yuki-midorinomoriの日記

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ボリス・ブラッハー『抽象オペラ第1 Op.43」(1953)ほか作品集』。ジャズの影響を親しく聴く。

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Blacher - Die Flut - Nummer 8

           

イメージ 2きょうは、先にウルトラ・アヴァンギャルドナム・ジュン・パイクのドイツ留学先での師として取り上げたヴォルフガング・フォルトナー Wolfgang Fortner (1907 – 1987 )とほぼ同世代の、ドイツの作曲家ボリス・ブラッハー Boris Blacher(1903 - 1975)をとりあげよう。というのも、このブラッハーは、昨日取り上げた石井眞木の留学先ドイツでの師であり、また韓国の作曲家ユン・イサンの師でもあったということでの、ごく単純な理由からにすぎないのだけれど。≪中国の満州(現在の中国東北部)の牛荘(現在の営口)に生まれる。1919年にハルビンへ移り、1922年に学校を卒業するとベルリンへ渡り、数学と建築を学んだ後、作曲家へ転じた。≫(WIKI)というように、自己形成はちょっと風変わりではあるけれど、それがどれほどの音楽的影響を与えているかは作品を聴く(このアルバム一枚でしかないのでエエカゲンではあるが)限りではよくわからない。総じて窺えるのはジャズの影響といえようか。それはドシロウトの私でも分かるぐらい明らかだ。だからからか、無調音列も親しみやすく聴けるものとなっている。それはB面の「ピアノソナタop.39」(1951)や同じくピアノ小品の「WHAT ABOUT THIS, MR.CLEMENTI?――3つの小曲」(1943)で印象する。それは、またA面の「抽象オペラ第1 Op.43」(1953)でも同様だ。≪ジャズ風な新古典主義の枠内であったが、やがて前衛の時代以後は「可変拍子」と呼ばれる独自のリズム技法を世に問う。システマティックに拍子が変わるという点は、バルトークのメトリックからの応用であったが、トータル・セリエリズムの台頭とともに完全に駆逐されてしまい、表舞台から姿を消す。≫(同上・WIKI)とあることから察するに、むしろ教育者としての重きを生きた音楽家だったのだろうか。ところで、蛇足だけれど、ジャズイディオムを作品に採りいれた作曲家に一回り後世代のベルント・アロイス・ツインマーマン Bernd Alois Zimmermann(1918 - 1970)が知られているけれど、時代的にはブラッハーが先んじているようだ。だから、と云うことは何もないのだけれど・・・。




収録曲――

「ABSTRAKTE OPER NR.1 Op.43」(1953)
「ELEKTRONISCHE IMPULSE」(1965)
「SONATE FUR CLAVIER Op.39」(1951)
「APRESLUDE (Vier Lieder nach Gedichten von Gottfried benn.) op.57」(1958)
「WHAT ABOUT THIS, MR.CLEMENTI? Trios pieces」(1943)