yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

現代音楽の正統的最高水準の、その厳密で緻密なきらめき流動する音色世界を体験、ピエール・ブーレーズ4枚組のCDアルバム。

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Boulez - Dérive I - Ensemble Intercontemporain – Eötvös

           

ピエール・ブーレーズPierre Boulez
イメージ 24枚のCDアルバムが入っており、収録曲の総演奏時間が3時間56分。どうしたものやらと言う感じである。逐次取り上げるにはボリュームがありすぎ、おまけに現代音楽である。ところで、このエラート盤は廉価版ということらしく、3千円前後で店頭に出ているはずである。収録にダブリが多く躊躇したけれどいくらか初物があったので、私はタワーレコードで手に入れた。<世紀>のピエール・ブーレーズPierre Boulez作品の主なものが鑑賞できるとあってみれば、これはそうした意味ではお買い得だと思う。ただ、いま気がついたけれど、トータルセリーの試みとして記念碑的作品と言える極めつけのピアノ・ソナタ」が入ってない。また、世紀の傑作『ル・マルトー・サン・メートル』も入っていない。ただし、双璧なす傑作『pli selon pli』は収録されている。とはいえブーレーズの初期の、鋭くも瑞々しい音色感性の発露として、私など現代音楽への親しみを持っていただくためにも、入門としても、ぜひ聞いていただきたい『Sonatine』がはいっているのは好ましいことだ。もっともこのようなことの詮索は、こうした廉価版では、ないものねだりで詮無いことなのかもしれない。それにしても、ブーレーズの作品をこの価格でこのボリュームで、おまけに、作曲家自らが(一部はバレンボイムだけれど)指揮しての演奏を聞けるとは素晴らしい企画であると言える。文句なしにお薦めするCDであり、ブーレーズ紹介であり、現代音楽への最良の導きであると、断言しておこう。ピエール・ブーレーズの音楽は、その音楽水準の最良にして最高の達成であり、聞く者に決して失望をもたらしはしないだろう。私など、何を聞いても、おおブーレーズ!であり、現代音楽の高峰連山であることに賛嘆のほかない。指揮者としてあまりにもの成功(ストラビンスキーの「春の祭典」には驚いた、ブーレーズ以後を作り上げてしまった感がある)を勝ち得たがために作曲家としての曲作りが後退しているとの印象がするけれど、聞き得る限りの作品だけでも現代音楽の正統的最高水準の、その厳密で緻密、きらめき流動する音色世界を体験できる。決して、鬼面人を驚かせ騒がすアヴァンギャルドではない。しかし先ずはブーレーズを聞こう、それからだと言っておこう。それほどの優れた音楽史的達成であることは確かなことだ。