yuki-midorinomoriの日記

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石井 眞木『響応・石井眞木作品集Ⅴ』。小規模、小品にこそ、その風貌に遠いこの作曲家のすぐれた感性を聴くことが出来る。

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Maki Ishii - Hamon-Ripples [for chamber ensemble, violin, and taped music]

               

イメージ 2この石井 眞木(いしい まき、1936 - 2003)はその風貌からエネルギッシュな音塊渦巻く音響の豪胆をイメージさせる。いや実際にそうした作品が少なからず遺されてはいる。だが、大掛かりなオーケストラ作品より、小規模、小品にこそこの作曲家のすぐれた感性を聴くことが出来ることを、これも例の如くネット予約借受のものだけれど、きょう取り上げる、CD『響応・石井真木作品集Ⅴ』で確認することができた。大掛かりなオーケストラ作品の仰々しい音響造形に捉われては、この作曲家の美質を聴き逃すことだろう。音・響きに対する優れた繊細な感受性はソロおよび小規模な楽器編成でこそ窺い知ることが出来る。長年にわたるドイツ在住音楽活動とその風貌に騙されてはいけない。先に云った如く、内面深くに湛える資質の響きはソロおよび小規模な楽器編成にこそ余情をもって奏でられる。私の好みではあるけれど、≪1961年、ベルリン音楽大学作曲科に在学、12音音楽の創始者A.シェーンベルクの弟子で協力者として著名であったJ.ルーファーのもとで、徹底的に12音技法を学んでいた頃の作品≫(解説書)「4つのヴァガテレンop.3~ヴァイオリンとピアノのための」(1961)などは、無調音列の引き締まった冷厳を聴き、よく出来ている。習作といえば云えるのだろうけれど、それ以上のものがある。瑞々しく響き輝いている。そして次の、同じ編成のヴァイオリンとピアノのための「響きの表象」(1981)やピアノソロの「ピアノ曲-北・銀・夜(冬)-op.93」(1993)も余情湛えてすばらしい。



『響応・石井真木作品集Ⅴ』

1.「響応op.13」(1968)~マルチピアノ,オーケストラ,電子音響のための音楽
2.「弦楽四重奏曲-西・金・秋-op.96」(1992)
3.「サーティーン・ドラムスop.66 」(1985)~打楽器独奏のための
4.「秋のメタモルフォーゼop.70」(1986)~ピアノ,ハープ,ヴィブラフォンのための
5.「4つのヴァガテレンop.3」(1961)~ヴァイオリンとピアノのための
6.「響きの表象op.44」(1981)~ヴァイオリンとピアノのための
7.「ピアノ曲-北・銀・夜(冬)-op.93」(1993)


http://www.bcamusic.com/ishii/ishii.html BCA - 石井眞木(音源あり)



Maki Ishii, Thirteen Drums (part 1) 1985 For percussion solo