yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

シュテファン・ヴォルペ「Trio (for flute,piano,cello)」(1963)ほか。無調音列主義の軽快な作品。ひじょうにシンプルで心地よい。

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Stefan Wolpe: "Waltz for Merle" (1952)

          

イメージ 2ナチスドイツに追われ、米国に生活、活動の拠点を移したヨーロッパ諸国の数多くの音楽家のうちのひとり、ドイツ生まれのシュテファン・ヴォルペ(Stefan Wolpe 1902 - 1972)が今日登場する作曲家。≪アルノルト・シェーンベルクの十二音音楽の影響を受け≫≪フェルッチョ・ブゾーニに師事。そしてまた、≪ナチスが政権を握った後は、ユダヤ人で社会主義者ということから迫害を受け、1933年から1934年までオーストリアに亡命し、アントン・ヴェーベルンに出会い、師事した。≫・・・もう、この流れを見るだに、その才能の華々しく、煌びやかなサマが思われる。それに、音楽学校以外に≪バウハウスで学び、ダダイストたちと交流をもった。≫とくれば、より一層興味が湧くというものだろう。おまけに、米国生活での≪弟子にモートン・フェルドマン(Morton Feldman、1926 - 1987)、デイヴィッド・チューダー(David Tudor、1926 - 1996)≫といった音楽史上のアヴァンギャルドが名を連ねているとあっては、その作品のほどを知りたくなるというものだろう。この師弟の流れはたぶんジャクソン・ポロック(Jackson Pollock, 1912 - 1956)やマーク・ロスコ(Mark Rothko, 本名 Markus Rotkovich(英語化した形では Marcus Rothkowitz とも), 1903 - 1970)たちと≪1950年代は抽象表現主義の画家と連携していた。≫(以上すべてWIKI)というつながりでの人的関係だったのだろう。このように、シェーンベルクを筆頭に米国へ流れてきたヨーロッパの革新の知性が米国の若き音楽家に与えた影響は多大顕著なものがあったといえよう。ま、そんなことはともかく、今日取り上げるアルバムの収録作品「Trio (for flute,piano,cello)」(1963)は、無調音列主義の軽快な作品といえる。これは、≪熱心な社会主義者≫ということもあって、シェーンベルク同門のハンス・アイスラーの作風とよく似ている。ひじょうにシンプルだ。私には、この(過剰を嫌う?)シンプルさがなんとも美しくココロ落ち着くので好きなのだが・・・。もう一方のカップリングの米国の作曲家、≪音色の探究や特殊奏法の徹底的な開発で知られ、・・・神秘主義的・悪魔主義的な創作姿勢をとる≫(WIKI)ジョージ・クラム(George Crumb, 1929 - )は拙ブログでも既に2稿投稿していることもあり、ここではまたの機会に取り上げるとして、それに代えて割愛しておこう。


http://artofthestates.org/cgi-bin/composer.pl?comp=86 Art of the States: Stefan Wolpe three works by the composer シュテファン・ヴォルペ、ネット公開作品



ジョージ・クラム――投稿記事

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/50553988.html わかりやすいイメージに引き摺られ固着してしまうのが惜しいジョージ・クラムの『MAKROKOSMOS,Volume2』(1973)。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/44739690.html 余韻をもちつつ響きが張りつめて立っている、12の星座の音をキラメかすジョージ・クラム(1929年 - )の『MAKROKOSMOS,Volume1』(1972)

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/50764999.html (1)『THE AVANT GARDE STRING QUARTET in the USA』。聴きものです。再発、廉価NAXOS盤にあり。



デヴィッド・チュードア――投稿記事

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/50779481.html D・チュードア。初めて聴くような音の提示J・Cage 『Solo For Piano』(1982)とNeural-Network Synthesizerとの競演『neural synthesis2』

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/49095218.html 虫がすだくのではない、電子ノイズがすだき鳴くのだ。鳥が囀るのではない、電子ノイズが囀(さえず)るのだ。人工・擬自然の新鮮な電子ノイズの響き。デヴィッド・チュードアの『RAINFOREST』(1968)

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/44757698.html 電子器械のなんとも孤独な鳴き声、雄たけび、哀しい悲鳴、泣訴のようにも聞こえてくるデヴィッド・チュードア(1926 -96)の『MICROPHONE』(1973)

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/29710047.html デヴィッド・チュードアの特筆の名演奏で聴くマウリシオ・カーゲルの奇矯なパイプオルガン曲




http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/55017084.html モートン・フェルドマン『ピアノ作品集・AKI PLAYS FELDMAN』(1995)。漆黒の沈黙の世界を開け示す静謐の一音。静かにやってくるものにこそ真性があるのかもしれない。



ハンス・アイスラー――投稿記事

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/56532460.html社会主義リアリズム作曲家”ハンス・アイスラー『作品集』LP3枚組み。戦前作品のみは評価できる。瑞々しくすぐれた12音列作品。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/56186470.html フレデリック・ゼフスキーの自作、および演奏作品集(1976)。啓蒙主義社会主義リアリズム芸術の理念のもとにその音楽活動を展開していたハンス・アイスラーを見直す。