yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

アントン・チェーホフと郭璞(かくはく)

イメージ 1「どうして人間は、老境に入ってから、自分の感覚を監視したり、自分の行いを批判したりするんだろうね?なぜ若い頃にそれをやらないのかな?老年と言うのは、それでなくてさえ、堪えられないものなのに……そうだとも……若い頃には生活全体が、ほとんど意識にも引っかからずに、跡もなく過ぎ去って行くのに、年をとると、ごく些細な感覚の一つ一つが釘のように頭に突き刺さって、数多くの疑問を呼び起こすんだからな……」

「ならんで腰をおろし、ひっそりと沈黙しているのだが、そんな時二人の心は、さながら、どちらも口に出しては到底語れぬことを、ささやき合っているかのようだった。そんな時の二人は、人生の温みの名残で互いにあたため合い、それぞれ相手が何を考えているのかを、よく理解していた。」

         アントン・チェーホフ 「生のわびしさ」より



   「言は忘るるを以って得(え)      
       交わりは澹(あわ)きを以って成る」(郭璞・かくはく

「言は意に在る所以なり。意を得て言を忘る。吾安(いづ)くんぞかの言を忘るるの人を得てこれと言はんや」
「君子の交わりは淡きこと水の若(ごと)く、小人の交わりは甘きこと醴(あまざけ)の若(ごと)し。君子は淡くして以って親しみ、小人は甘くして以って絶つ」
                
                       「漢詩名句辞典」(大修館書店)より