yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

横山勝也『竹韻・尺八の世界』(1995)。抑制された品格の古典本曲。哀切、胸ざわつき、心を揺さぶる尺八の音色、そのメリスマの正体はいったい何なのか。

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Katsuya Yokoyama - Tsuru no Sugomori (The Cranes nesting) 鶴の巣籠

            

以前、とり上げ投稿した超絶の尺八奏者中村明一の師が、いまや人間国宝のというより、武満徹の名を一躍世界に知らしめる事となった、邦楽器を使った作品「ノヴェンバー・ステップス・November Steps」(1967)で尺八をうけもち演奏した事でのほうが通りがいいかもしれない横山勝也のよし。その師の尺八本曲および自作を含む現代邦楽の演奏が収録されたCDが今日取上げる『竹韻~横山勝也・尺八の世界』(1995)だ。これもいつものように図書館ネット借受のもの。ひとことでいって、弟子にあたる中村明一のほうは、奏法の独自開発によるということもあるのだろうけれど、現代的でドラマチック、刺激的であることは聴けば肯んぜられるところだろう。ひじょうにダイナミックだ。それに比し師の横山勝也は、世代差もあるのだろうけれど抑制された印象がする。良く言えば、それが本道なのかもしれないけれど、いたずらな情感過多、誇張表現はそこには見られない。たぶん、おおかたのツウはこれが本来なのだというのだろう。しかし芸術表現(尺八は法器であり宗教行為の一環、たんなる芸術演奏ではないといえるかもしれないが)に本来?なんていうものがあるのかといえなくはない。ようはどれだけココロに迫るか、自然を音と化すかということなのだろう。シミジミが沁みこむ感動も、それはそれとしていいものだ。しかしこのおしなべて尺八がもつ、切々とした、心を揺さぶるメリスマの正体はいったい何なんだろう。民衆が育んできた哀感、無常の、その純化した音の姿、おそろしいほどそれは心にしみいり、こころを激しく揺さぶる。胸苦しく、哀しくココロざわつく。べつに、わたしは民族・国粋主義者でも何でもないのだけれど・・・。



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横山勝也 竹韻~尺八の世界 収録曲 ――
1. 鈴法(山越)(琴古流本曲)
2. 鹿の遠音(琴古流本曲)
3. 産安(琴古流本曲)
4. 第三風動
5. 惜春
6. 界
7. PENTAGONIA 2
8. 手向(琴古流本曲)




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