ルネ・フレミング 『夏のなごりのバラ ~フレミング/ビューティフル・ヴォイス』(1998)。伸びやかで艶やか、豊麗な声質。もう感嘆のほかない歌唱だ。

Renee Fleming - Strauss Four Last Songs - Strauss' 4 Last Songs - Im abendrot Renee Fleming sings the 4th of Strauss' vier letzte lieder. Proms, 2001.
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<第4曲「夕映えのなかで」 長い旅をしてきた二人が、夕映えのなか、ある静かな小高い場所で眼下の田園を見渡している。音楽は、夕焼けの中に広がる非常に雄大な風景を表すかのように始まる。その二人がいる丘から二羽のひばりが空に昇っていく。そういった「広々とした、静かな平和」を感じながらも、人生のさすらいに疲れた二人は「死」を目前に予感している。その中で憩い、浄化されることを思い描いているかのように音楽は静寂に向かう。>YAMAGUCHI Hiroyuki's Web Siteより
夕映えの中で (詩:アイヒェンドルフ(Josef von Eichendorff)) Im Abendrot
わたしたちは手をとりあって
苦しみや喜びの中を歩いてきた
そしていま静かな土地の上に
さすらいの足を止めて憩う
まわりの谷は沈み
空には闇が近づいている
二羽のひばりだけが夜を夢見るように
夕もやの中に昇っている
こっちに来なさい、小鳥たちはさえずらせておこう
もうすぐ眠りの時が近づくから
この二人だけの孤独の世界で
はぐれないようにしよう
おお、広々とした、静かな平和よ!
夕映えの中にこんなにも深くつつまれて
わたしたちはさすらいに疲れた
これが死というものなのだろうか
わたしたちは手をとりあって
苦しみや喜びの中を歩いてきた
そしていま静かな土地の上に
さすらいの足を止めて憩う
まわりの谷は沈み
空には闇が近づいている
二羽のひばりだけが夜を夢見るように
夕もやの中に昇っている
こっちに来なさい、小鳥たちはさえずらせておこう
もうすぐ眠りの時が近づくから
この二人だけの孤独の世界で
はぐれないようにしよう
おお、広々とした、静かな平和よ!
夕映えの中にこんなにも深くつつまれて
わたしたちはさすらいに疲れた
これが死というものなのだろうか
先日仕事帰りの車中、いつもかかっているNHK・FM放送から流れてきた美声に聞き惚れた。曲もよかったのだけれど。案の定と言うか推測どおり、それはリヒャルト・シュトラウスの曲であり、その美声で酔わせてくれたのはルネ・フレミングRenée Fleming (1959-)だった。で、帰宅後ネット検索して確かめた。以下のとおりだった。
伸びやかで艶やか、それにソプラノなのに線が太い。厚みと深み、粘りがある。安定した包み込むような豊麗な声質。もう感嘆のほかない歌唱だ。以前その同じリヒャルト・シュトラウスの最晩年の死の前年に作曲された傑作「最後の四つの歌」を≪吉田秀和の『永遠の故郷<夜>』。≫の本の内容のこともあって、読書雑感を拙ブログに投稿したさいに、その動画音源を貼り付けようとあれやこれやと覗いていて、感じ入ったのが、きょうのこのルネ・フレミングであり、はじめての出会いであった。いままでも、歌劇などは歌詞の意味等がわからないという単純な理由(だのに洋楽ポップスは歌詞不明でも聴いているのだが)で、まったくといっていいほど聴いてこなかった。もちろん歌曲もだけれど。しかしこのリヒャルト・シュトラウスの「最後の四つの歌」だけはなぜか感動したのだった。その歌詞内容と言い、豊麗な極め付きのオーケストレーションの響きに包まれた深い情感の陰影見事なまでの表出。そして歌唱。これほど精神の深みを、哀歓を、感動のうちに味わせてくれた歌曲は初めてだった。それを見事に歌い上げていたのが動画音源で出会ったルネ・フレミングだった。そのディーヴァとのひさかたの再開が先のラジオから流れていたリヒャルト・シュトラウスの曲だったのだ。ルネ・フレミングがリヒャルト・シュトラウスを得意とするせいなのか、これまたすばらしかった。まさに会場ブラボー拍手鳴りやまずの圧倒的な好演だった。ということで、さっそくわが町の図書館へ出向き、お誂え向きのシュトラウス、プラス、ルネ・フレミングのものは勿論!言うまでもなく無かったので、たまたま所蔵されていた『夏のなごりのバラ ~フレミング/ビューティフル・ヴォイス』(1998)を借り受けてきて、その歌姫の鑑賞と相成った。
1. 歌劇「ルイーズ」~その日から(シャルパンティエ)
2. 歌劇「ファウスト」~何と美しいこの姿(宝石の歌)(グノー)
3. 歌劇「マノン」~みんなの声が(マノンのガヴォット)(マスネ)
4. わが母の教え給いし歌(ドヴォルザーク/マッケラス編)
5. 歌劇「マルタ」~夏のなごりのバラ(庭の千草)(フロトウ)
6. 歌劇「つばめ」~ドレッタのすばらしい夢(ドレッタの夢)(プッチーニ)
7. 歌劇「死の都」~マリエッタの歌(コルンゴルト)
8. 「カルミナ・ブラーナ」~天秤棒に心をかけて(オルフ)
9. 明日にはop.27-4(R.シュトラウス)
10. ヴォカリーズ(ラフマニノフ/ブラーデン編)
11. 喜歌劇「こうもり」~チャルダーシュ“故郷の調べ”(J.シュトラウス2世)
12. 喜歌劇「メリー・ウィドウ」~ヴィリアの歌(レハール)
13. 歌劇「月」~エピローグ(カノ)
14. 「オーヴェルニュの歌」~バイレロ(カントルーブ)
2. 歌劇「ファウスト」~何と美しいこの姿(宝石の歌)(グノー)
3. 歌劇「マノン」~みんなの声が(マノンのガヴォット)(マスネ)
4. わが母の教え給いし歌(ドヴォルザーク/マッケラス編)
5. 歌劇「マルタ」~夏のなごりのバラ(庭の千草)(フロトウ)
6. 歌劇「つばめ」~ドレッタのすばらしい夢(ドレッタの夢)(プッチーニ)
7. 歌劇「死の都」~マリエッタの歌(コルンゴルト)
8. 「カルミナ・ブラーナ」~天秤棒に心をかけて(オルフ)
9. 明日にはop.27-4(R.シュトラウス)
10. ヴォカリーズ(ラフマニノフ/ブラーデン編)
11. 喜歌劇「こうもり」~チャルダーシュ“故郷の調べ”(J.シュトラウス2世)
12. 喜歌劇「メリー・ウィドウ」~ヴィリアの歌(レハール)
13. 歌劇「月」~エピローグ(カノ)
14. 「オーヴェルニュの歌」~バイレロ(カントルーブ)
リヒャルト・シュトラウス関連、投稿記事――
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60453671.html リヒャルト・シュトラウス『交響詩・英雄の生涯 Ein Heldenleben Op.40』。「もうかないません」が幾度となく口をついて出てくる。この圧倒的なオーケストレーションにただ自失放心するのみだ
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/58547783.html リヒャルト・シュトラウス『ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 作品18』。ヴァイオリンはピアノを包み、高みへ向かい、ピアノはまたヴァイオリンと共に己の歌を存分に歌い上げる。双方の絡み、展開に法悦酔いしれる。
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/50491856.html 流麗な美に彩られた音達のなんと情感豊かな表情であることか。哀しみに満ちたリヒャルト・シュトラウス『変容(メタモルフォーゼン)Metamorphosen』。