yuki-midorinomoriの日記

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漢詩漢文のもつ味わいのある奥深い多彩な表現のつまみ食い。『漢詩名句辞典』(鎌田正、米山寅太郎著・大修館書店)

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         Chinese Painting and Calligraphy in 3D
          

先日、ひさしぶりに古本屋へ覗きに行ってきた。まさに覗きにである。暇つぶし。もう本を買っても読みきれないほど、いや人生をもういっぺん繰り返してもたぶん読みきれないほど埃をかぶった本で棚が埋まってしまっている。大部分が文庫本、新書のたぐいだけれど。これ以上の積読は、もはや積読でもなくごみをためているような思いがする。全く、情けない限りである。ということで、背中のタイトルを読み、パラパラ程度の立ち読み、拾い読みとなる。どうせ買っても読めないだろうと手ぶらで帰ることが多いのだけれど、また、魔が差したというか、自制心がないのか、欲望に負けつい手が出てしまい本を買ってしまった。その本とは『漢詩名句辞典』(鎌田正、米山寅太郎著・大修館書店)である。名著かどうかは知らない。まあ、辞典だからあってもいいだろう、いつか使うだろうからという気持ちと、漢詩漢文のもつ味わいのある奥深い多彩な表現力に対するいささかの羨望と、そうしたことを知らないまま馬齢を重ねてきたことに対する忸怩たる思いがつね日頃あったせいもある。要するに教養のなさというやつである。言葉を生業としているわけではないのでボキャ貧でも差し障りも何もないのだけれど。べつに故事成句の類や処世訓、また名言などをふりまわして悦に入ろうとなどと思っている訳ではないのはもちろんである。また、おおむねそうした知識は、ナルホド、ナルホドと感心しても、すぐに忘れて飛んでいってしまうものであることは、ご存知のとおり。たぶん仕入れがお手軽だからなのだろう。一、二行の背後にある一見無駄と思える膨大な行文があってこその本当の言葉、心に染み入る言葉なのだろうからだ。斯くいうも、そうした意味では、この『漢詩名句辞典』での拾い読みも同じことかもしれない。何せ直接詩文集にあたるわけではないのだから。それはともかく、文章表現の幅を得るためにも漢詩漢文・漢字、類語はできるだけ知っておきたいとの思いは、こうしたブログを綴るにつけ募るものである。

冒頭、四季・春の項からピックアップ――

   魚たわむれて新荷(しんか)動き
   鳥散じて 余花落つ


   已(すで)に寒梅の発(ひら)くを見
   復(ま)た啼鳥の声を聞く


   遅日 江山 麗しく
   春風 花草 香(かんば)し


   江(こう) 碧(みどり)にして 鳥 愈々白く
   山 蒼くして 花 然(も)えんと欲す


   芳樹人無く 花自ずから落ち
   春山一路 鳥空しく啼く


   春色 人を悩まして 眠り得ず
   月移りて 花影 欄干に上る


   疎疎たり 一簾の雨
   淡淡たり 満枝の花


なんだか頭が良くなったみたいではある。