yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ポール・メファーノ率いる<2E2M>のメリハリある演奏。「私は現代音楽の未来に、なんら不安を持ったことはない」(ピエール・ブーレーズ)と語るゆるぎない「音楽への信」ゆえのきらめく美しい響き。

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Boulez - Sur Incises (extract) - Ensemble InterContemporain

      

ピエール・ブーレーズ
イメージ 2音もなし、おまけに御大ピエール・ブーレーズPierre Boulez(1925- )以外の情報が当方にほとんどないこうしたレコードを取り上げたところでどうなるのだろう。いささかむなしいところではあるけれど。
クロード・ルフェーブルClaude Lefebvre(1931-)とポール・メファーノPaul Méfano(1937-)のちょうど6才違いの作曲家の作品が収められている。
ポール・メファーノは現代音楽演奏のスペシャリスト集団<2E2M>の主宰者でもあり、すぐれた作曲家でもある。ブーレーズの<ドメーヌ・ミュージカル>および「アンサンブル・アンテルコンテンポランInterContemporain」の貢献に匹敵するすぐれた演奏で現代音楽のイメージ 3啓蒙普及に努めていることでつとに有名である。
ま、この程度の知識しか当方持ち合わせていないのだけれど。このメファノは作曲家としても演奏家としてもすでに拙ブログに≪ポール・メファノ主宰する現代音楽の演奏グループ「The Ensemble 2e2m」。無調セリーの感性の一般化が、手練の演奏でいっそう美しく奏でられる。≫と≪精神の古層にうねり響くジャチント・シェルシの厳粛な音世界≫の2つを投稿している。
ひじょうにクリアーな音像定位でメリハリのある演奏をする。モワモワと弱々しいのは現代音楽に不適当で、その意味ではまさに現代音楽にピッタシである。自信を持って音を引っ張り出している感じである。
御大ブーレーズの作品は「メサージェスキスMESSAGESQUISSE」(1978)でもうこれは文句なしだ。
またほかの二人の作品も御大との組み合わせに取り上げられるだけあってよくできている。とりわけ、ポール・メファーノの声(ソプラノ)とアンサンブルによる作品「MELODIES」(1962)などブーレーズの「ル・マルトー・サン・メートル(主なき槌)」や「プリ・スロン・プリ - マラルメによる即興」を髣髴とさせる。タイトな煌く響きとメリハリのある、心地よいダイナミズムをもった作品で好感持って聴くことができた。
またクロード・ルフェーイメージ 4ブルの作品の「ETWAS WEITER」(1972)や「D'UN ARBRE DE NUIT」(1971)も、響きへの集中力、感応力、音色のダイナミズム等、これまた師でもあるブーレーズの影響下と言ってしまえば貶めることになってしまうかもしれないけれど決してそうではない。
そんなことより今現在の地点からからこうした作品を聞くと、まとまり、統一感があってひじょうに美しく響いてくるのだ。
もう古典としてゆとりを持って聴けるということなのだろうか。それとも「私は現代音楽の未来に、なんら不安を持ったことはない」(ピエール・ブーレーズ)と語るごとく、ゆるぎない「音楽への信」が作品にこのような印象を抱かせるのだろうか。


                                      ポール・メファーノ

Pierrot Lunaire - Christine Schafer Pierre Boulez, conductor