yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

シュトックハウゼン『Kurzwellen(短波)』(1969)2枚組み。宇宙よりの郷愁的呼びかけのような短波ラジオのウェーブノイズにイマジネイティヴに応答するコレクティヴ・インプロヴィゼーション。

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Dirty Electronics Ensemble perform Stockhausen Kurzwellen

           

≪音というのは不思議なほどに認識と深く結びついているのですよ。とくに現代音楽と.知的頭脳の構造的変化との関係は緊密です。現代音楽は認識の音楽でもある。………演奏が認識作業であり知覚の自由な拡張である………音こそが肉体の限界を超えるためにあると考えるべきではないでしょうか。「われわれの新しい電気的テクノロジーはわれわれの中枢神経組織の拡張である。」(マクルーハン)≫(秋山邦晴「電気・電子音響音楽史オブジェマガジン『遊・1005』(1979))

アルバムタイトル『Kurzwellen』がドイツ語で「短波」であることをはじめて知った。そう云えば、短波ラジオのあの特有の押しよせては引くウェーヴノイズが常時鳴っているので了解ではある。≪短波ラジオが偶然に受信した音に楽器(奏者)が応答し、両者が渾然一体となって新たな音楽世界が生成されるという≫カールハインツ・シュトックハウゼンの2枚組みのアルバム。それは演奏メンバーは変わらず各々の違いをもつ二つのヴァージョン(1968年および69年と時を隔てての長時間にわたるレコーディングパフォーマンスから選択されてのリリースのよし、それも一切の編集操作はなされていないとのことだ)を別ヴァージョンテイクとして収められたのが『Kurzwellen』。シュトックハウゼンの下に参集した実験精神横溢の若き精鋭のメンバーが、宇宙よりの郷愁的呼びかけのような短波ラジオ(偶然をもたらすファクター)のウェーヴノイズにイマジネイティヴに応答してのエレクトリック・インプロヴィゼーション。シュトックハウイメージ 2ゼンならではのエレクトリック・ノイズが弾けていると言っておこうか。電波少年シュトックハウゼンのエレクトリックな存在郷愁がノスタルジックに奏でられる。といっても、これはあくまでも主宰者(ディレクター)シュトックハウゼンを軸としての集団即興演奏(最終的音場形成者はポテンションメーターとフィルター機器装置をもつ教祖シュトックハウゼン)なのだけれど。フィルターをかけ変形されたノイズが誘う心地よい緊張がたまらなく魅力であるといっておこうか。空間配置された音場から発せられるこうした音たちの臨場ではさぞかしダイナミックで刺激的であることだろう。60年後半のこのころのシュトックハウゼンは飛ぶ取り落とす勢いでエレクトロニックに輝いていたといっていいのだろう。



Karlheinz Stockhausen『Kurzwellen(for six players)』(1968・1969)

Aloys Kontarsky (piano & short-wave radio)
Harald Bojé (electronium & short-wave radio)
Alfred Alings & Rolf Gehlhaar (tam-tam & short-wave radio)
Johannes G. Fritsch (electric viola & short-wave radio)
Karlheinz Stockhausen (filters & potentiometers)


A1.Kurzwellen (Radio Bremen Aufname) (Teil 1)
A2.Kurzwellen (Radio Bremen Aufname) (Teil 2)
B1.Kurzwellen (WDR Aufname) (Teil 1)
B2.Kurzwellen (WDR Aufname) (Teil 2)

Notes:
Kurzwellen is a piece where, the musicians need to improvise and react to signals they receive on randomly tuned Shortwave radio's. Performed by Harald Bojé (electronium), Alfred Alings & Rolf Gehlhaar (tamtam), Johannes G. Fritsch (electric viola), Aloys Kontarsky (piano). Mixed by Karlheinz Stockhausen who operates filters and potentiometers.

Same work recorded twice during two different performances.
Record 1 was recorded in the television studio's of Radio Bremen on May fifth, 1968, during the festival Pro Musica Nova.
Record 2 was recorded in the Rhenus studio in Godorf for the Cologne Radio (WDR, Westdeutscher Rundfunk Köln) on the 8th and 9th of April 1969.



http://home.swipnet.se/sonoloco2/Rec/Stockhausen/14.html Stockhausen Edition no. 14 (Aus den sieben Tagen)