yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

革命家チェ・ゲバラほか、ロマンに逝った人々へのレクイエム

イメージ 1

別にチェゲバラに対する感慨あって採り上げたわけではない。政治の季節を生き通過した世代にとっては確かにロマンを感じさせた革命家ではあった。放浪の、ゲリラ戦の闘士であり革命家。秀才の誉れも高く医師でもあった。生まれはアルゼンチンでありながらも南米、キューバ、アフリカなど反独裁解放革命運動に身を投じ南米ボリビアにて政府軍により殺害(銃殺)された。射殺を躊躇する兵士に向かい「ここにいるのは英雄ではない。ただの一人の男だ。撃て!臆病者め!!」(WIKIPEDIA)との最後のことばを残して、1967年10月享年39才であった。チェゲバラは第2、第3のベトナムをとうったえ、反政府、反独裁、反帝国主義のゲリラ闘争、革命運動を唱導した。まさにベトナム戦争『(1960-1975)は、インドシナ戦争後に、ベトナムの独立と南北統一をめぐって戦われた戦争。宣戦布告なき戦争であるためベトナム紛争とも呼ばれる。第二次インドシナ戦争ともいう。共産主義勢力の拡大を防ぐため、北ベトナムと対峙する南ベトナムを支援するアメリカ合衆国が中心となり大規模な軍事介入を行ったが、目的を達せずに撤退した。形式的には北ベトナム南ベトナムの戦争であったが、実質的に共産主義勢力(ソ連、中国)と資本主義勢力(アメリカ、他)が背後にあっての戦いであった。その為、「代理戦争」と呼ばれた。』(WIKIPEDIA)が泥沼に入り、世界的な反戦運動の高まりに揺れ動いた時代であった。チェゲバラは高揚するイデオロギー政治のとりわけ多くの後進諸国のロマンの極星でもあっただろう。一方そのベトナム戦争に介入し泥沼に入り苦悶するアメリカは、また国内では黒人の人種差別撤廃闘争いわゆる公民権運動でも社会を揺るがしていた。そんななか、ベトナム戦争公民権運動にまつわる悲劇が大きな出来事として世界の耳目を集めた。人種差別撤廃の運動高まる中、自らが決断し提出した公民権法により保守的白人層の反発の故か1963年11月ジョン・F・ケネディが銃撃暗殺された。その映像の生々しさに誰しもが衝撃を覚えた事件であった。また最も攻撃的な黒人解放運動の指導者の一人だったマルコムXも1965年2月に暗殺された。そしてまた「人は兄弟姉妹として共に生きていく術を学ばなければならない。さもなくば、私たちは愚か者として滅びるだろう。」と言い、非暴力主義を唱えた公民権運動の象徴的指導者マルチンルーサーキング牧師もまたノーベル平和賞受賞後の1968年4月に運動高まるなか暗殺された。政治の時代に政治ロマンに生き且つ死んでいった4人、チェゲバラジョン・F・ケネディ、マルチンルーサーキング牧師、マルコムXへのレクイエムとして1968年ベルリンジャズフェスティバルで教会を会場としたライブコンサートの収録レコードである。残響が災いしてか録音がよくないのが気になりはするが、A面はウォルフガングダウナーのジャズとコラールの現代音楽トーンを持った作品。やはりダウナーのここではオルガン、マンフレッドショーフのトランペットが光っている。B面はマルチンルーサーキング牧師へのコラールをベースにした、ハンベニンク、ホーヴ、ウイレムブロイカー、コヴァルトら7人によるフリージャズという構成になっている。政治ロマンはこうしてミュージシャンにも寄り添うほどに身近な事態であった。しかしロマンが崩壊した今日の政治のほうが旗幟鮮明とするものがないだけ、のっぺらぼうで不明、むつかしいのかも知れない。

<1967年10月、佐藤首相のベトナム訪問をベトナム戦争に加担するものだとして新左翼系学生が阻止しようとし、羽田空港周辺で警察機動隊とゲバ棒を用いての実力闘争が行われた。その羽田空港近くの弁天橋で中核派の京大生山崎博昭君が死亡した。>詩人の友人がその山崎博昭君であった。

      時は狩れ
      存在は狩れ
      いちじるしく白んでゆく精神は狩れ
      意志の赤道直下を切り進むとき
      集会のなかに聞き耳をたてている私服刑事の
      暗い決意のように直立する
      地球の突然の生誕の理由
      描かれない精神の地図
      中断された使者の行為の色
      やさしく濡れてくるシュプレヒコールの余韻
      雨はまた音たかく悲怒を蹴り上げている
      アスファルトを蛇行するデモ隊の
      ひとつの決意と存在をたしかめるとき
      フラッシュに映え たぎり落ちる
      充血の眼差しを下に向けた行為の
      切断面のおおきな青!


      ふとぼくは耳元の声を聞いたようだ
      ―なにをしている? いま
      ぼくの記憶を突然おそった死者のはにかみのくせ
      鋭く裂ける柘榴の匂いたつ鈍陽のなかで

      永遠に走れ
      たえざる行為の重みを走れ


                         佐々木幹郎(死者の鞭「橋上の声」より)


チェ・ゲバラ――http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0202.html