yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ケージ、ベリオ、ブソッティら優れた作曲家のほぼ半世紀前の実験的小品集

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              Sylvano Bussotti : Frammento
              http://www.youtube.com/watch?v=KvnYLKGbMws


A面のルチアーノベリオLUCIANO BERIO(1925)の「サークルス」(1960年)は、E.E.CUMMINGSの詩をテキストに声とハープと2人の打楽器奏者のための作品である。このレコードでは先妻のキャシーバーベリアンが声を受け持ち歌っている。現代音楽にはテクニックを有するなくてはならぬ声楽家として夙に有名であり、とりわけベリオの数多い声楽作品にその音色の豊かさをより一層引き立たせるにあずっかて魅了していた。声音の持つ表現の豊かさへの嗜好がベリオの音色世界のベースとなっているのだろう。ベリオも当然セリーの音世界をくぐって来ており、作品にもそうしたサウンドが聴けるのは言うまでもないことだが、この「サークルス」はやはり歴史に残る作曲家の才能がひときわ光る、ひじょうに良質なすぐれた音色の響きを持った作品となっている。きわめて少人数、クァルテットでの構成とは思えないほどの響きの豊かさをもった印象は、やはり女声の器楽的な使用による詩のテキスト詠唱の美しさとセリーが持つ緊張形成力によるつきつめた叙情のゆえなのだろう。B面1曲目はシルヴァーノブソッティSYLVANO BUSSOTTI(1931)の「断章・FRAMMENTO」、女声とピアノのための作品.。オリジナルはオーケストラと歌のためのもので、このためにブソッティによってピアノパートが編曲されたそうである。この作品こそはセリーの音世界にありながらも、まことに色艶のある煌びやかとでもいえる見事な引き締まった作品となっている。このようなすぐれた感性的作品が出来るには、ロマネスクがひときわの美学のなせる業なのであろうか。色っぽく響く見事な小品といえるだろう。ピアノはルチアーノベリオ。さて2曲目はジョンケージJOHN CAGE(1912)の<ARIA WITH FONTANA MIX>「アリアとフォンタナミックス」。透明な数枚のプラスチック楽譜が偶然に重なったものを見ながら制作指示として意味とり作成された(ライブでパフォーマンスされる場合もある)テープ音楽・ミュージックコンクレートのフォンタナミックス(1958)と、ケージの「ピアノとオーケストラのためのコンサート」のアリアとの共演ということだろうか。どのような組み合わせでもケージの場合はいいわけで、ここでは女声アリアとエレクトリックノイズサウンドとのパフォーマンスということである。はなからもう異質の一言である。同時期の先の二人の作品と比べてみれば歴然としていよう。はやばやと師シェーンベルクの楽音の世界から奔出し無調を超出したその世界が創りだす感性世界の特異性は真に際立っている。楽音かなでる楽器の音ではなく、アレアトリックな雑騒音を伴奏にアリアを歌わせて、なんの異和もなく、斯くあっても不思議ではないと、世界を感じさせもするこの革新は、消すことが出来ない歴史の真正な事態であったといえるだろう。優れた作曲家たちのほぼ半世紀前の実験的小品集である。






Luciano Berio - E. E. Cummings / Sylvano Bussotti / John Cage – Circles / Frammento / Aria With Fontana Mix

Tracklist Hide Credits▼ .
A1. Luciano Berio / E. E. Cummings – Circles
Percussion – Boris de Vinogradov*, Jean Pierre Drouet*
Harp – Francis Pierre
A2. Sylvano Bussotti – Frammento
Piano – Luciano Berio
B. John CageAria With Fontana Mix
Tape [Magnetic] – John Cage

Credits:
A&r – Earle Brown
Coordinator [Album Coordination] – Sandi Greene
Design [Album Design] – Murray Stein (2)
Engineer [Original Recording] – Bob Arnold, Frank Abbey
Engineer [Re-recording] – Bob Arnold
Liner Notes – Heinz-Klaus Metzger
Mastered By – Hal Diepold
Photography – Earle Brown, Kay Harris
Typography – Composing Room, Inc., The
Voice – Cathy Berberian
Notes
Info on tracks:

A1: Music by Luciano Berio, text by E. E. Cummings.
B1: Two pieces, 'Aria' and 'Fontana Mix' by Cage, performed simultaneously. 'Aria' is a vocal composition, performed here by Cathy Berberian. Fontana Mix is a piece for magnetic tape, consisting of electronic tape manipulation and concrete sound material, created and realised by John Cage.

The catalog number applies to the mono version of this recording. The number for the stereo version is S/8003.