yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

中村明一『霊慕』(2006)。少しやり過ぎではないのと謂う声が聴こえてきそうでもあるほどに、そのディフォルメ、奏法の斬新は聴く者にせまってくる。それは較べるもののないほどに際立って凄まじい。

Akikazu Nakamura - Tsuru no sugomori 080518 (杉浦康平+松岡正剛)――そういうナチュラリティを志向している形式はないんですかねえ。楽器にはありますか。 武満徹――尺八ですね。東西を通じても尺八くらいのものでしょう。 武満徹「樹の鏡、草原の鏡」(…

サニー・マレイ『サンシャイン SUNSHINE』(1969)。世相たぎるヨーロッパで成しえたアメリカンフリーの傑作。

Sunny Murray, Elvin Jones & Art Blakey 1968 このブログでよく取り上げるセシル・テイラーとの共演でとりわけ知られている(一部の人にとってはむしろアルバート・アイラーとのそれの方がとおりがいいのかもしれないが)ドラマーのサニー・マレイJames Marce…

工芸図案の我が国での先駆け、モダンな京都琳派。神坂雪佳(かみさか せっか)<慶応2年(1866) - 昭和17年(1942)>。

『狗児』 きょうは、音楽ブログは一休み。先日、たまたま新聞の新刊出版広告欄に目を通していて、神坂雪佳(かみさか せっか、慶応2年(1866) - 昭和17年(1942))の名前が見えたので、そうそう、そういう画家がいたよなということで、ネットを覗き、その…

ジョン・スティーヴンス率いるSMEの『FOR YOU TO SHARE』(1970)。フリージャズのジャポネスク。雅楽ジャズの“ヘテロ”の混沌、これはケッサクで傑作だ。スバラシイ。

おもしろいレコードに再会したものだ。イギリスの先鋭な真のフリージャズの先導者、ドラマー、パーカショニストのジョン・スティーヴンス John Stevens (1940-1994)が率いる、おおよそメンバー不定な、その名の通りのフリーインプロヴァイズド・ジャズアン…

横山勝也『竹韻・尺八の世界』(1995)。抑制された品格の古典本曲。哀切、胸ざわつき、心を揺さぶる尺八の音色、そのメリスマの正体はいったい何なのか。

Katsuya Yokoyama - Tsuru no Sugomori (The Cranes nesting) 鶴の巣籠 以前、とり上げ投稿した超絶の尺八奏者中村明一の師が、いまや人間国宝のというより、武満徹の名を一躍世界に知らしめる事となった、邦楽器を使った作品「ノヴェンバー・ステップス・No…

ベートーヴェン 『ピアノ三重奏曲第7番・大公、ほか』。交感をもって紡ぎだされる音にたゆたい、音につつまれ、音と戯れ遊ぶアンサンブルとのご相伴の至福。

Beethoven's Piano Trio"Archduke" - Cortot,Thibaud,Casals (1/4) 月並みですが、至福の音楽鑑賞といっておこう。トリオという小編成ゆえの、程よく明瞭な音の流れ、心のひだ、肉声を聞くといった感じだろうか。シロウト(楽譜も読めなければ楽器ひとつ弾け…

マンフレッド・ショーフ『Manfred Schoof The Early Quintet』(1966)。70年前後の狂熱のヨーロッパフリージャズ、その滾りたつ活動の沸騰には、やはり素地があったのだ。

Bernd Alois Zimmermann: Die Befriesteten (1967): The Manfred Schoof Quintet. アレキサンダー・フォン・シュリッペンバッハ その破壊力を魅せつけ、パリ5月革命を筆頭に世界にシンクロするほどの政治の季節でもあった70年前後を猛烈に突き進み席巻し…

デンマークの画家・ヴィルヘルム・ハンマースホイ(1864 – 1916)。哀しいまでの沈黙と静謐。

背を向けた若い女性のいる室内 Interior. Young Woman seen from Behind, 1903-04 Vilhelm Hammershøi:Music by Thomas Newman 今日、一日遅れだけれど購読新聞の毎日曜日に連載されている美術記事のなかの掲載画を見て、ひと目みて心に響く画に出会った。…

アルボ・ペルト『リタニ(連禱・れんとう)』(1996)。至高の沈黙の深さと静謐。いうことなし。

Arvo Pärt - Cantus in Memory of Benjamin Britten - Datenverarbeiter Video さてと、日曜日も日が暮れ今はもう午後6時。NHK・FMの現代音楽の定時番組で、新実徳英を先週と二回にわたってゲストに迎えて放送ということで、さっそくスイッチオン。そ…

トニー・オックスレイと画家でありミュージシャンのAlan Davie の『Tony Oxley/Alan Davie Duo』(1975)。ヴァーチカルで鋭い音現代音楽系ヨーロッパフリージャズの良質。

トニー・オックスレイ 当時といっても、もはや30年近い昔のことだけれど、このアルバムを手にしたきっかけは、たぶん私が気にいっていたパーカッショニストの一人であったトニー・オックスレイTony Oxley (1938‐)の名前が冠してあるデュオアルバムであった…

サウンド・アーティスト鈴木昭男『時間の穴・ANALAPOS』(1980)。時間と謂うのはひょっとして穴だらけなのでは。「限りなく物音に近い音楽」(谷川俊太郎)。

鈴木昭男 人間が狂気じみていることは必然的であるので、狂気じみていないことも、別種の狂気の傾向からいうと、やはり狂気じみていることになるだろう。(パスカル) <「限りなく物音に近い音楽、そう呼んでもいいだろうか?」>と詩人・谷川俊太郎が言葉を…

ヨーロッパ・フリージャズの大立者、ハン・ベニンク『ソロ』(1971-72)。音に<遊ぶ・スサブ>人。<狂>の人。

Bennink and Brötzmann - part 2 of 3 子供の時に子供でいるより、大人になって子供になるほうがいい。(ジョン・ケージ) 一人でとことん音と戯れて魅せるドキュメント。エリック・ドルフィーのヨーロッパで客死直前に吹き込まれたアルバム「ラスト・デイト…

即興演奏集団・MEVの創設メンバーの一人、リチャード・ティテルバウム『ヒウチイシ・HIUCHI-ISHI』(1977)。まことにシンプルで繊細を奏でる、いわば肉声としてのライヴ・シンセサイザー。

まことにシンプルなシンセサイザーだ。いわゆるプログレッシヴ・ロック、とりわけドイツに代表される、クラウスシュルツや、エドガーフローゼのタンジェリンドリームらの奏でる太くて分厚い響きのシンセサイザーをイメージすると肩すかしをくらう。 それほど…

ポーランドの名匠アンジェイ・ワイダの芸術と政治。その歴史。NHK・ETV特集「アンジェイ・ワイダ 祖国ポーランドを撮り続けた男」を観る。

Scorpions - Wind Of Change 先日の日曜日の夜10時からポーランドの映画監督、名匠アンジェイ・ワイダのドキュメンタリー番組が放映されていた。途中からの視聴だったけれど、こちとら、太平楽な世を謳歌していたときに、かの国ポーランドでは、その政治体制…

ルイジ・ノーノ「Contrappunto dialettico alla mente」、ローランド・カイン「CyberneticsⅢ」。人間の怒り、叫び、アジテーションの高揚感。電子のアナーキーな叫び

Luigi Nono - Contrappunto dialettico alla mente, per nastro magnetico (1968) 汝等よく聞け。金銀のあるにまかせ多くの米を買占め、貧乏人の難渋を顧みず、〔米を〕酒となして高値に売、金銭かすめ取る現罰逃るべからず。今日只今、世直し神々来て現罰を…

ベルント・アロイス・ツィンマーマン『兵士たち・Die Soldaten(4幕からなるオペラ)』(1965)。現代音楽を特徴づける特殊奏法の極端な多用などはなされておらず、比較的聴きやすいといえるが・・

B.A. Zimmerman : Die Soldaten 細切れに聴き、やっとLP3枚で総時間およそ2時間の作品、それもオペラ作品を聴き終えました。あらすじをネットで仕入れてはいるものの、総合芸術といってもいいのだろうオペラを音だけの鑑賞ですますにはいささか無理があ…

ジェルジ・リゲティ『鍵盤楽器のための作品集』(1997)50才代絶頂期にあたるまでの本CD収録作品は、清新さと斬新で、しかも調性手放さずバランスが取れていて聴きやすい。しかし極めつけは「ヴォルーミナ」

Ligeti: Volumina (1) ≪ハンガリーはナチス・ドイツの同胞として1941年に参戦した(このときの欺瞞に満ちた政治家たちの動向を、私は許すことができないだろう)。しかしながら、国のなかはまだ平穏で、戦争の気配はなかった。(たまにブダペストが空襲され…

デイヴ・バレル『AFTER LOVE 』(1970)。60年代のアフロアメリカンの熱気を感じさせてくれる圧倒的にパワフルでエネルギッシュなコレクティヴパフォーマンス。なかでもアラン・シルヴァが凄い。

May 13, 2007 Florence, Dave Burrell at Leopolda デイヴ・バレル レコードジャケットにはデイヴ・バレルDave Burrell (1940 - )と大きく印字されており、間違いなくデイヴ・バレルのリーダー・アルバムなのだろう。収録されている両面のタイトル曲には彼の…

「見よ、世界は呪われていない」(Albert Anker)スイスの国民的人気の画家・アルベール・アンカー。嫌になるほど騒々しい時代、年を重ねるとはどういうことなのだろう?しっかりと<今>を見ているか?

今日に限らずだけれど疲れております。ということで音楽ブログは休みにして、新聞の小さな催し案内の記事を目にするまでまったく知らなかった、というより、知らないことのほうが多いのだけれど。なんでもスイスの国民的人気の画家とのこと。その画家とはア…

ミシェル・ポルタル『ALORS!!!』(1970)。現代音楽(即興演奏)、クラシック、フリージャズと遊んで魅せる才人。

imProvista | Michel Portal & Bernard Lubat ミシェル・ポルタル きょうは、先日来よりいくつか取上げた、云わば現代音楽畑の即興演奏グループ、あるいはそうした演奏に、その名前がクレジットされているミシェル・ポルタルMichel Portal (born 1935 in Bay…

ミカエル・レヴィナスとトーマス・ケスラーの作品集(1978)。とりわけレヴィナスは野生と非理性渦巻く中世的荒々しさを髣髴とさせる力強くノイジーでバイタルな音響は魅力。

Michaël Lévinas: "Appels" pour 11 instrumentistes (1974) ミカエル・レヴィナス トーマス・ケスラー フランス電子音楽のメッカINA-GRM、( L'Institut national de l’audiovisuel - Le Groupe recherches musicales.)ピエール・シェフェールが設立した研…

リゲティ『チェロ協奏曲』(1966)、ペンデレツキー『チェロと管弦楽のためのソナタ』(1964)ほか。「沈黙をもって語りかける」「良心」の声、「本来的存在」としての実存の真正の響き。

Penderecki- Sonata for Cello and Orchestra (1/2) ジークフリート・パルム 新聞休刊日もあって、けさ一日遅れの新聞記事を読んでいて、とあるコラムに≪ハイデガーによれば、良心の声は沈黙をもって語りかけるそうだ。「聖」という字に「耳」が入っているの…

吉松隆『忘れっぽい天使』(1999)。愛らしく親しみやすく、哀愁と悲哀、ノスタルジックな想起呼び起こすメロディーにあふれる作品集。何処かで聴いたような・・・。

Takashi Yoshimatsu - Symphony no. 2 (4/4) 投稿音源のものではありません。 ハーモニカがほしかったんだよ どうしてかどうしてもほしかったんだ ハーモニカがほしかったんだよ でもハーモニカなんて売ってなかったんだ 戦争に負けたんだ カボチャばかり食…

シュトックハウゼン『7つの日より』(1969)。ことばの指示による“直感音楽”。コレクティヴな即興演奏に制度姓を突き破る光明を見る。だが不思議?なことにシュトックハウゼンの音に満ちているのだ。

Stockhausen: "Aus den sieben Tagen" 1/3 ぎっしりと?予備のデータの詰まったUSBメモリーが手元になく、さてどうしたものかと・・・。選択肢がまったくなくなってしまったのだ。と云う事でいきあたりばったり(いつもそうだけれど)きょうは、ここ最近…

中村明一『虚無僧尺八の世界・薩慈』。幽玄孤絶、哀切悲愁に噎び吹き抜け、打ち震える竹の音。その竹韻の余情には幽そけく<無>が気配する。

Akikazu Nakamura plays Saji on the Shakuhachi 「★―例えば、暑いとき、「暑いな」と思う。風が吹いたりしている時、言葉にしないで、ふと何かに触れたと思えることがある。 ▲―例えば「無を感じる」という形でね。」(松岡正剛共著『二十一世紀精神』工作舎…

松平頼暁、藤枝守『ピアノホライゾンPIANO HORIZON』(1981)。ミニマルな音色展開。「構造の強調」?けれど無調セリエルのように青筋たてて深刻に聴く必要はない。いや愉しく聴ける。

いままで、今日取上げるこのレコードに作品が収められている作曲家松平頼暁(まつだいら よりあき、1931 - )の作品を面白いと思って聴いたことはなかったのだけれど、というよりズーット<?>であったといったほうが当たっているかも知れない。その実験性…

ヴィンコ・グロボカールら4人編成の即興演奏集団「NEW PHONIC ART」(1971)。≪有機的に生まれる反応の連鎖≫が作り出す緊張感に満ちた圧倒的にスリリングな音響空間。

michel portal & bernard lubat improvisent つい先日、≪『ヴィンコ・グロボカールの音楽』(1973)。60年央から70年代にかけての集団即興演奏の熱気。ヴィルトーゾがなす集団即興演奏の凄み。煌めく空間の密度と緊張感。≫とタイトルしてアルバムを取上げ…

ドミトリー・ショスタコーヴィチ「交響曲第1番」・「交響曲第7番」。冷戦終結、革命幻想、社会主義体制ソ連崩壊ののちの再評価、人気到来のその内実や如何。この臆面のない<明瞭さ><わかりやすさ>は?

Shostakovich 7th Symphony 身銭きって手にしたのものではなく図書館で借り受けてのCDにあれやこれやいうのは、いささか後ろめたい気がするのだけれど・・・。 きょうはドミトリー・ショスタコーヴィチ(ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィ…

ベルント・アロイス・ツィンマーマン『協奏曲集』(1993)。けっしてアヴァンギャルドではない。ましてや折衷でもない、浮つかぬこの骨太が魅力だ。

Bernd Alois Zimmermann: Concerto per Violoncello e Orchestra (1966) Terzo e Quarto Movimento 先ずは、サッカー2010年ワールドカップ第3次予選対オマーン戦での、岡田ジャパンの3-0という完勝を寿いでおこう。先は長いとはいえ、なんてったって…

ローマン・ハウベンシュトック=ラマティ。図形楽譜?!。なまじの正統伝統的な記譜による作品よりもエネルギッシュで生き生きと躍動して骨太な魅力ある音響に満ちている。

戦後音楽史上で最初に五線譜を離れ、図形楽譜を自作に果敢したといわれているモートン・フェルドマンは、革命児ジョン・ケージとの共同作業という強力な臆することのない実践者の協力もあって多大な影響を現代音楽界にあたえたけれど、“不確定性”“偶然性”と…