聴覚障害をもち、大戦直後病にて36才の早い生涯を閉じた悲運の、孤独と寂寥の画家・松本 竣介。慈愛の眼差し『りんご』(1944)。
『りんご』(1944)
冬ながら空より花のちりくるは雲のあなたは春にやあるらむ 清原深養父(きよはらのふかやぶ)
きょうは、音楽ブログを休んで、たまたま今日目にとまった新聞記事からの投稿としよう。小さなコラムスペースで画展の紹介記事がされていたのだけれど、切手より少しばかり大きい程度の画に一目見て印象強くしたのだった。その画は子供をえがいたものだったのだけれど、なんとも優しさに満ちた慈愛の眼差しが画の向こう側から滲み出てくるようないい画なのだ。その画家の名を記事中で認めて少なからずの驚きだった。私の思い込みとそぐわなかったのだ。13才のときの≪病気(脳脊髄膜炎)≫により聴覚障害者となり、のち画業に打ち込むも、戦後まもなく、これまた病にて36才の早い生涯を閉じた悲運の画家松本 竣介(まつもと しゅんすけ、1912 - 1948)の画だったのだ。孤独と寂寥感漂う都会(的)風景を特徴的画風とするとの了解をもっていたこの松本 竣介に、このような心優しい慈愛の画があるとは知らなかった。タイトルは『りんご』(1944)。これはいい画だ。ぜひ共に鑑賞(画集からの採録であればよかったのだけれど)しようと言うことで投稿記事とした次第。
「立てる像」(1942)→