yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

惰性の美学の安穏に揺さぶりをかける、荒涼とした冷えの情熱の世界ハインツ・ホリガー『弦楽四重奏streichquartett』(1974)。

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Heinz Holliger, Streichquartett No. 1 1973 Part One Berner Streichquartett

            

イメージ 2この驚くべき『弦楽四重奏streichquartett』(1974)。およそその端正な顔立ちから生まれでたとは想像できないほどの作品である。作曲家ハインツ・ホリガーHeinz Holliger(1939-)は、オーボエの世界的なヴィルトーゾとして夙に知られている。しかしこれは、仰天の響き凄まじき作品である。どうしてこのような厳しくて奇体な作品が生み出されたのだろう。ここには伝統的な当たり前の聞き慣れた弦の響きが徹底的に解体され、居心地の悪い、聴くものを不安定にさせる響きで満ち満ちている。厳しく救いのない世界とはこのようなものか。洗練から徹底的に遠い荒々しい混濁の、カオス的響きへの意志的投企の冷厳な情熱は、聞くものの惰性の美学の安穏に揺さぶりをかけるかの如くである。まるですべてが崩れ去り荒涼とした仏性も響かぬ世界に佇む冷えの世界であるかの如くだ。他に、ヘルダーリンの詩句を扱っての合唱曲『Die jahreszeiten』(1979)とチェロ独奏曲の『Chaconne fur Violoncello solo』(1976)が収録されている。このあとの2作品は弦楽四重奏作品ほどには仰天の作品ではなく、かっちりと作り上げられた作品で、チェロ独奏曲など聴くともうこれは日本人には到底出来ない、書けない作品だなと思える作品である。情緒をとことん突き抜けてしまっている。しかしチェリストは弾いてみたい作品なのではないか知らんと思うような、精神の緻密を感じさせる作品だと私には思える。凝縮緻密の世界、スゴイものです。




ハインツ・ホリガー公式サイト、作品試聴できます、是非クリックしてみてください。
http://www.schott-cms.com/holl/