yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

現代音楽的なピアノタッチにブルージーなトーンが熱く激するアレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハ(1938-)の『ピアノソロ』(1977)。

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アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハAlexander von schlippenbach
イメージ 2アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハAlexander von schlippenbach(1938-)
。まあ、なんといかめしい名前であることか。
≪ドイツの貴族は「フォン(von)」、フランスの貴族は「ド(de)」を名前に付けた。≫(wikipedia)とあるように、名前に<VON>がついてるので、その出自なのかもしれない。はたしてそのとおりかどうかはわからないが。顔立ちもそういえばなんとなくそのようにも見えてくるほどに端正である。
≪1938年、ベルリン生まれ。ヨーロッパ・ジャズ界の重鎮。ケルンの音楽大学でベルント・アイロス・ツィンマーマンとルドルフ・ペッツォルトに師事。1966年ベルリンジャズ祭のためにグローブ・ユニティ・オーケストラ(GUO)を結成。フリージャズと現代音楽の要素を融合させた演奏は大きな話題を呼んだ。≫(ネットページより)
確かにグローブ・ユニティ・オーケストラは異質だった。少なくともアメリカでの同年1966年の「ジャズ・コンポーザーズ・オーケストラ・アソシエーション」でのこの種のコレクティブな試みに比べれば、謂うを待たない。抜きん出ていたと断じることがゆるされよう。極端な話し、カーラブレイらの試みは耳をふさぎたくなるほどのものだった。そうした意味でシュリッペンバッハの集団即興演奏のコンセプトはその先進性では抜きんでていた。この今日取り上げるピアノソロアルバムを聞けば納得だろう。
現代音楽畑から来たとはいえ、やはりジャズへの熱いものがある。明らかにジャズ、ブルージーなトーンがそのクリアーな現代音楽的なピアノタッチのパフォーマンスの中にも流れており、そのせいでもあるのか、何の違和もなく壮絶というにふさわしい打鍵凄まじく調性への解体織り交ぜたフリージャズピアノの醍醐味が満喫できる。
山下洋輔もいい、セシル・テイラーもまたいい、そしてこのシュリッペンバッハも、現代音楽数寄のジャズ数寄には欣喜ことのほかすばらしい。ありきたりのメインストリームのインプロヴィゼーション・フレージングにはない現代音楽の(無)調性のステージでの音のエネルギッシュな乱舞にもジャズのスピリットが常なるものとしてそのピアニズムに貫かれているのが好ましいことこの上ない。山下洋輔にシビレル向きはぜひともこのシュリッペンバッハも聞いて悶絶していただきたいものである。66年のグローブ・ユニティ・オーケストラから数えて10年もの月日が経ってのソロアルバムである。その熟成が察せられようというものである。





アレクサンダー・フォン・シュリッペンバッハAlexander von schlippenbach(1938-)
http://www.avschlippenbach.com/


いつもながら紹介しているすぐれたヨーロッパジャズ情報サイト
http://www.geocities.jp/ecmlistener/ecm-musicians.html