yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

内に緊張を湛え、ゆらぎ、たゆたう生成の音楽。その静かな熱き高揚感に不思議の愉悦を感じさせるジョン・スティーヴンスの『SPONTANEOUS MUSIC ORCHESTRA』(1975)。

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Derek Bailey - John Stevens Solo

      

ジョン・スティーヴンスJohn Stevens
イメージ 3ついぞこういうコレクティヴな即興音楽、フリージャズは日本、アメリカでは行われ得ないだろうなと思わせる、みごとなパフォーマンスだ。タイトルは『SPONTANEOUS MUSIC ORCHESTRA』ときは1975年、イギリス・ロンドンにてのライヴ録音。芸術協会の財政的援助のもとに行われたコンサートのよし。「Spontaneous Music Ensemble」とはイギリスのフリージャズシーンを引張ってきて功績あったパーカッション・ドラムスのジョン・スティーヴンスJohn Stevensのコンセプト・ユニットだけれど、それを核に若い世代を巻き込んでの多人数でのコレクティヴ・インプロヴィゼーションジャズの試みといったところなのだろう。総勢21人という構成のなか、チェロ3、ヴァイオリン3、ベース2などと弦が多いことが特徴的であり、ホーンにこれら弦が絡んでゆくさまはスリリングである。あたかも現代音楽でのフランスのトリスタン・ミラーユジェラール・グリゼーらのようなスペクトル楽派のように、模糊とした雲漂うが如くの音の推移が新鮮である。主張するでもなくしないでもなく、顫動、ゆらぎながら推移し、たえざる生成の運動にコレクティヴなパフォーマンスをコンセプトするさまは独特、いや独創といってもいい。決して咆哮などしない、内に緊張をたたえ、ゆらぎ、たゆたう生成の音楽。ジャズ畑でこれを提出したジョン・スティーヴンスも立派だけれど、その指に止まる才気奔ったフリージャズメンがヨーロッパ、イギリスのこの地、この時代に在り、このように形を残した事は忘れてはならないヨーロッパフリージャズ史での重要な出来事のように思われる。静かな高揚感に不思議の愉悦を感じさせる。また、静かにこころ熱するこの独特の音色世界は、音楽地平をひとつ、一次元押し上げたような斬新の世界であることは疑いない。なまじの現代音楽よりも<生>きている、それも静やかさの中での熱き躍動感、内への緊張感、掘削力がある。まさしく生成である。「Spontaneous」である。





Spontaneous Music Orchestra 『SME + = SMO』

Tracklist:
+
A1 Search + Reflect
A2 Sustained
A3 Sustained +
A4 1 2 +
-
B =

Credits:
Acoustic Guitar - Roger Smith
Artwork By - Margaret Richards
Bass - Angus Fraser , Marcio Mattos
Cello - Colin Wood , Jane Robertson , Lindsay Cooper (2)
French Horn - Martin Mayes
Guitar [Electric] - Ian Brighton
Harmonica - Chris Turner
Mastered By - Tony Bridges
Mixed By - Dave Pickett*
Percussion, Cornet - John Stevens (2)
Photography - Jak Kilby
Piano - Peter Drew
Recorded By - Martin Davidson
Saxophone [Alto] - Dave Decobain , Herman Hauge , Ye Min
Saxophone [Sopranino] - Robert Calvert (2)
Saxophone [Soprano] - Bob Turner , Evan Parker , Trevor Watts
Violin - Nigel Coombes , Robert Carter , Stephen Luscomb
Notes:
Recorded live at St. John's Smith Square, London, January 25, 1975 presented by Music Now.