yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

現世超越の意志的想像力。その特異独創のクセナキスの響き。チェロ独奏曲『Nomos Alpha』ほか。

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Nomos Alpha (Iannis Xenakis), part I

           

ヤニス・クセナキスIannis Xenakis  右写真は祖国ギリシャ・抗-独裁政権、反ナチ・パルチザン(死刑宣告受けるにいたる)での九死に一生を得る戦闘傷跡生々しい正面よりの自画像。生前には見られなかったはず……。
イメージ 2イメージ 4ひさしぶりに、ヤニス・クセナキスを聴く。それにしても、曲冒頭一発すぐクセナキスと分かる音の世界。全く独創の世界としか言いようのない見事さである。安息の記憶を揺さぶる、かつて出くわしたことのない音たちの異様なふるまい。上昇下降に音が軋み流動する。加速の果てにランダムネスを現出する。音色の特異さで際立っている。ともかく神話的古代ギリシャの情念とコンピュータテクノロジー、数学・論理学の現世超越への意志的想像力が生み出したその音世界の独特は尺度を超えて音楽史に燦然している。まさしく、類い稀な戦後の現代音楽を代表する作曲家であり、作品群であるだろう。聴いたことのないような音の響きが楽器たちから世界に解き放たれ飛翔する。おそらく彼方からのメッセージとして何ほどかを聞くことだろう、そのイメージ喚起力は強烈である。拙ブログではすでにクセナキスを10稿ほど取り上げてきた。素人の印象批評の枠を出るものではなく、したがって早やことばに窮しているありさまである。哀しいかなことばは音に追いつけない。まして聴くにせかれて、音楽論や、評伝などに目配せするゆとりもなく、思うままに字句を埋めてきた。とりあえずは我がブログのクセナキス書庫にある、先のブログ稿の10稿に彼の音イメージ 3楽への我が思い、評言はゆずり、今日はこれで擱きたいとおもう。クセナキスこそは私が現代音楽へのめりこむきっかけをつくった最大にして最高の作曲家であった。ことばが音楽に追いつきともに歩むには、いま少し頭と心のリフレッシュが必要のようだ。



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