yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ローランドカインの異様異形なデジタルコスミックノイズの世界

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                Roland Kayn: Cybernetics III (1969/1977)
                http://www.youtube.com/watch?v=ephfK_MdihY&feature=related

まるでサイボーグと化したかのように電子騒音をがなりたてるローランドカインROLAND KAYN。部屋全体を占拠する1970年以前の馬鹿でかい、性能も今のパソコン並みであっただろうコンピュータの前で機械と対話、格闘するローランドカイン。音符で創造する楽音ではなく、チャート図式のような電子作業進行図表、ボーリング球技のスコアーのようなマトリックス図表がレコードに収録されている「CYBERNETICS」の楽譜?=作業進行表として掲載されている。最早これはこのローランドカインのみがコンピュータとのやりとりを書きとめた暗号ともいえるのだろうか。携わっている人間たちのみに通じる言語なのだろうか、まったくのジャーゴンである。サウンド世界が異様であれば、それを形成する記号までが特殊である。まるで解読不能の古代文字に遭遇した人間の如くである。その記号群が強烈な騒音の重畳と厚みで迫ってくる。初めて遭遇する奇態な騒音、圧倒するエネルギーに満ちた音塊,異形の騒雑音の世界にことばを失う。電子が発し、変容された初めて耳にする異形の音の数々に耳そばだてるこの不可思議な体験は何か?このような騒音、ホワイトノイズに人が魅かれるのはなぜか?騒音と共に生命の誕生が音連れたのだろうか。まるで宇宙の沈黙が電子増倍されたらかくのごとくであったとも言えるのではとも言いたくなる。可視領域を超えた原子運動の渦巻くデジタルノイズ。いやひょっとして、ハッブル宇宙天文台がとらえている宇宙の渦巻く神秘的な荘厳な世界は、もし大気の媒体を通せば斯くなる騒音を轟然と放っているのではと断じても、あながち的外れではないのかもしれない。ノイズ世界の突然の終止と共に聴き手に与える、心、魂が吸い取られでもしたかのような空虚な空白感、これはなんだろう。まことに騒音、雑音の群れ、流れ行くさまを聴いて斯くなる想念に引きずりこむ世界はローランドカインの3枚組みとして最初に出されたこのアルバムを嚆矢とするのではないだろうか。異様異形の電子音響世界である。




Roland Kayn 『 Elektroakustische Projekte』(1977)

Tracklist:
A. Cybernetics I 20:20
B. Cybernetics III 22:52
C. Entropy PE 31, Teil 1 25:25
D. Entropy PE 31, Teil 2 26:25
E. Monades 29:00
F. Eon 28:30