yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

アンリ・デュティユーHenri Dutilleux(1916-)の弦楽四重奏曲「夜はかくのごとく」(1971-77)ほか。生成の場に立ち会うともいえる現代音楽を聴くということはスリリングである。

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Ravel: String Quartet (part 1) -The Hagen Quartet

         

アンリ・デュティユー Henri Dutilleux
イメージ 2やはり現代音楽を聴くということはスリリングである。それも初めて聴く、初演を耳にする場合には、ことのほか期待を抱きながらのワクワク感をもっての鑑賞となる。これが何ともいえないのだ。だからこそ現代音楽との長い付き合いが途切れず今日に至っているといえるのだろう。もちろん期待はずれも数多くあったけれど。でもやめられない。古今の名曲を鑑賞する比ではないことは断言できる。いま現在の創造活動に立ち会うことが出来る幸せといったら言いのだろうか。例えばの話し、武満徹らの抜きんでた現代日本の作曲家の作品をリアルタイムに聴けたことは同時代に生きた音楽好きにとっては歴史の僥倖とも言えるのではないだろうか。生きた時空の場が違えば経験の質ももちろん違うことだろう。生成の現場に立ち会うのと、出来上がってしまったあとでの出会いは、先ほどのスリリングさにおいておのずと違うことは否定できはしないだろう。さて、今日はそうした体験をさせてくれたアルバムを取り上げることにしよう。これも先日来より幾度も登場のBOOKOFFで購入したCDで、ジュリアード弦楽四重奏団による『弦楽四重奏曲』(1993)とタイトルされクロード・ドビュッシーclaude Debussy(1862-1918)とモーリス・ラヴェルMaurice Ravel(1875-1937)のおのおの唯一の弦楽四重奏作品と、クーセヴィツキー財団の委嘱によってこのジュリアード弦楽四重奏団に献呈されたフランスの現代音楽作曲家アンリ・デュティユーHenri Dutilleux(1916-)の弦楽四重奏曲「夜はかくのごとく」(1971-77)の3曲が収められている。2つの古典曲をしっかりと聴き直そうとの心算とドビュッシーなら所蔵してもいいかとの思いもあったけれど、やはりデュティユーの未だ聴いたことのない作品のカップリングが決めてであった。やはりドビュッシーこそは現代音楽へのとば口だったなとの印象は誰しもが抱くほどにその音色は流麗で鮮明だ。どちらかといえばラベルのほうが一般的な親しみをもたせる音楽の所為か、これは放送などでよく流されている作品だ。タイトル音楽に使われるほどに印象的な曲だ。ところでやはり狙い通りだった。アンリ・デュティユーのまさに現代の響きがする弦楽四重奏曲「夜はかくのごとく」は期待をはぐらかさなかった。両古典曲との異質と、その響きの斬新にスリリングな鑑賞を味わい気分は爽快である。こうだから現代音楽鑑賞はやめられない。プロの評言を引用してこの稿終えよう。≪旋法と無調の間を自由に行き来し、しなやかな語法と構造を持つ詩的で直感的な作風を自己のものとした。・・・弦楽四重奏曲「夜はかくのごとく」は・・・極度に繊細で夢想的な情緒が、多様な手法と巧みな構成によって神秘的で洗練された美的世界を繰り広げる。文字どおり、夜の音楽の系譜に新たな一項を加えたというべき作品で、デュティユーの代表作とも数えられている。・・・≫(解説・佐藤みどり)度しがたいエキセントリックな特殊奏法で大向こうを唸らせるといった作品ではない。しかし良いのだ。品性なのだろう。



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