yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

日本的余情の響きと冥い情念のうめき。どこをとっても武満というほかないこの余韻深い響き。大島渚監督作品『愛の亡霊』(1978)オリジナルサウンドトラック。

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Empire of Passion / In the Realm of Passion / Ai no borei (Seki and Toyoji)

             

イメージ 3 武満徹の映画音楽。日本的余情の響きと冥い情念のうめき。どこをとっても武満というほかないこの余韻深い響き。≪映像と音とが緊迫感をたたえて切り結ぶ「一音の構造」の美学を確立して、映画音楽の歴史に新しい一ページを加えていった≫(解説・秋山邦晴武満徹。映画監督大島渚が78年カンヌ映画祭で最優秀監督賞を受賞したと言う「愛の亡霊」(1978)のオリジナルサウンドトラックだそうである。越えてはならぬ一線を越えてしまい、≪愛のために夫を殺し破滅してゆく女とその愛人の若い男との悲しい性(さが)を主題≫にした映画である。しょうじき私には≪昭和11年に起きた“阿部定事件”を題材にした作品≫で、その性的描写の直接性で話題になった76年制作の前作「愛のコリーダ」と記憶がゴッチャになっているようだ。とにもかくにも男女の仲、<越えてはならぬ一線>を越えてしまう、それも三角関係のそれは、性としての人間を露出する。オドロオドロシイ情念のありように息をのみ口をつぐむ。すべての禁制への違背のエロスに迫りくる破滅とエクスタシー。映画音楽の武満はすごいですね!といったところである。が、これは何もいっていないに等しい。で、さいごにプロ(解説の秋山邦晴)が語っていることばを紹介してこの稿を擱くとしよう。≪2台のハープ、フルート、オーボエ、、篠笛、打楽器といった楽器を主体に、それにオーケストラといった編成で作曲されているが、微細な音色のひびきの構造と、マッシーブな劇的な音色の流動とが対比されている。いいかえるならば、静と動との緻密な構図、沈黙と内的な激しく渦まく劇的な心理の動勢とがみごとな設計図の中で映像への演出する音楽として形づくられているのである。≫ところで、レコードの帯に記されている分類は<現代音楽・映画音楽>となっている。