yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

音と色の戯れ幻視に神を想い、祈るオリヴィエ・メシアン『われ、死者の復活を待ち受ける』(1964)と『天国の色彩』(1963)。

Messiaen Music 2. Path To Heaven. http://www.youtube.com/watch?v=Z4S9ME_ePB8 オリヴィエ・メシアンOlivier Messiaen さてこんにち、どれほどの人が彼の作品を聴いているのだろうか。戦後現代音楽史上での多くの名作、それに独特のアプローチで書法の革…

流麗な美に彩られた音達のなんと情感豊かな表情であることか。哀しみに満ちたリヒャルト・シュトラウス『変容(メタモルフォーゼン)Metamorphosen』。

Richard Strauss : Metamorphosen 投稿音源のものではありません リヒャルト・ゲオルク・シュトラウス(Richard Georg Strauss, 1864 - 1949) なんと哀しみに満ちた音楽だろう。素晴らしいの一語だ。こうした雰囲気の音楽にマーラーの「交響曲第5番」、と…

ヘタウマ的流麗さであり<音楽するココロ>の<あるがまま・なすがまま>の伸びやかな快感。オーネット・コールマン『ジャズ来るべきものTHE SHAPE OF JAZZ TO COME』(1959)。

Ornette Coleman, Who Do You Work For?, Belgrade, 1971 投稿音源のものではありません。 オーネット・コールマンOrnette Coleman まったくランダムな選択ということの結果、今日はオーネット・コールマンの『ジャズ来るべきものTHE SHAPE OF JAZZ TO COME…

混沌・カオスの悦楽に壮快を覚える、変革、創世の余韻。フランス・フリージャズ界の先導者フランソワ・テュスクの『Intercommunal Music』(1971)

さて今日は、音楽ブログ。それもフリージャズ。フランス・フリージャズ界の先覚・先導者、フランソワ・テュスクFrancois Tusquesの比較的大人数、8人編成によるまことにパワフルな、混沌の悦楽に壮快を覚えるアルバム『intercommunal music』(1971)である。…

身体と知覚、その(行動)構造を、生きて在る世界との相互関連のなかで、現象学的に思索哲学したモーリス・メルロー=ポンティ畢生の大著『知覚の現象学』。

モーリス・メルロー=ポンティMaurice Merleau-Ponty きのうは、ジェイムス・ギブソンの「生態学的視覚論」を取り上げ、視覚主体は物理的空間の中の収束点といった対象的な存在の仕方としてでなく、その空間を視覚主体の意味連鎖(関係)として統覚し生きて…

アフォーダンス。生態心理学創設の画期、ジェームズ・ジェローム・ギブソン『生態学的視覚論』。

ジェームズ・ジェローム・ギブソンJames Jerome Gibson 主体と客体という構図もおもしろくない。最初からそれらは、主体、客体としてあらわれているわけではない。はやそれらは、媒介された概念としてしかありえない。話す、見るにしたって1対1対応として…

北欧の玲瓏、重厚ななかに気品。安寧につつまれるジャン・シベリウスの『交響曲第5番』と『交響曲第7番』。

Sibelius - Symphony No.5 Op.82 - 1. Tempo molto moderato ジャン・シベリウスJean Sibelius シベリウスといえば、交響詩「フィンランディア」。もう文句のないところと思われる。ひじょうに明快な音楽で親しみやすい。このジャン・シベリウスJean Sibeliu…

<本当>のピアニストの<本当>のベートーベン。エミール・ギレリス、1969年ニューヨーク・カーネギーホールでのライヴ2枚組みアルバム。

Gilels plays Beethoven Sonata Op. 26 エミール・ギレリスEmil Grigoryevich Gilels 今日は<本当>のピアニストを聴くとタイトルして記事を投稿しよう。 何が本当で、何がそうでないのか、ようするに勝手な思い込みで作り上げてきたイメージでの好悪判断で…

憂鬱な呟きとこみ上げる哀しみ小出楢重『枯木のある風景』(1930)

『枯木のある風景』(1930) 先日、つれあいが図書館から借りてきた本を、拾い読みしていたところ、いろいろ興味ある図版があるなかで、ひとつの図版にいたく感銘を受けた。何ともいえず哀しいのであった。大げさに言えば、締め付けられるような哀しみであっ…

自然の摂理、賜物としての鳥の鳴き声、さえずり。存在が紡ぐ音楽。オリヴィエ・メシアン『鳥類譜』(1956-58)LP4枚組み。

Olivier Messiaen - Catalogue d'oiseaux: Le traquet stapazin (Black-eared Wheatear) オリヴィエ=ウジェーヌ=プロスペール=シャルル・メシアン オリヴィエ・メシアンOlivier-Eugène-Prosper-Charles Messiaen,( 1908 - 1992)の『鳥類譜』(1956…

引き締まった空間と多彩な音色の動き魅せるも、初期作品であり、控えめな<小振りのブーレーズ>といった印象もつジルベール・アミ『ドメーヌ・ミュジカルDOMAINE MUSICAL』

Gilbert Amy, Diaphonies - Pierre Boulez Domaine Musical Ensemble ジルベール・アミGilbert Amy 小振りのブーレーズといったら失礼になるだろうか。≪御大ブーレーズのあとがまとして。1967年から1973年まで、ピエール・ブーレーズの後任としてドメーヌ・…

政治の季節真っ只中に実存(主義)哲学の「疾風怒濤」。ジャン・ポール・サルトル3分冊の『存在と無』(人文書院・松浪信三郎訳)。

OTHER MUSIC for LEBANON w/subtitle : Beethoven きのうの投稿記事はグールドのモーツアルト「ピアノソナタ全集」だったけれど、なぜかジャン=リュック・ゴダールの映画が想いだされると枕で述べた。実存、その投企としての人間的自由。実存主義とマルクス…

まさに身をあずけ、静穏、安心しきってその<神の隣に住む>天才モーツアルトを聴き、グレン・グールドを聴く。『ピアノソナタ全集』

Mozart K.333 3rd mov モーツアルトといえば、なぜかジャン=リュック・ゴダールJean-Luc Godardの映画と結びつく。 もっとも政治の季節であった学生時代に観たくらいで、それ以降はあまり記憶にない。 例のごとく、WIKIPEDIAを覗いていたら1965年制作とあっ…

きのうの「良寛」の吉本隆明に「知の三馬鹿」のひとりと罵倒名指しを受けた柄谷行人の『トランスクリティーク』(2001)。

柄谷行人 きのう、吉本隆明の「良寛」を取り上げたさいに参照項目にいつものとおり、WIKIPEDIAのネットアドレスをと、とりあえず覗いてみたら、≪浅田彰、柄谷行人や蓮實重彦は「知の三馬鹿」、宮台真司は「本物の馬鹿」である。こうした罵倒癖は吉本人気の要…

吉本隆明の『良寛』再読するもよく分からない彼独特の≪自然概念≫と論理の運び。

吉本隆明 ここ久しく読書らしい読書をしていない。原因はこの音楽ブログにあるといってもよいだろう。仕事を終えてから、アルバムを聴きながら文章を打ち込んでゆく。まさに字義どおり文章を書くではなくキーボードを打ち込むである。これがなかなかの難儀で…

聴き易さと前衛・フリー性がほどよくアマルガムされ、インタープレイの妙味を堪能させてくれるブルース・ファンキーロックジャズ。J・スティーヴンスとT・ワッツの『INOVATION』(1974)。

ジョン・スティーヴンスJohn Stevens 息抜きにはぴったりの、のりに乗りまくる(ファンキー)ジャズであるとひとまず言っておこう。それもイギリスの独自性を失わず、良質のジャズといっておこう。詳しいことは私にはわからないが、先鋭のジャズパーカショニ…

加古隆、清新の発露としての『パリの日PARIS DAYS』(1976)。

Ismael Ivo & Takashi Kako, "Apocalypse", Dance 加古隆 ま、これならマイルス・デビスを聴いておきますと、ひと言愚痴ってから始めなければならないとは端的に期待はずれといったところです。決して悪いといっているのではなく、<旧い>といった印象であ…

「力強い素朴な、しかも迫力に富むユニゾンの音の束…」(佐藤允彦)猛然と且つインテリジェントにジャズって古代をさかのぼり、シャーマニスティックな土俗のエネルギーの奔流を歌い上げて見事『邪馬台賦』’72。

Toshiyuki Miyama and His New Herd: Masahiko Sato - Yamataifu - Ichi (part one) 佐藤 允彦 ≪牧―「……でこの曲(『邪馬台賦』)を書いた君の本心は……?」 佐藤―「ジャズがいろいろ変わってきてフリーフォームだとか何とか……ガチャガチャやってるでしょう?…

「ジャズディスク大賞」「日本ジャズ賞」をダブル受賞の前作よりコレクティヴパフォーマンスに魅力あるアルバム富樫雅彦の『ギルド・フォー・ヒューマン・ミュージック』(1976)。

Masahiko Togashi - Third Expression:from 'guild for human music' 富樫 雅彦 1975年のスウィングジャーナル誌「ジャズディスク大賞」「日本ジャズ賞」をダブル受賞して名作としてその名を刻む『スピリチュアル・ネイチャー』。以前≪親しみやすく、心…

<意識化の秘められた世界>のアートフィッシャルな音連れを、ピエール・アンリの精緻のブリコラージュで聴く『VARIATIONS POUR UNE PORTE ET UN SOUPIR』(1963)。

Bejart Variations pour un porte et un Soupir. 2 ピエール・アンリ ひとつの音からこれだけの世界を提示してみせるのも、その徹底性ゆえともいえるのだろう。また、音という抽象性ゆえの、その指し示す世界の多様広がりは果てのないことのようだ。 今回取…

サックスの高木元輝が素晴らしい。フリーパフォーマーの初々しさと、現代音楽の才みせる加古隆日本デビューアルバム『パリ日本館コンサート』(1974)。

パリは燃えているか 加古隆&N響ポップス 加古隆 先日に引きつづき加古隆のアルバム。今回もまた、紹介順序が逆順になってしまった。前回の拙ブログで≪トータルセリー以降の現代音楽の研鑽蓄積が師メシアン発掘した複雑なリズムを伴って轟然と即興疾駆する…

ヨーロッパツアーで大ブレークして気力、体力ともにゆるぎなく絶頂の小気味いい洋輔ピアノ。ベースのロイディンガーとのデュオ『ア・デイ・イン・ミュニックA DAY IN MUNICH』(1976)。

A Night In Tunisia - Yosuke Yamashita:Banslikana(1976) 山下洋輔 気力、体力ともにゆるぎなく絶頂の洋輔ピアノといったらいいのだろうか。切れに切れて爽快ですらある。とはいえ聞き比べて云ってる訳ではないので、いい加減なものだけれど。しかし≪歓…

ビートルズのジョージ・ハリソンが、おっかなびっくりで遊び、愉しんで創ったといった印象の『電子音楽の世界Electronic Sound』](1969)。

George Harrison - My Sweet Lord サッカー・アジアカップ、オシム・ジャパン1-0で逃げ切りと思ったけれど、さすが国を賭けての代表・カップ戦。なかなか簡単にはいかないようだ。圧倒的に押していても勝ちきれずに負けることもあるのが勝負の世界。まし…

トータルセリー以降の現代音楽の研鑽蓄積が師メシアン発掘した複雑なリズムを伴って轟然と即興疾駆するさまは壮観ですらある加古隆と豊住芳三郎とのデュオ『パッサージュ・PASSAGE』(1976)。

黄昏のワルツ 加古隆&川井郁子 加古隆 眩いばかりの経歴を引っさげ、フリージャズ界へ身を投じ、いまや、押しも押されぬ(総合)音楽芸術家として大活躍。その名は加古隆(1947-)といったところだろうか。私も今回投稿するにあたって<WIKIPEDIA…

「愉悦」「悦楽」「荘重」「浄福」を奏でるヘンデルの弦楽合奏『合奏協奏曲・コンチェルト・グロッソCONCERTO GROSSO、作品6』LP3枚組。

ネヴィル・マリナー Sir Neville Marriner アカデミー室内管弦楽団 (Academy of St. Martin-in-the-Fields) Farinelli - Lascia ch'io PiangaAria de la opera Rinaldo de Heandel. Escena del film Farinelli (1994) バッハに較べ聴く頻度はいちじるしく劣…

日本のフリージャズ<創生から成熟へ>の熱き奔流を共に生きた高木元輝の、ときに咆哮し内省に緊張感湛えるサックス『MOSURA FREIGHT』(1975)。

Hmong Involvment in the Vietnam War 先日に引きつづいてのサックス奏者、高木元輝のアルバム『MOSURA FREIGHT』(1975)を聴く。前回は、冨樫雅彦とのデュオアルバムだった。音盤になったいきさつが、いささかセンセーショナルな連続射殺魔・永山則夫を扱っ…

内に緊張を湛え、ゆらぎ、たゆたう生成の音楽。その静かな熱き高揚感に不思議の愉悦を感じさせるジョン・スティーヴンスの『SPONTANEOUS MUSIC ORCHESTRA』(1975)。

Derek Bailey - John Stevens Solo ジョン・スティーヴンスJohn Stevens ついぞこういうコレクティヴな即興音楽、フリージャズは日本、アメリカでは行われ得ないだろうなと思わせる、みごとなパフォーマンスだ。タイトルは『SPONTANEOUS MUSIC ORCHESTRA』と…

NHK・FMから流れてきた、甘美さのくすぐり、酔いに違和、アンドラーシュ・シフのベートーベン「ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13“悲愴”」

Chopin - Prelude No.24 in D Minor 記事にしたベートーベンの「ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 作品13“悲愴”」には、これといった動画がなかったので、アンドラーシュ・シフのショパンを貼り付けます。 今日、いつもの定番で、通勤途上NHK・FMのミュ…

漫画家・水木しげるとエッカーマン『ゲーテとの対話』。ゲーテの箴言。

ゲーテと格言。いいことばのオンパレードで、感心する事多い。たいした知者であることは言うもさらなりである。しかしこうした箴言・格言はこれらを紡ぎだす叡智の深さを取っ払ってしまっての言葉だけの復唱となると、はや大方の言葉は右から左の仕儀となる…

時代創成のパトス、音楽評論家・吉田秀和『言葉で奏でる音楽』NHK教育テレビ。

きのう日曜日のNHK教育テレビで音楽評論家・吉田秀和(よしだ ひでかず、1913年 -)の『言葉で奏でる音楽』とタイトルされた特集番組が放映された。<93才、今なお現役音楽評論家の巨星・・・名演奏の数々を書き続けて60年・20世紀音楽史の生き証…