yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

オリヴィエ・メシアンの自作自演『オルガン名曲集』(1969)7枚組み。わが除夜の鐘より、ひとまず先に神と共なる祈りの教会オルガンで心鎮めよう。

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Messiaen L'Ascension, for solo organ Part One, performed by Olivier Latry at Royal Albert Hall during the BBC Proms 2008 season.

          
イメージ 2108つの除夜の鐘で間に合うのかと云うくらいのいろいろな<変>がありました。トヨタに象徴されるわが日本の経済の激変となりふりかまわぬ大手企業の雇用対応をおもうと、来年が思いやられる。たぶんまた政界、官界の<優秀な!???人材>とやらの失政、失策続きの馬鹿を見るのだろう。国益の損失になんの痛痒も感ぜず責任も取らないという噴飯モノの<優秀な!?人材>だ。おまけに、民が雇用不安、薄給にさいなまれて苦しんでいる不景気ななか、馘なしの雇用安定に高給与とくる。バカバカしい。一蓮托生の日米である。この先、臆面もなく奉加帳も回ってくるだろうし、アメリカの不況対策の低金利政策による円高になすすべもなく火元のアメリカより深いダメージをうけることだろう。難儀なことだ。朝の来ない夜はないなどと、至極もっともであるけれどアホみたいな慰めなどききたくもない。人間どん底になると命より金だという切迫もまた真実なのだ。苦悩から逃れんための死の選択などありふれた話しだ。世の中剄い人間ばかりじゃない。だから哀しい話の種はつきまじというわけだ。ぼやいても空しいだけだ。

  ま た し て も 人 の お ち め や 年 の 暮 れ  (万太郎)

ココロの内は

  行 く 年 の 湾 に た だ よ ふ 荒 筵(むしろ) (不死男)

くたびれ果て空しさ漂うといったところか。
まさに実感。よく詠ってくれました。
だけど、こういう気分でありたいとも思う

 う つ く し や 年 暮 れ 切 り し 夜 の 空  (一茶)
           写真、正面トリニテ教会→
イメージ 3というわけで、なにが?厳かに粛然として年の暮れを過すにふさわしい信仰篤きオリヴィエ・メシアンの自作自演の教会オルガンの天上の祈りの調べを聴き、この押しつまった年の暮れ、本年最後の音楽ブログとしよう。パリのマドレーヌ教会オルガニストを務めたシャルル・カミーユ・サン=サーンス Charles Camille Saint-Saëns(1835 - 1921)やガブリエル・ユルバン・フォーレ(Gabriel Urbain Fauré, 1845 - 1924)も献上のために演奏したという歴史あるパリ・サント・トリニテ教会(Église de la Sainte-Trinité de Paris)のオルガニストをコンセルバトワール卒後僅か23才の1921年から彼の死の1992年まで半世紀以上務め神に音楽を捧げた。その名曲の数々をレコード7枚という大部なBOXでまとめ上げ1969年に出されたものがきょう取り上げるアルバム。わが除夜の鐘よりひとまず先に、教会パイプオルガンのこの祈りの荘厳な音楽で心鎮め、先の引用句のごとく

う つ く し や 年 暮 れ 切 り し 夜 の 空 (一茶)

と、煩悩【≪煩悩の根源(人間の諸悪の根源)は貪欲(とんよく)・瞋恚(しんに・しんい)・愚痴(ぐち)の三つ≫(WIKI)なのだそうだ。】におもいをいたしこの一年どうにかこうにか過せ、いのち永らえたたことに感謝しよう。
イメージ 4作品のことにふれずに終わりそうなので一言だけ申し訳程度だけれど付け加えて終わりとしよう。メシアンも召集され参戦し、あげく捕虜生活と云う酷烈を強いられた第二次大戦前夜の「L'ascension 昇天 オルガンのための4つの交響的瞑想」(1933)や「Apparition de l’eglise eternelle 永遠の教会の出現」(1932)は、重苦しい時代背景などへのこちらの勝手な思い込みもあるのかもしれないがやはりいい。それと分かりやすさがまだ残されている作品形成初期ということもあるからなのだろうか。

     写真、オルガン弾くサンサーンス


収録作品――

「L'ascension 昇天 オルガンのための4つの交響的瞑想」(1933)
「La banquet celeste 天上の饗宴」(1928)
「La nativite du seingneur 主の降誕 9つの瞑想」(1935)
「Diptyque 「二枚折の絵」現世の生活と至福の永遠性についての試作」(1930)
「Les corps glorieux 祝福を受けた者たち よみがえった命の7つの短い幻影」(1939)
「Apparition de l’eglise eternelle 永遠の教会の出現」(1932)
「Messe de la pentecote 聖霊降臨節のミサ」(1950)
「Livre d’orgue オルガン曲集 」1951)