yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ベートーヴェン 『ピアノ三重奏曲第7番・大公、ほか』。交感をもって紡ぎだされる音にたゆたい、音につつまれ、音と戯れ遊ぶアンサンブルとのご相伴の至福。

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Beethoven's Piano Trio"Archduke" - Cortot,Thibaud,Casals (1/4)

            

イメージ 2月並みですが、至福の音楽鑑賞といっておこう。トリオという小編成ゆえの、程よく明瞭な音の流れ、心のひだ、肉声を聞くといった感じだろうか。シロウト(楽譜も読めなければ楽器ひとつ弾けるわけではない、ただ好きで数十年聴いているだけの好事家にしかすぎない)ながらも、ピアノ、チェロ、ヴァイオリンの各々パートの音の絡みを追ってゆく、いわば対話の妙を愉しむという快感、まさにこれこそ室内楽の醍醐味というものなのだろう。各々の交感をもって紡ぎだされる音にたゆたい、音につつまれ、音と戯れ遊ぶこの至福。別にわたしが弾いて参加するわけではないのに、そこでは、まるで音楽を聴く人間も、演奏する人間とともに音楽を愛で、アンサンブルを愉しんでいるといった風情ではないか。息遣いが聞こえてくるようなのだ。個々の音の流れを追う愉しみ。そうなのだ、線(流れ・綾)がハッキリしているからこそなのだろう。大掛かりな編成の音楽にはたぶん味わえないだろうインティメートintimateな情趣。こうした室内楽の特性は他形式では味わえないと思うのだけれど。事実、ソロにはたいして感興もてずアンサンブルに向かうビルトーゾもいるとか。それにしてもベートーヴェンLudwig van Beethoven、1770 - 1827)は、どうしてこうも湧き出るように次から次と美しい旋律をつむぎ出せるのだろう。いやそれだけではなく構成的にカチッとして。「楽聖」という天才ゆえといってしまえばそれまでのことなのだけれど・・・。
というような≪古今のピアノ三重奏曲の王者として燦然とした光を放っている≫(解説・萩谷由喜子ベートーヴェン室内楽作品の傑作、ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調op.97「大公」及び第4番変ロ長調op.11「街の歌」、それに第5番二長調op.70-1「幽霊」の三曲が入ったCD、それもいつもごとくの中央図書館ネット借受のそれの鑑賞記だった。もちろん借り受けたのにはワケがあり、NHK・FMで流されていたのをたまたま耳にしたおり、ベートーヴェンってこんなに穏やかで美しいところもあったんだとの印象がきっかけだった。
風格の第7番「大公」
すがすがしくはつらつ自信に満ちた第4番「街の歌」
世界が落ち着いてシットリと品性ある第五番「幽霊」


収録曲――
1. ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調op.97「大公」
2. ピアノ三重奏曲第4番変ロ長調op.11「街の歌」
3. ピアノ三重奏曲第5番二長調op.70-1「幽霊」