yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

マンフレッド・ショーフ『Manfred Schoof The Early Quintet』(1966)。70年前後の狂熱のヨーロッパフリージャズ、その滾りたつ活動の沸騰には、やはり素地があったのだ。

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Bernd Alois Zimmermann: Die Befriesteten (1967): The Manfred Schoof Quintet.

             

アレキサンダー・フォン・シュリッペンバッハ
イメージ 2その破壊力を魅せつけ、パリ5月革命を筆頭に世界にシンクロするほどの政治の季節でもあった70年前後を猛烈に突き進み席巻したヨーロッパフリージャズ(とりわけドイツ、イギリスのFMP、INCUSレーベルの登場が象徴的だ)の滾りたつ活動の沸騰には、やはり素地があったのだ。60年半ばのこの力強い敢闘があってこそなのだろう。当然といえば当然なのだけれど・・・。それほどに、既にこの時点で、力強い、断固としたヨーロッパ独自のフリージャズへの歩みがなされていたのだ。いまだ本場アメリカンへの横睨みはあるにせよだ。今日取上げる『Manfred Schoof The Early Quintet』(1966)での、シュリッペンバッハAlex von Schlippenbachのピアノスタイルは、すでにして、現代音楽に培われた変革の感性を繰り込んでセシルテイラーと拮抗するまでに練り上げられてきているものだ。そこでは驚くほどの先進性をクールに聴かせているのだ。音楽学校での師はジャズイディオムを作品中にコラージュ使用も試みたベルント・アロイス・ツィンマーマンだった。枠を取り払う革新性の意気は師弟通ずるものがあったのだろうか。ところで話しが順逆になってしまっているけれど、タイトルを見てのとおり、リーダーは、トランペッターのマンフレッド・ショーフManfred Schoof (1936‐) となっている。こちらもシュリッペンバッハと同様極めてお堅く、きちっとアカデミックな音楽教育を修学した人物だ。いわばインテリの双頭ジャズコンボと言えるのではなかろうか。それほどに、ソロパートが双方光っている。それにベースのBuschi Niebergall、テナーサックスのGerd Dudekも力強く好演をみせているけれど、現代音楽(無調)への感性の傾斜をもつ私の好みもあってか、やはりシュリッペンバッハが断然凄い。このアルバムが出た66年には、ブログにすでに取り上げた≪沸き立つエネルギーの音塊に身をさらす爽快、40年も前の音源いまなお新鮮なアレキサンダー・フォン・シュリッペンバッハ『GLOBE UNITY』(1966)≫と言うヨーロッパフリージャズの念碑的アルバムが出されたのと時を同じくしている。ということで、たぶんこの時期がターニングポイントだったのだろう。この2年後にはアメリカンジャズでは≪歴史的な意義をもつアメリカのコレクティヴジャズの実践『THE JAZZ COMPOSER'S ORCHESTRA』(1968)。しかし正直、このアルバムはセシル・テイラーの圧倒するソロにより記憶されるイメージ 3が出されはした。しかし聴き較べればどちらが革新性を示しているかは瞭然と思われるが、さてどんなものだろうか。
かたやのマンフレッド・ショーフには山下洋輔トリオとの共演アルバムが名高い。それは≪オキナカサケマソをセメネケした???山下洋輔トリオ+マンフレッド・ショーフ『DISTANT THUNDER』(1975)≫とタイトルしてすでに投稿している。



Manfred Schoof The Early Quintet FMP 0540
Manfred Schoof-trumpet;
Gerd Dudek-tenor saxophone;
Alexander von Schlippenbach-piano;
Buschi Niebergall-double bass;
Jacki Liebezeit-drums;
Sven-Åke Johansson-drums (track # B2a & B2b only)
Side A and B1 recorded by Willi Schmidt in December 1966 in Munich.
Produced by Hans Wewerka.
B2 recorded by Justus Liebig in September 1967 in Godorf.
Produced by Manfred Schoof.
Album produced by Jost Gebers.
SIDE A: 1 Axiom (Schoof) 4:23
2 Ingredience Nr. 2 (Schlippenbach) 7:08
3 Inri (Schlippenbach) 7:18
SIDE B: 1 Second roof (Niebergall) 4:14
2a On W.T. (Schoof) 5:28
2b Turn 14 (Schlippenbach) 11:00
COVER: Design by Manfred Kussatz.
Photograph by an unknown photographer.
REMARK: UDJ-Award (Award of the Union of German Jazz Musicians)