる空の
栄光をいだくために 大きな腕をひらく
陶酔にあこがれるぼくの頭を浸そう
まことの海のこもる この黒い海原に
横揺れに愛撫される鋭いわが心は
ふたたび見いだす ああ ゆたかな安逸よ
香しい閑暇の かぎりのない揺れ動きを!
まことの海のこもる この黒い海原に
横揺れに愛撫される鋭いわが心は
ふたたび見いだす ああ ゆたかな安逸よ
香しい閑暇の かぎりのない揺れ動きを!
とわに! とこしえに! おまえの重く長い髪に
ぼくの手で紅玉 真珠 碧玉をちりばめよう
ぼくの願いがいつも聞き入れられるように!
おまえは わが夢みる緑地(オアシス) または
追憶の酒をなみなみと飲みほす 瓢箪ではないか?
ぼくの手で紅玉 真珠 碧玉をちりばめよう
ぼくの願いがいつも聞き入れられるように!
おまえは わが夢みる緑地(オアシス) または
追憶の酒をなみなみと飲みほす 瓢箪ではないか?
Witold Lutoslawski - Cello Concerto (1/4)
ムスティスラフ・レオポリドヴィチ・ロストロポーヴィチMstislav Leopol'dovich Rostropovich, 1927 - )
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%81
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%95%E3%83%BB%E3%83%AD%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%9D%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A3%E3%83%81
アンリ・デュティユーHenri Dutilleux(1916年 - )
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A6%E3%83%BC
http://www.geocities.co.jp/MusicHall/6119/museum/dutilleux/index.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%83%87%E3%83%A5%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%A6%E3%83%BC
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ヴィトルト・ルトスワフスキ、マイブログ――
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/36031275.html
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/23242393.html
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ヴィトルト・ルトスワフスキ
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シャルル・ピエール・ボードレール(Charles Pierre Baudelaire, 1821 - 1867)
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