yuki-midorinomoriの日記

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グレン・グールド『バード&ギボンズ作品集(エリザベス王朝期ヴァージナル名曲選)』。ちょっぴり憂いをもった親しみやすい旋律。心安らぎ慰撫される鍵盤曲。

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Gould plays Orlando Gibbons

        

イメージ 2よき時代?が聴こえてくるといった形容がぴったりな曲ばっかりである。ちょっぴり憂いをもった親しみやすい旋律。なんとも心安らぎ慰撫される鍵盤曲だ。ここにはまだ統一、統合がある。たぶんスキゾとパラノなんて謂う類型が存在していなかった時代なのだろう。それらは、神を扼殺し、人間中心主義へと価値転換した近代以降の分類概念なのだろう。そうしたことから遠い主従や、未だ神と共にあった時代だった。主、神に捧げられたその響きは心地よい。<無事でやすらかなこと>といった意味を持つ安寧といった言葉が思い浮かぶ。いたずらな個性や主体などと言った重荷を背負わず庇護の下に身を処す、共にある己が生。すべからく騒々しくなったのは産業勃興、人間中心、ヒューマニズムを唯是とする18~9世紀近代以降のことだろう。自然の崩壊(つまりは人間の)、異形の風景の到来は人間中心史観の因って来るところと言えるのだろう。曲(くせ)者はヒューマニズムともいえそうだ。と言ってもそれに代わる普遍概念の到来は未だといったところだろうか。ところで、どのようにしてはじき出されたのか知らないが、現在ただ今の地球上の総人口が有史以来の累計人口数とおなじだと言う説?がある。≪世界人口は長く緩やかな増加を続けてきたが、19世紀末から現在に至るまで「人口爆発」と呼べるほどのスピードで急増した。西暦1年頃に約1億人(推定)だった人口は1000年後に約2億人(推定)に増え、その後1900年には15億人にまで増えた。それから約100年後の現在は65億人に迫る勢いである。≫(WIKIPEDIA)下の地球上の人口推移の図を見て何を思うだろうか。まさにパンドラの箱よろしく無秩序乱雑の時代到来である。ますますエントロピーは増大していっている。落ち着きのないのが現代であるとは頷きもできよう。先のスキゾとパラノの精神類型が出てくるのも無理はない。(ちなみに、スキゾ人間とはいろいろなことに興味をもち、ひとつのことにこだわらない人(分裂)。パラノ人間はひとつのことに熱中して、ほかのことは全く考えない人(偏執)。とは浅田彰が人間類型として押し出した言葉。80年代の流行語になるほどだった。)未だそうしたことのとば口にあった、まだしも神の下に在った幸せな?時代。その頃のイギリスの代表的な二人の作曲家ウィリアム・バードWilliam Byrd(1540? – 1623)とオーランド・ギボンズOrlando Gibbons(1583 - 1625)の、ココロ癒される鍵盤楽器の作品集。もちろんグレン・グールドお気に入りの作曲家であり作品なのだろう。『バード&ギボンズ作品集(エリザベス王朝期のヴァージナル名曲選)』。70年前後に収録されたもの。まさにこの時期、「秋風 蕭蕭(しょうしょう)として  人を愁殺」する余情の秋にふさわしい、ココロ慰撫され静まる鍵盤作品であり、グレン・グールドのピアノである。

≪秋は自然や植物がしずかに微妙な変化を見せる季節である。・・・・秋は「静けさだけが永遠である」(P・ルヴェルディ

Glenn Gould plays William Byrd - First Pavan and Galliard





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