yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

サニー・マレイ『サンシャイン SUNSHINE』(1969)。世相たぎるヨーロッパで成しえたアメリカンフリーの傑作。

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Sunny Murray, Elvin Jones & Art Blakey 1968

         

イメージ 2このブログでよく取り上げるセシル・テイラーとの共演でとりわけ知られている(一部の人にとってはむしろアルバート・アイラーとのそれの方がとおりがいいのかもしれないが)ドラマーのサニー・マレイJames Marcellus Arthur "Sunny" Murray (1936‐)の『サンシャイン SUNSHINE』(1969)がきょう登場するアルバム。今まで、ヨーロッパ・フリージャズを中心にということで、アメリカン・フリージャズは、シカゴを根城に先鋭な活動を展開していた非商業主義を主旨とするAACM(The Association for the Advancement of Creative Musicians)系を限定的に聴いていただけだった。それほどに、私にとっては、アメリカン・ジャズは面白くなかったのだ。そこには解体的までのタギルものが無かったのだ。売れんかなのアメリカ・メインストリームジャズは私には興味の対象ではなかった。今でもそうだけれど・・・。息抜き程度には聴きはするが・・・。ようするに、狂おしいまでの<数寄者>とは出会わなかったということなのだろう。そうしたことで言えば、このヨーロッパはフランス、パリで収録された(なぜか1969年はヨーロッパの地でのアメリカンフリー系の豊穣の年だった。パリの五月革命の社会的騒乱の熱気が呼び水となっていたのだろうか、単なる安易な連想憶測だけれど・・・)アルバムは、AACMのアート・アンサンブル・オブ・シカゴ Art Ensemble of Chicagoのメンバーが参加していることもあってか、サニー・マレイの空間を埋め尽くし焚きつけるようなシンバルワークに乗り、凄まじい熱気と混沌で突っ走っている。さぞかし、そのパワーに圧倒されたことだろう。アメリカン・フリーが、このようにヨーロッパの地にて名演、傑作を残しえたことの背景には、如何に本場アメリカが衰退していたかの逆証左でもあるといえないだろうか。とにもかくにも、革新の意気燃えるジャズミュージシャンの傑作のドキュメントがこのアルバムで聴けるとして擱こう。最後に、ネット通販のカスタマーレビューには次の評があった。引用させていただこう。≪ここではsheppにlester bowie、roscoe mitchell、malachi favorsらAACM組ほか、この時代のshepp系ken terroadeのドス黒く禍々しいテナー。加えてdave burrell、al silvaまで参加。当時のフリー・ジャズ先鋭が集結。紙ジャケによる本格的な仕様で音も生々しさが極まる。匂い立つようなmurrayのシンバル・サウンド、空間的なスネア・ロールとブレイク。とりわけシンバルの音がむちゃくちゃに凄い。儀式のような不穏な曲想を持つ“flower trane”(silvaとfavorsの2ベース)に始まり、ken terroadeをフィーチュアした激烈なサックス・トリオ“real”、AACM組が加わり火花を散らす“red cross”までただただ圧倒されるのみ。全曲を通してmalachi favorsの強靭なベースが強い印象を残す。≫これ以上に評する言葉をもたない。
上記評に≪ken terroadeをフィーチュアした激烈なサックス・トリオ“real”、AACM組が加わり火花を散らす“red cross”までただただ圧倒されるのみ。≫とあるように、B面はとりわけ聴き応えあるパフォーマンスが堪能できる。



side 1
flower trane *~ 13'45
side 2
real ** 8'45
red cross * * * 7' 54

personnel:

lester bowie (trumpet *)
arthur jones and roscoe mitchell (alto sax ***)
archie shepp (tenor sax *)
kenneth terroade (tenor sax in all tunes)
dave burrell (piano *, ***)
alan sliva (bass *)
malachi favors (bass in all tunes)
sunny murray (drums in all tunes).

produced by jean georgakarakos and jean•luc young.
executive producer : jacques bisceglia.
engineer : claude jauvert.
recorded in paris, august 15, 1969.
photos: jacques bisceglia / nadja pictures.
all tunes written and arranged by sunny murray.
all tunes published by : byg music (sacem).


http://www.mimaroglumusicsales.com/artists/alan+silva.html ≪ken terroadeをフィーチュアした激烈なサックス・トリオ“real”≫が試聴できます。