yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

アルボ・ペルト『リタニ(連禱・れんとう)』(1996)。至高の沈黙の深さと静謐。いうことなし。

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Arvo Pärt - Cantus in Memory of Benjamin Britten - Datenverarbeiter Video

           

イメージ 2さてと、日曜日も日が暮れ今はもう午後6時。NHK・FMの現代音楽の定時番組で、新実徳英を先週と二回にわたってゲストに迎えて放送ということで、さっそくスイッチオン。それを聴きながら今この稿をしたためている。
この放送を聴き終えると次はサッカー観戦と相成る。日本代表はすでにアジア三次予選通過を決めてしまっており、いわば消化試合でもあるのだけれど、なにせサッカー中継はプロ野球とちがって数少ないこともありテレビにかじり付いてしまう。それを見終えると9時を廻ってしまうので、急き立てられるようにして今文字を打ち込んでいる。
きょうはドイツグラモフォンのアヴァンギャルドシリーズVOL.2のうちの一枚である電子音楽か、それとも、いつものごとくネットで図書館借受したアルヴォ・ペルト(Arvo Pärt, 1935 - )の『リタニ(連禱・れんとう)』(1994)にしようかと思いつつ、久しぶりの読書を居眠りも交えてしている間に時が経ってしまった。
ま、なんとはなしに未決のままにネットを覗いていたら、ペルトの検索で、次のようなあるブログ記事へのコメントがヒットした。けっして悪意あってのニュアンスのコメントでないことは先に言っておきたいと思う。
以下の如くだ。≪15年ほど前か。あの吉田秀和さんが武満徹さんと並べてペルトを評価していた。当の武満さんは安易な先祖返りとペルトを批判した。武満さんが評価したのはタン・ドゥンとマグヌス・リンドベリ。坂本龍一さんと浅田彰さんは20世紀末のユリイカグレン・グールド特集の対談で「ペルトなんてマイナーな作曲家で、21世紀のなかばには誰も聴いていないんじゃない。」と気勢を上げている。60年代の前衛作曲家ピエール・ブーレーズの跡を継ぐ道こそ、音楽の未来への、メジャーなメイン・ストリートだとも二人で確認し合っていた。ムズカシー!≫。
当初このような評価がなされていたのを知って取り上げた次第。私自身はそのころ(1990)音楽といえばハードロック、ヘビーメタルを浴びるほど聴いていた頃で、現代音楽からは遠ざかっていた時期だった。と言うより、レコード蒐集の熱が冷めた80年央よりこのブログをはじめるまで現代音楽やフリージャズからは疎遠になっていた。
そういうこともあって、アルヴォ・ペルトの存在もまったく知らなかったし、上記のような評価が口にされていたことなどもとうぜん知る由もなかったのだ。いささか意地悪な当方の心持もないではないけれど、おもしろいですね~と転載させていただいた次第。どうでしょうか。
さて本題のアルヴォ・ペルトの『リタニ(連禱・れんとう)』(1996)。以前≪<生>の単調に堪える静謐に、永遠の美を聴くアルボ・ペルト(1935-)の『アルボス<樹>』(1986-7)≫とタイトルして記事にしたこの衝撃的感動は忘れがたいものだった。その感動をあたため、追うようにして≪シンプル極まりない簡素な音に瞑想と祈り誘う、中世教会音楽の余情もつアルボ・ペルト(1935-)の『ヨハネ受難曲』(1982)≫、≪崇高と静穏の安らぎに慰撫されるアルヴォ・ペルトの音楽『Cantus in Memory of Benjamin Britten』.『Fratres』ほか≫として投稿した。
そしてまた今回である。この沈黙の深さと静謐はその崇高さを携え心を捉えて離さないものがある。こうした賛辞の言葉の繰り返しに終始するシロウトの印象批評のもどかしさをなんとしよう。
≪彼の作曲システム(ティンティナブリ様式は、音階上を順次上向、下降する音型から成る声部に、分散和音からなる別の声部〔ティンティナブリ声部と呼ばれる〕を組み合わせる作曲のシステム)で書かれた音楽作品は、劇的な転調もなく、限られた数の音の組み合わせが、パターンを変えて繰り返し現れる。多数の楽器が同時に使われる時も、主にオクターヴで重ねられるため、響きの澄明さは保たれている。ペルトの音楽に聞かれる一種の禁欲主義と清澄さは、そうした静的なハーモニー、限定された旋律進行、遅めのテンポ、反復される規則的なリズム、そして、頻繁に置かれる休止などに起因する。≫(解説・高岡明)
ペルトの感動の音楽の背後には、こうした探求その成果があるとの指摘でシロウトの私には十分なことだ。あとは、ひたすらに<至高の沈黙の深さと静謐>に思いをいたし耳そばだて聴き入ればそれで良いのだ。
最後に、途中テレビ観戦してのサッカーワールドカップアジア三次予選最終戦、対バーレーン戦に岡田ジャパンが勝利したことを祝しつつ、この稿を気持ちよく擱えよう。




1. リタニ(連禱・れんとう)(1994) Litany
2. サロム(詩篇)(1985・95) Psalom
3. トラサジオン(1992-95) Trisagion