yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

『三波春夫 歌の金字塔』と『生きて帰ってきた男 ある日本兵の戦争と戦後』

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三波春夫俵星玄蕃フルバージョン~

      

先日、ユネスコの「記憶遺産」に登録されることが決まった、いわゆる「シベリア抑留」。その過酷さは少なからず語られてきた。直近にもその著作に小林秀雄賞を与えられた小熊 英二おぐま えいじ、1962年 - )の『生きて帰ってきた男 ある日本兵の戦争と戦後』が話題にのぼった。

イメージ 2これは、俗にいうエリート階層の者たちの紡ぐことばで著されてはいない。まさしく其の他大勢でしかない一兵卒の、戦前戦後をつうじ国家の戦争政策に翻弄され生きた通史だ。敗戦後の三年にわたる酷寒のシベリア抑留を経て帰還するも、生活基盤の灰燼と化す見通しのつかない生活苦から、当時はまだ不治の病であった結核を患い療養生活を更に三年あまり余儀なくされ、打ちのめされた惨憺の生活という、戦争がまねいた理不尽が訥々と語られている。

殺傷軍事衝突等の非人間性、あらあらしさ酷さだけが戦争体験ではない。それらが帰結する社会、生活基盤の寸断破壊を含めてを戦争体験という。


拙いこのブログにもシベリア抑留を色濃く人生の背景にもつひとたちを以下投稿しているのだった。


http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/39211097.html 死の理不尽に拮抗し、存在が哭く<断念>と<拒絶>の詩人石原吉郎(1915-1977)


http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/62257646.html 香月泰男、横山操の母子像に慈愛を刻む。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/52850796.html 横山操、 シベリヤ 抑留、失われた10年・・・「やれないのではない。やらないからだ」


さて、ところで、時代を代表したこの国民的歌謡歌手三波 春夫(みなみ はるお、1923 - 2001年)もシベリア抑留からの帰還者のひとりだった。

焦土と化した我が国の戦後復興の、歌にかける晴れやかな思いが「お客様は神さまです」の名言とともに艶やかな伸びる美声で唄われている。

戦争体験をもつ、わが親世代(=大正生まれ)には、ひと際の歌手のひとりであっただろう。






三波春夫 歌の金字塔』

ディスク:1
1. あゝ松の廊下 (長編歌謡浪曲)
2. 赤穂城の内蔵之助 (長編歌謡浪曲)
3. 赤穂の妻 (長編歌謡浪曲)
4. 立花左近 (長編歌謡浪曲 元禄男の友情)
5. 赤垣源蔵 (長編歌謡浪曲 元禄花の兄弟)
6. 俵星玄蕃 (長編歌謡浪曲 元禄名槍譜)
7. その夜の上杉綱憲 (長編歌謡浪曲)
8. 決闘高田の馬場 (長編歌謡浪曲 元禄桜吹雪)

ディスク:2
1. 紀伊国屋文左衛門 (長編歌謡浪曲 豪商一代)
2. 瞼の母 (長編歌謡浪曲 長谷川 伸原作「瞼の母」より)
3. 神戸を拓く清盛 (長編歌謡浪曲)
4. 壇の浦決戦 (長編歌謡浪曲 平家物語より)
5. 信長 (長編歌謡浪曲)
6. 戦国塩物語 (長編歌謡浪曲)
7. 天竜二俣城 (長編歌謡浪曲)
8. 勝海舟 (長編歌謡浪曲)

ディスク:3
1. チャンチキおけさ
2. 船方さんよ
3. 雪の渡り鳥
4. 大利根無情 (セリフ入り)
5. 一本刀土俵入り (セリフ入り)
6. 東京五輪音頭
7. 世界の国からこんにちは
8. おまんた囃子
9. 天竜しぶき笠
10. 文左たから船
11. 百年桜
12. 出世佐渡情話
13. 桃太郎侍の歌
14. あゝ北前船
15. 男の峠道
16. 終り無きわが歌の道 (「芸能生活五十五周年記念リサイタル」より) (ライブバージョン)