yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

日本の現代音楽の我がバイブル、秋山 邦晴著『日本の作曲家たち』(1978)上・下2冊。

イメージ 1

イメージ 2


イメージ 3つねづねの自らの知的怠惰を言い訳することになるのだけれど、とにもかくにも、とりわけ現代音楽はとりあえず聞かなくては話にならないというわけで、音盤・音源を追うことを優先にし、文字で情報なりの知識を仕入れる事をおざなりにしてきた。いまのようにネットという便利な検索仕入れ道具のない時代であり、また文字からの情報も知れたものだった。訳本しか読めないのだからなおさらだった。フリージャズ動向などはマイナーな専門誌があったけれど、現代音楽・アヴァンギャルドの動向のいくらかは音楽誌からより美術誌からのほうが多かったように思う。現在でも美術誌は比較的<今>の芸術動向を扱っているのではないだろうか。かつてジョン・ケージクセナキス小杉武久なども音楽誌より「美術手帳」のほうが特集を組んだりで先進的?だった。もちろん私もそれらの情報知識をそれから得て、このブログで活用させてもらっている。書籍自体が絵画等の美術と同様、視覚を基本要素とするということがその因でもあるのだろうか。それともなぜか美術のほうが芸術(観念)革新のいっとう先を行くということゆえなのだろうか。それに比し聴覚を基本とする音楽はそうした意味では<文字>とはいびつな関係にある。一般的な音楽誌にそうした情報が少ないのも、認知の度合いの少ない現代音楽を、さらに実際に音で示せない以上掲載したところでといった判断なのだろうか。そうしたなか、先の「美術手帳」などでの優れた情報提供者がマイブログに頻繁に登場する秋山邦晴(1929 - 1996)であった。その現代音楽普及に多大の貢献あった秋山邦晴が、孤軍奮闘「レコード芸術」誌上で1971年から73年にかけて連載した記事を上下2冊の体裁で78年に音楽の友社より出版された『日本の作曲家たち』が、きょうブログで取り上げる書物である。タイトルどおり日本の作曲家(それも戦後に活動を主とした作曲家)だけであるけれど、これはせめて日本のことぐらいは知ってほしいといった切実なメッセージとも思える。いや、それよりも副題にある<戦後から真の戦後的な未来へ>といった日本の現代音楽の課題への問題提起その序奏といった思いなのかもしれない。音楽関係の書物を紐解くこと少ない怠惰な私が折にふれ手にとる唯一とも言っていいぐらいの書物であり、バイブルですらある。装丁は、現代音楽に造詣の深いグラフィックデザイナー杉浦康平によるもの。残念な事に、ネット検索してもヒットしない事を思うと絶版なのかもしれない。

掲載作曲家――三善晃高橋悠治松村禎三間宮芳生松平頼則黛敏郎柴田南雄八村義夫一柳慧、林光、湯浅譲二松平頼暁芥川也寸志、入野義朗、小杉武久、諸井誠、石井真木、篠原真、近藤譲、水野修孝、池辺晋一郎三枝成章、野田暉行、武満徹