yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

濁りのない美しいピアノタッチ、ハートフルなリリシズム。ウォームでカントリー・土の匂いがするキース・ジャレット1973年ドイツ・ブレーメン、スイス・ローザンヌでの二つのソロ・コンサート3枚組。

イメージ 1

Keith Jarrett Solo - Lausanne Part.1 1/3 '73

           

キース・ジャレットKeith Jarrett
イメージ 2またもYOUTUBEでこれはという動画映像が検索ヒットしての場当たり的な、気まぐれブログ紹介となる。音と映像だからその説得性を大いに利用させてもらっての所蔵音盤の紹介としよう。音盤はその即興性の妙とハートフルな美しい音色を持って傑出したジャズピアニストのキース・ジャレットKeith Jarrett(1945‐)である。70年代、彼には二つの傑作、完全即興でのソロピアノレコードが出されている。ひとつは1973年ドイツ・ブレーメンとスイス・ローザンヌでの二つのソロ・コンサートでのライヴ収録されたレコード3枚組みのものと、1975年ドイツ・ケルンでのライヴ録音で2枚組みで出されたもの。前者は、1974年度の<ジャズディスク大賞・金賞>に輝いている由。もっとも、印象的な美しいメロディ・フレーズで有名なのはケルンコンサートの方だろうか。あの出だしの印象的なフレーズには誰しもが琴線に触れるものがあるだろう。私もこちらを取り上げようと棚を家捜ししたが見当たらず後日とし、3枚組みという、聞くにはボリュームありすぎるブレーメン盤となった次第。こちらの方が、多分というのも聞き比べてではないのであやふやだけれども、ハートフルでウオーム、カントリー・土の匂いがたっぷりと聞ける。ブルース、ジャズというより、ゴスペル、しょうじきフォーク・カントリーだ。これがいいのだ。キース・ジャレットの濁りのない美しいピアノタッチ、ハートフルなリリシズム溢れるメロディー、小気味いいリズム。すでに幼少の頃よりその才能が知られていたというだけの、よどみない流麗な美しいピアノに聞きほれることだろう。歌をうたうことの悦びに満ちたその温かく美しいインプロヴィゼーションは、はたして暗鬱で不幸の影をつゆほども感じさせない至福の神的境地でのものといえようか。神懸りである。≪私は自分で創造できる男だとは思わない。しかし創造への道は目指しているつもりである。私は創造の神を信ずる。事実このアルバムの演奏は、私という媒体を通じて、創造の神から届けられたものである。なしえる限り、俗塵の介入を防ぎ、純粋度を保ったつもりである。こうした作業をした私は何と呼ばれるべきであろうか。創造の神が私を何と呼んでくださったか、私はおぼえていないのである。≫(ライナーノーツより)月並みだけれどいつわりない言葉であり、捧げものとしてのインプロヴィゼーション・パフォーマンスであったことだろう。それほどに素晴らしいアルバムであり、捧げものとしての音楽である。ところで最後に、異彩を放っているのがSIDE5のパフォーマンスで、ピアノのボディを打楽器としてリズムよく打ち叩き、ピアノ弦への内部奏法と通常奏法を織り交ぜての演奏(ジョン・ケージにもこうした作品がある)は聞きものであることの紹介をもってこの稿を閉じることとしよう。
                        
                Keith Jarrett - Umbria Jazz Festival at Perugia, Italy



Keith Jarrett - Umbria Jazz Festival (part 2)