yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

古代遺跡に橋渡す現代の音を聞く

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       http://jp.youtube.com/watch?v=LeoUobFdaUQ Xenakis- Persepolis [GRM Mix] (6/6)

古代の、いや前期人類にとって、青白く天を引き裂き、奔り光る稲妻、とどろく雷鳴は自然が放つ最大の恐怖であったと言う。昇り沈む太陽の、空を燃やさんばかりの赤い陽の光も心騒がせるものがあっただろう。畏怖する自然、ひれ伏す自然の絶対。人は多くの音と光を仰ぎ見、且つ耳そばだててきた。歴史はかく堆積してきた。今私達は自然ばかりか人工が作り出した人と物との歴史の創造物の音どもに、何ほどかのイメージ、意味を感じとる。音あるゆえにものが存在する。存在として分節される。ジェット機の、H2ロケットの凄まじいばかりの発射音、戦場での爆撃の音、飛来する戦闘機の音、いやごく日常にありふれる音でさえ、その存在ゆえに出され、人が耳にするものとなる。電子的に加工変容された音にそれぞれのイメージを膨らませ人は聞き入る。このヤニス・クセナキスのマグネティック・テープによる音響作品<ペルセポリス>は、よく耳にする貧相な電子処理の音ではなく、彼のオーケストラ作品に聴かれる豊潤とも言える音の群れと同様の音が創り出されている。この作品は曲名から類推されるように、実際に古代文化の遺跡、宮殿跡にて8個の巨大なスピーカーと空を照らす光でもって演奏されたそうである。今住む現代の人々に向かって遠い歴史が微かに呼びかけているような印象さえもする。歴史の地層深くに堆積微動する魂の願いのようにうつうつと響き流れる。けれどもクセナキスの、投獄、重症にいたる戦傷、果ては空席のまま死刑を宣告されるにいたる数々のパルチザンとしての抵抗運動での彼自身の<生>.のありようを思うと、それらの音があたかも、戦場での射撃音、行き交う銃砲の音、飛来する戦闘機の音、爆裂の音のようにイメージして聴いてしまう。過酷な時代の苛烈な精神の声、苦悩の音として聞くことだろう。