yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

サックスの高木元輝が素晴らしい。フリーパフォーマーの初々しさと、現代音楽の才みせる加古隆日本デビューアルバム『パリ日本館コンサート』(1974)。

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パリは燃えているか 加古隆N響ポップス

             

加古隆
イメージ 2先日に引きつづき加古隆のアルバム。今回もまた、紹介順序が逆順になってしまった。前回の拙ブログで≪トータルセリー以降の現代音楽の研鑽蓄積が師メシアン発掘した複雑なリズムを伴って轟然と即興疾駆するさまは壮観ですらある加古隆と豊住芳三郎とのデュオ『パッサージュ・PASSAGE』(1976)。≫と題して紹介投稿した、豊住芳三郎とのデュオ『パッサージュ・PASSAGE』より2年前の1974年のライヴ収録盤が今回取り上げるアルバムで『パリ日本館コンサート』。なんでもこのアルバムがジャズピアニスト加古隆の日本デビューであったそうである。先の豊住芳三郎同様日本を離れヨーロッパを活動の場としていたサックスの高木元輝と、ベースのケント・カーターKENT CARTER他のクァルテットでのもの。スタジオでなくまた場所が演奏にふさわしいとは思えぬと勝手に思っているのだけれど、あまり録音が良くない。音像にクリアーさがかけるモワーとした感じ(とりわけA面)と、それにやはりフリージャズへの投企間もないということもあってかメリハリに欠けるようだ。自信ありやなしやと言うことなのだろうか。このアルバムに関していえば、高木元輝は圧倒的であり、彼の豪快なサックスを聴く愉しみとしては優れたアルバムといえるのではないだろうか。とりわけB面すべてを埋める加古隆作曲の「反射組曲 A Suite Of Reflection」パート1での高木元輝のソロは圧巻である。絶頂のパフォーマンスといえるのだろうか。いつものことだけれど、比較しての事でないのでいい加減で、話半分としていただきたい。パート2の方は、加古隆の現代音楽作曲家としてのセンスが打ち出されたもので、現代音楽の室内楽といった趣である。この線で行っても悪くはないほどの音色の緻密さが際立っている。加古隆のピアノはこちらの方が断然光っている。現代音楽の研鑽振りを見せるピアノがいい。こちらパート2の方は、ベースではなくてチェロを持ち替えているのだろうケント・カーターと加古隆のコラボレーションが素晴らしい。ピアノが生き生きしているのだ。それも現代音楽の余情を強く醸しだすピアノパフォーマンスであり、まことに引き締まって心地よい。現代音楽に抵抗のないファンには、そのタイトな音色とコラボレーションに感心し聴き惚れることだろう。場所柄決して多くはなかっただろう聴衆の演奏後の高鳴りが聞こえてくるような賛嘆の声で締めくくられているのは言うまでもない。こうなると同年出された、≪パリ国立音楽院を審査員全員一致の一等賞を受賞して卒業し、これまでの自身の活動の総集編的アルバム『巴里の日』をレコーディング≫(WIKIPEDIA)と聞き及ぶそのアルバムが愉しみ募るというものである。