yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

落ち着きと精神性、粛然の品格。至高の輝き放つ渾身の音楽史的作品ウジェーヌ・イザイ『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品27 』(1924) 。

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Eugene Ysaye - Sonata No. 4 in E minor

       

Maxim Vengerov - Eugene Ysaye - Sonata No 3 in D minor, Ballade Op. 27

       


ウジェーヌ=オーギュスト・イザイEugène-Auguste Ysaÿe
イメージ 2無伴奏ヴァイオリン・ソナタといえば、ヨハン・セバスティアン・バッハが先ず挙げられることだろう。とりわけパルティータ第二番シャコンヌは余りにも有名であることはご存知のとおり。以前、我がブログのトップページの、カワユク凛々しい柴犬子犬三兄弟の写真の入っている書庫・YOUTUBEの館に、ヤッシャ・ハイフェッツ奏するバッハのパルティータ第2番シャコンヌの動画を貼り付けたことがあった。またアルバム紹介の稿にも、≪崇高と静穏につつまれて厳粛な音楽・・ヴァイオリン一丁(本)の壮大な音の宇宙≫として、ヘンリク・シェリング3枚組みレコードでの全曲演奏盤を取り上げている。何ほどかを粛然と(襟)正さしめる崇高と厳粛。たぶん異論の無いところとおもわれる。そのバッハの傑作、≪無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータを強く意識した無伴奏ヴァイオリン・ソナタ≫(WIKIPEDIA)として作曲されたのが、ここに紹介するベルギーの名ヴァイオリニストであり、作曲家のウジェーヌ=オーギュスト・イザイEugène-Auguste Ysaÿe(1858 - 1931)の技巧を尽くしたと言われる6曲からなる『無伴奏ヴァイオリン・ソナタ 作品27 』(1924) である。まことに奥深い精神性を漂わせたすばらしい無伴奏ヴァイオリン・ソナタといえよう。今回の紹介CDは、いつもの如くNAXOSの廉価盤で、演奏者はベンジャミン・シュミットBenjamin Schmid。ひじょうにシャープな演奏だ。ヴァイオリンといえばジプシーヴァイオリンに聴かれる、メロディアスで甘く切なくすすり泣くようなと形容され、また派手な超絶技巧をこれ見よがしにパセティックに猛然と弾きまくるといったクライスラーパガニーニなどがイメージされるけれど、このイザイのヴァイオリンソナタにはそうしたやんやの喝采、大向こうを唸らせる、ある意味嫌味な空疎、軽薄に堕しかねないところのないのが立派なところで、その作品に落ち着きと精神性、粛然の品格を持たせているのだろう。それはたぶんバッハへのつよい尊崇あってのことなのだろう。イザイにはほかの作品もあるらしいけれど、この無伴奏ヴァイオリン・ソナタのみを聞くだけといっても言い過ぎではないぐらいに、この作品にイザイ個人を越えた天与の結晶をみる。まさしく渾身の作品であり、捧げものとして至純の輝きを放ちつづける音楽史的作品であるだろう。最後にこの無伴奏ヴァイオリン・ソナタは≪6曲それぞれ別のヴァイオリニストに捧げられており、彼らを意識して書かれている
1. 第1番 ト短調 (献呈: ヨーゼフ・シゲティ)
2. 第2番 イ短調 (献呈: ジャック・ティボー)
3. 第3番 ニ短調 「バラード(Ballade)」(献呈: ジョルジェ・エネスク)
4. 第4番 ホ短調 (献呈: フリッツ・クライスラー)
5. 第5番 ト長調 (献呈: マチュー・クリックボーム(Mathieu Crickboom, イザイの弟子))
6. 第6番 ホ長調 (献呈: マヌエル・キロガ(Manuel Quiroga, スペイン出身の演奏家)) ≫(WIKIPEDIA
のだそうである。