yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ヨーロッパツアーで大ブレークして気力、体力ともにゆるぎなく絶頂の小気味いい洋輔ピアノ。ベースのロイディンガーとのデュオ『ア・デイ・イン・ミュニックA DAY IN MUNICH』(1976)。

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A Night In Tunisia - Yosuke YamashitaBanslikana(1976)

             

山下洋輔
イメージ 2気力、体力ともにゆるぎなく絶頂の洋輔ピアノといったらいいのだろうか。切れに切れて爽快ですらある。とはいえ聞き比べて云ってる訳ではないので、いい加減なものだけれど。しかし≪歓呼の嵐に世界へと大きく羽ばたく山下洋輔プロトジャズ≫は1974年のことであり、それは大ブレークの年であった。その1回目のヨーロッパツアーから2年後の2ヶ月に亘るヨーロッパツアー(多分毎年であったから3回目。2回目は≪賞賛、歓呼倍加する1975年の山下洋輔トリオ再ヨーロッパツアードキュメント『CHIASMA』(1976)≫として拙ブログに既投稿済)中にスタジオ録音されたもの。タイトルは『ア・デイ・イン・ミュニックA DAY IN MUNICH』(1976)ドイツ・ミュンヘンの市街の名を各収録曲のタイトルとしたものだそうだけれど、それらはまったくの即興演奏でのテイク後のあとづけで、内容とは関係ないとのこと。ところで、この稿起こしている最中に、このベースのロイディンガーと山下洋輔のデュオアルバムを取り上げたはずとブログをさかのぼっていて分かったことだけれど、今回のアルバムが初顔合わせの1作目で、投稿済みの≪小走りで快調に歌いまくり乗る山下洋輔。アデルハルト・ロイディンガーとのデュオ『Inner Space』(1977)≫が2作目とあった。そこでは≪山下洋輔のピアノとアデルハルト・ロイディンガー Adelhard Roidingerのベースとのデュオパフォーマンス。かれアデルハルト・ロイディンガーは1943年オーストリアの産。音楽高校で6年間ベースと作曲を修学するも大学では建築を専攻。両方(建築と音楽)を教え生業としていたが、結局はフリーランスのベーシストの道へと歩んだということである。ひじょうに輪郭のはっきりしたビンビンと響き歌うベースである。このアルバムでの山下洋輔のピアノは、あの特徴的な激しく疾走するのは控えられ、乗る、スイングするといった表現のほうがふさわしいパフォーマンスである。対者がベースということも与っているのだろうか。メロディアスで心地よく、だがあの山下節で快調かつリリカルに、疾駆というより気持ちよげな小走りといった趣である。≫と評していた。これ以上に付け加えることばが見当たらないのだけれど、まさに対者がベースということが山下洋輔のリリシズムと、小気味いいジャズセンスが浮き出てくる因となっているのだろうか。洋輔節(ぶし)とでも言ってよいそれらが濃厚に聴くことができ、堪能できるアルバム仕上がりとなっている。77年にもロイディンガーをフューチャリングしてのアルバムを制作している事をおもえば、洋輔のピアノが生きる良き対者であったのだろう。まことに小気味よくメリハリの効いた快走(このアルバムでは疾駆するところも多々ある)するピアノであり、リリシズムに聞き惚れること請け合いのピアノである。