yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ホワイトノイズに光速で消え行く<わたし>

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             Joji Yuasa - Projection Esemplastic 1963(Japan Proto Industrial/Electronic Noise)
             http://www.youtube.com/watch?v=hqB_lofJQpg

70年前後独学で優れた作品を発表し続けていた二人の作曲家、武満徹湯浅譲二、武満が天性の感性の人とすれば湯浅譲二は実験精神に優れた人といえるのではないかと思う。共に50年代シュールレアリスムを紹介して功績のあった滝口修造が旗頭となり、文学、美術、音楽などの反アカデミズムの前衛が集っての実験工房に参集し活動を共にした。なかでも、のち現代音楽の強力なオルガナイザーとなる秋山邦晴の存在は大きなものではなかったかと思われる。この前衛芸術集団での活動が独学でありながらもこの二人の芸術精神を研鑽する格好の場であっただろうことは推察に難くない。叙情性をもちつつ現代音楽の作曲手法を独創的な感性に展開した武満徹。これに対して湯浅譲二は理知が前面に出てくる印象が強い。小作品に聴かれる音作りを聴くにつれその印象が私には強い。さまざまな意匠で多面的に制作されておりながらもまとまっておりどの小作品も面白く聴ける。グリッサンドで弦楽器のクラスターが上昇下降する音響が多用されている、代表作といわれている管弦楽作品「クロノプラスティック」よりも小作品群の方がよりすぐれた彼の個性、感性のありようが聴かれるのではないだろうか。そして彼の実験精神、感覚の優れた発露が電子機器を使った諸作品と思われる。とりわけ「ホワイトノイズによるイコン」という傑作である。これを聴くにつれもっとこの方面で、能や謡曲に培われただろう湯浅譲二の感性、理知のの展開があれば、より以上の面白い結実があったのではと思う。ともかくこの「ホワイトノイズによるイコン」は是非聴くべき作品とお奨めします。


『PROJECTIONS』収録作品――

【オーケストラの時の時・Ⅰ time of orchestral time (1974)
箏とオーケストラのためのプロジェクション≪花鳥風月≫ projection for koto and orchestra "flower, bird, wind and moon" ((1967)
オーケストラのための≪クロノプラスティック≫ chronoplastic for orchestra (
七人の奏者のためのプロジェクションズ projections for seven players
二本のフルートのための≪相即相入≫interpenetration for two flutes
チェロとピアノののためのプロジェクション projection for cello and piano(1967)
弦楽四重奏のためのプロジェクション projection for string quartet(1970)
コントラバスのためのトリプリシティtriplicity for contrabass(1970)
インター・ポジ・プレイ・ションinter-posi-play-tion(1973)
内触覚的宇宙cosmos haptic(1957)
プロジェクション・トポロジックprojection topologic(1959)
オン・ザ・キーボードon the keyboard
スペース・プロジェクションのための音楽music for spaceprojection(1970)
[http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/60782733.html ヴォイセス・カミング(voices coming)(1969)]
テレフォノパシイ(tele-phono-pathy)
インタヴュー (interview)
殺された二人の平和戦士を記念して(a memorial for two men of peace, murdered)
ホワイト・ノイジによる≪イコン≫icone on the sousce of white noise(1966)
アタランス・混声合唱のための――原発声=発生utterance(1971)】


OJoji Yuasa 1929- List of Works http://chorch.fc2web.com/e/yuasa_j.html