ジョン・ケージ楽派?アール・ブラウン、クリスチャン・ウォルフ、それに御大ジョン・ケージの即興演奏集団「ジェントル・ファイヤ」による卓抜なリアリゼーション。
Brown: "Four Systems for Four Amplified Cymbals"
ジョン・ケージ
きょうは、有りとすればのことですがジョン・ケージ楽派(ニューヨーク楽派?)の、アール・ブラウンEarle Brown(1926 - 2002)、それとクリスチャン・ウォルフChristian Wolff, (1934 - )、それに御大ジョン・ケージの3人の作品というより、シュトックハウゼンとの活動やフリージャズ畑との活動でその名を知られたヒュー・デイヴィス Hugh Davies (1943 – 2005)(WIKIで、故人となっているのをはじめて知った)や実験音楽シーンでその名を聞くリチャード・バーナスRichard Bernas (1950 -)ら4人のライヴ・エレクトロニクス即興演奏グループ「ジェントル・ファイヤGentle Fire」(1968年結成)によるリアリゼーションを収録したレコード(1974)を取り上げよう。すべての作品はシンセサイザーを含むいろいろな電子機器を使用してのエレクトロニクス音響空間をリアライズ、パフォーマンスしている。全てがグラフィックス・スコアーによる偶然性・不確定性を取り込んでのライヴ即興演奏だから、誰々の作品ということにさほどの意味があるのかどうか・・・。名を伏せて聴けば誰の作品と見当つけられるかどうか。しかし、聴けば聴いたでおおよその見当がつく、あるいは納得の、個性的な響きを奏でているから不思議ではある。たとえば1曲目のアール・ブラウンの「4 Systems」。これは1954の作曲となっているけれど、それは(グラフィック)スコアーがその年代のものと言うだけでリアリゼーションはこの四人の演奏家の、70年代の若い実験的感性が映りだされているということに過ぎないのだが。というものの輪郭のハッキリしたワイドレンジでエッジの効いた音色展開はアール・ブラウンのそれだ。次のケージの「Music For Amplified Toy Pianos」などは、おもちゃのピアノが楽器素材とされているというだけで、もうそれだけでケージの世界だけれど電子増幅されている音色変化がやはり興趣呼び起こす。B面1曲目もケージの「Music For Carillion(カリヨン)」【カリヨン=多数の鐘を音律に従って配列し、鍵盤や機械仕掛けにより打ち鳴らす楽器。中世ヨーロッパで流行した。組鐘。カリオン。カリロン。カンパネッタ。ベル。】(ネット辞書より)もタイトルどおり鐘を使ってのグラフィックスコアーによるパフォーマンスだけれど、何とはなしにケージ的世界にインプロヴィゼーションが収まっているのが不思議。厳かななかにもシンプルな優しさが響いているのだ。そして最後のクリスチャン・ウォルフの「Edges」もそのタイトルの字義【はし。ふち。へり。】どおり、そうしたところで発せられ、生じる音、響きの電子変調された持続音などでのコレクティブパフォーマンス。これもグラフィックススコアーでの演奏なのに、ひじょうに緊張感湛えたスピリチュアルな世界となっている。ひとつのコンセプトでこんなにも豊かな音の世界が現出するとは、といった印象だ。すべておもしろく聴けた。この即興演奏集はいい出来だ。「ジェントル・ファイヤ」ね、アルバム所有しながらいまの今まで知らなかった。何を聴いていたのだろう。
きょうは、有りとすればのことですがジョン・ケージ楽派(ニューヨーク楽派?)の、アール・ブラウンEarle Brown(1926 - 2002)、それとクリスチャン・ウォルフChristian Wolff, (1934 - )、それに御大ジョン・ケージの3人の作品というより、シュトックハウゼンとの活動やフリージャズ畑との活動でその名を知られたヒュー・デイヴィス Hugh Davies (1943 – 2005)(WIKIで、故人となっているのをはじめて知った)や実験音楽シーンでその名を聞くリチャード・バーナスRichard Bernas (1950 -)ら4人のライヴ・エレクトロニクス即興演奏グループ「ジェントル・ファイヤGentle Fire」(1968年結成)によるリアリゼーションを収録したレコード(1974)を取り上げよう。すべての作品はシンセサイザーを含むいろいろな電子機器を使用してのエレクトロニクス音響空間をリアライズ、パフォーマンスしている。全てがグラフィックス・スコアーによる偶然性・不確定性を取り込んでのライヴ即興演奏だから、誰々の作品ということにさほどの意味があるのかどうか・・・。名を伏せて聴けば誰の作品と見当つけられるかどうか。しかし、聴けば聴いたでおおよその見当がつく、あるいは納得の、個性的な響きを奏でているから不思議ではある。たとえば1曲目のアール・ブラウンの「4 Systems」。これは1954の作曲となっているけれど、それは(グラフィック)スコアーがその年代のものと言うだけでリアリゼーションはこの四人の演奏家の、70年代の若い実験的感性が映りだされているということに過ぎないのだが。というものの輪郭のハッキリしたワイドレンジでエッジの効いた音色展開はアール・ブラウンのそれだ。次のケージの「Music For Amplified Toy Pianos」などは、おもちゃのピアノが楽器素材とされているというだけで、もうそれだけでケージの世界だけれど電子増幅されている音色変化がやはり興趣呼び起こす。B面1曲目もケージの「Music For Carillion(カリヨン)」【カリヨン=多数の鐘を音律に従って配列し、鍵盤や機械仕掛けにより打ち鳴らす楽器。中世ヨーロッパで流行した。組鐘。カリオン。カリロン。カンパネッタ。ベル。】(ネット辞書より)もタイトルどおり鐘を使ってのグラフィックスコアーによるパフォーマンスだけれど、何とはなしにケージ的世界にインプロヴィゼーションが収まっているのが不思議。厳かななかにもシンプルな優しさが響いているのだ。そして最後のクリスチャン・ウォルフの「Edges」もそのタイトルの字義【はし。ふち。へり。】どおり、そうしたところで発せられ、生じる音、響きの電子変調された持続音などでのコレクティブパフォーマンス。これもグラフィックススコアーでの演奏なのに、ひじょうに緊張感湛えたスピリチュアルな世界となっている。ひとつのコンセプトでこんなにも豊かな音の世界が現出するとは、といった印象だ。すべておもしろく聴けた。この即興演奏集はいい出来だ。「ジェントル・ファイヤ」ね、アルバム所有しながらいまの今まで知らなかった。何を聴いていたのだろう。
写真(中)アール・ブラウン、(下)クリスチャン・ウォルフ
収録曲――
A1 Earle Brown 「4 Systems」
A2 John Cage 「Music For Amplified Toy Pianos」
B1 John Cage 「Music For Carillion」
B2 Christian Wolff 「Edges」
A2 John Cage 「Music For Amplified Toy Pianos」
B2 Christian Wolff 「Edges」