yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

コレクティヴなプレイのしなやかさとセシル・テイラーの並外れた集中力、知と情の見事なバランスでエネルギッシュに疾走するピアノ。構成感見事な『Unit Structures』(1966)

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             Unit Structures, Cecil Taylor - Art Video, Alan Silva
             


イメージ 21966年の録音だそうである。ブルーノートレーベルでの第一作とある。セシル・テイラーcecil Taylorのソロが断然興味を惹くのは、彼のリーダーアルバムであることであってみれば当然のことだけれど、それにしても、今度、ブログ稿のために数十年!ぶりに聞きなおしてみた。これは大袈裟ではない。セシル・テイラーを追っかけて、当時手に入るアルバムはことごとく購入してたはずで、だがしかし追っかけるのに忙しくて、まともに聞いていたのかわからない。たぶん一、二度聞いたぐらいのものだったろう。というのも聞き直して、あんがい好い印象を持ったから余計にそう思うのかもしれない。時代性を考えに入れれば、よく出来ているのではと思った次第。以外に聞きやすいので、いささか驚いているというのが正直なところだ。別にブルーノートレーベルだから一般受けを狙うというような事は、アメリカフリージャズの先覚的革新者セシル・テイラーであれば、そうした功利は無かった筈と思いたいし、また彼の見事なソロインプロヴィゼーションプレイを聞けば、そうした疑念も晴れるというものである。既にもう後年のスタイルを確立しておりアグレッシヴな破壊的パワーを獲得している。疾走しつつあるテイラーと言ったところだ。断然このころにはユニットの中でのテイラーがとりわけ生き生きしている印象が強い。ユニットストラクチャーというタイトルどおり文字通り非常に構成的で、インテリジェンスを感じさせるものであり、統一感がある。『Unit Structures』(1966)というある種構成を旨としたフリージャズ。おのおののメンバーのコレクティヴなプレイのしなやかさとテイラーの並外れた集中力、知と情の見事なバランスでエネルギッシュに疾走するテイラーのピアノとあいまって、すぐれたコラボレーションに結実しているのだろう。それが聞きやすいなどという、印象をもたらす要因でもあるのだろう。ここにも先日紹介取り上げた、イギリスはジョン・スティーヴンスの率いるスポンテニアス・ミュージック・アンサンブル・SMEの評言にある<室内楽>的なアンサンブルの妙味、愉楽が在るといえるように思う。好き勝手バラバラでなくまとまっているのだ。その構成的統一感が、パワーを兼ね備えたインテリジェントフリージャズとして出来上がったのかもしれない。もちろんユニットの特徴とするこの構成感は革新者セシル・テイラー狙いとするところなのだろう。アラン・シルヴァAlan silvaのアルコベース、マッキンタイヤmcintyreのサックスが光っている。ことのほかセシル・テイラーの唯一無比のインテレクチュアルな疾走するピアノが心地よい。アメリカ・フリージャズの先端を走っていたことは間違いない。そうしたことが聞けるアルバムといえるだろう。ますますこの頃のアルバムに再び相見えることに否が応でも期待が膨らんだものであった。愉しみである。